科目名[英文名]
森林保護・樹木医学実習   [Practice on Forest Health and Arboriculture]
区分   選択必修   単位数 1 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 01RN3315
責任教員 [ローマ字表記]
渡辺 直明, 小池 伸介, 吉田 智弘, 永石 憲道   [WATANABE Naoaki, KOIKE Shinsuke, YOSHIDA Tomohiro, NAGAISHI Norimichi]
所属 農学部附属広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター 研究室 1-436  メールアドレス

概要
この実習では現実の森林や樹木で起きている問題を調査し、様々な生物や人為がどのように森林や樹木に影響するのか全体や個別に生物の健全性を通して理解する。土壌動物や菌類など、あまり目に触れることのない生物に関し、大きな枠組みでの同定を行い、広範囲の生物群に対し理解を深め、生物多様性の評価をする。夜にかなりの内業や実験などがある。
樹木医学的な診断は一次的な外観診断、続いて機械を用いて行う二次診断に分かれる。後者では各種の診断機器の使用方法を習得した上で、それぞれの機器の原理に照らし合わせ、得られるデータの信頼性を理解する。実践的に現在使われている主要な樹木診断機器の扱いに時間をかけるが、同時に観察を中心とした総合的な外観診断をしっかり習得し、診断書を作成できるスキルを身につける。樹木治療については首都圏内の現場を見学して施工方法や考え方を検討する。
到達基準
森林保護と樹木医学に関する広い範囲の実務を理解、習得し、それらを一定レベル以上のレポートとして報告できるようにすること。導入部的な実験、実習の実務を広い範囲にわたって習得するので、全日程出席が必須となる。(目標にきちんと辿り着くために、履修条件と備考1、2に注意する。)
授業内容
森林の健全性
 1.森林のほ乳類の足跡、食痕の観察、防除策の見学
 2.クマによる樹皮剥ぎ被害の特性を調査し、動物保護管理と被害回避について検討する。
 3.異なる森林で土壌動物相のインベントリーを行う。実体顕微鏡による観察
 4.上記土壌動物相について生物多様性を検討する。森林樹木の虫害の計数と観察。
 5.様々な樹木の病気の観察 病徴と表徴
 6.健全葉と病葉から検出される菌類相の調査。1.殺菌、培地作成、無菌操作
 7.       〃            2.培養、菌叢、検鏡
 8.材からマツ材線虫の検出 A.ベールマン法 B.線虫DNA抽出とLAMP法 両者の比較
 9.林床性きのこの多様性 外生菌根菌と腐朽菌
樹木の診断と治療
 10.外観診断の考え方と調査方法および環境条件の調査法
 11.機械による精密診断の方法(主として腐朽による危険度診断)
    幹の診断 貫入抵抗法、音波伝播速度法、γ線CT法、幹温、電気抵抗測定法の習得
 12.葉の機能診断
    蒸散速度測定 SPADメーター法、木部圧水ポテンシャル測定、葉温測定の習得
 13.土壌診断
    貫入試験による土壌断面推定、透水試験の習得 
 14.15.街路樹や天然記念物の診断と治療(1.見学、2.診断書作成)
    対象樹を樹形図、樹冠投影図を作成しどの部位にどんな問題があるか表現する。
    周囲の環境条件を読み取り、二次診断方針や対策を立案し、一次診断書を作成する。

1〜13の項目を8月4日〜9日で扱い、10-15の総合的なまとめとして9月1日午前に上野近辺で単木の文化財管理について、同午後に四谷、赤坂、青山、原宿で並木、街路樹の管理について解説を受け、各人で診断書を作成する。(この見学場所は変更の可能性もあり。)
10月7日(日程変更ありうる)1-2限 1号館420教室で提出されたレポートを中心にファオローアップ解説を行う。
履修条件・関連項目
4月17日(月)12時30分より1号館420教室で実習日程を含む重要な説明会を開きます。(欠席者は履修できなくなります。)
森林生態学に関係する講義を1科目以上履修していることを前提に授業を進めます。
育林学実習、樹木学実習を履修していることが望ましく、未履修者は関連する内容を自習して下さい。低山帯の主な樹種については識別が可能で、土壌に関する基礎的な知識を習得していることを前提に授業を行います。
* 6月8日までに実習費を1-401に納入しない者、予習課題を提出しない者は履修できません。備考2参照のこと。 課題と注意事項などを記載したプリントは説明会で配布します。
** 普通の授業と同じように他の科目との重複はできません。また、全日程出席、全課題提出が成績評価の前提です。
 
テキスト・教科書
プリントを配布する。
参考書
森林保護学、樹木医学(朝倉書店 鈴木和夫編)
最新樹木医の手引き(日本緑化センター)
土壌動物学への招待(東海大学出版会 日本土壌動物学会編)
日本産土壌動物(東海大学出版会 青木淳一編著)
獣たちの森(東海大学出版会、大井徹)
野生動物の生態と農林業被害(全国林業改良普及協会、三浦慎悟)

成績評価の方法
レポートの内容で評価します。全ての課題に対するレポートを提出し、それらが受理される必要があります。実習内容の概要と取得したデータ及びそれらに対する解釈、考えで構成されることが必要で、所定の字数や形式を満たしていないレポートは受理されません。教員毎に複数の分野のレポートが課されますので、提出するレポートは多いです。
教員から一言
集中授業という性格からレポート課題が多くなります。簡潔な文章で速やかに提出してください。レポート作成のためにはデータの共有が必要で全員に全データが早く渡されるよう心がけて下さい。樹木医学分野では多くの調査機器、方法を班毎や少人数で取り扱うので、てきぱきと進めて下さい。
キーワード
森林の健全性、野生動物管理、生物多様性、樹木診断、危険度診断、樹木治療
オフィスアワー
随時質問などを受けますが、予めメールなどで在室確認をして下さい。樹木医学的なことや菌については渡辺naowa@cc.tuat.ac.jpに、昆虫については吉田yoshitom@cc.tuat.ac.jp(本館2階FS)、鳥獣については小池koikes@cc.tuat.ac.jpに相談下さい。
備考1
集中で上記内容を授業するためFM草木・大谷山での実習はかなりハードです。日中には森を歩き、野外でデータをとり、夜はその計算と菌類操作、検鏡、実験関係をこなした上で、個人レポートの作成になります。
備考2
6月8日までに食費実費と予習課題を1号館401(諏訪さん)に提出しない者は実習に参加できません。(出席を義務づけた4/17の説明会でもアナウンスします。) 日程は8/4-9、9/1,10/7を予定していますが、天候や諸事情で変更することもあります。
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2017/04/17 10:37:10