科目名[英文名]
有機材料化学特別講義Ⅰ(生命化学基礎)   [Special Lecture on Organic Materials Chemistry I]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 14  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 021319
責任教員 [ローマ字表記]
跡見 順子, 清水 美穂   [ATOMI Yoriko, SHIMIZU Miho]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
本講義では、日々良く生きようとする意志・心をもつ私たち人間が生きている基盤を、生命を創発させた地球環境、現実に生きる社会、生命が採用した化学物質・生体高分子と物質が生み出す機能と相互の関係性、努力や学習などを可能にする適応の物質基盤から理解する。病態から出発するのではなく躍動する生命の創成基盤としての健康を考える。これらの講義を通じて、来る人工知能社会においても常に新しいものを生み出し、変革し続けながら生きる人間像とその人間像創成に資する材料及び材料設計を行うための発想法を生命科学(化学)の原理原則から習得してもらう。基礎学習のための講義のほか、演習としてグループディスカッション、パワーポイントを使ったプレゼンテーション、実験・実習など、実践的な要素を含む。
到達基準
1)生命の単位「細胞」を構成する化合物の構造と機能、動く身体の材料化学基盤がわかっているか。 2)生命の創成基盤である細胞と個体の生存システム基盤の概念と設計戦略がわかっているか。生命(細胞)系譜における人の位置づけが分かっているか。3)生命及び生体材料の劣化(時間による機能の減退:たとえば加齢や疲労、疾病、とくに生活習慣病など)、疲弊の原因と防止指針がわかっているか。4)人とヒト以外生物や人工物の設計原理の差異がわかっているか。5)サステナブル社会を担う一員として、生命持続・人間持続のための生命化学基盤について説明できるか。
授業内容
※細胞や人間(自分)のシステムを理解するための実習を行います(授業の場所が異なるので注意)。カリキュラムの順番は変更する可能性あり。

170417(第1回)
イントロダクション1
「いのちを知り生かす身心一体科学」から生命化学・材料健康科学を学ぶ (1)
人間という存在の生命化学・材料健康科学基盤.
地球で創発した生命(細胞)・多細胞個体・「身体」の適応とストレスタンパク質
課題:身心一体科学とは

170424(第2回)
身心一体科学講義I &実習I (重力&人体の創り)
(1)体幹・股関節制御
(2)バランスと体性感覚,脳と外界,自己と認識と行動重力生物学
(3)プレ評価(自分を材料に,科学;活動依存性に自己の記述, Sit up,反復横跳びによる評価,姿勢評価)
課題:臥位・動く・触るとは?

170501(第3回)
身心一体科学講義II&実習II:「身心一体科学」の実践
(1)人間の創りと体幹
(2)体幹体操と脳・歩行&動作
(3) 姿勢評価法の説明。体操指導
課題: 身体のつくりと生活の中の自分の評価

170508(第4回)
身心一体科学実習II &演習I
個人ごと発表,日本語
①効果判定(実習)身体学習(脳-体幹連携)から得た視点で大学生活を科学の目で見直す②パワーポイント無し発表:全員1分)とQ&A
課題:イノベーションは身体を科学することから

170515(第5回)
イントロダクション2
「いのちを知り生かす身心一体科学」から生命化学・材料健康科学を学ぶ(2)
人間という存在の材料健康科学:社会環境に生きる人間のストレスと対応. WHOの健康の定義と身心一体科学,
健康産業例:卵殻膜・ウェア
課題:マイルドストレスとは?

170522(第6回)
身心一体科学概論:人間の創り
(1) 『いのち』とは
(2) 材料と機能がうまれる(環境)条件及び物性(Homeostasis)
(3) 身体と組織・脳・心と全体
(4)環境へのストレス応答
(5)脳と身体のシステム
課題:科学とは?科学の必要性とは?

170529(第7回)
身心一体科学実習III:脳と心:本能と人間の判断
(1)つもりと実際:握力/直線長さ描記のグレイディング・Stroop Test
(2)『いのち』のリアルと脳の判断の危うさを識り人間の社会を考える
課題:俯瞰する視点を探る

170605(第8回)
身心一体科学講義III:生命化学特論I (生命材料と機能環境,水・温度・重力・メカニカル応答)
(1)生命材料(DNA,タンパク質,糖,脂質) と細胞
(2)動く身体のつくりと細胞骨格-細胞外基質(ECM)
(3)環境応答の階層性

170612(第9回)
身心一体科学実習IV:生命化学・材料健康科学I (『いのち』(細胞)のシステム)
(1)自律性とは
(2)生体高分子(DNA・タンパク質)が生み出す機能・構造と組織化
(3)多細胞個体の細胞システム 触覚・視覚観察(細胞・組織中の細胞・組織の固さ・弾性と作り等)
課題:なぜ「細胞」からか?

170619(第10回)
身心一体科学講義IV:生命化学特論II (かたちと張力)
(1)生体分子(細胞骨格と細胞外マトリクス):ナノ~メートルダイナミック変形対応応答,張力を伝える材料と物性と結合組織
(2)卵殻膜とECMと脂質と糖
(3)「からだが動く」生命化学:細胞-身体-結合組織
課題:動く・伸縮・触るとは?

170626(第11回)
身心一体科学実習V
(1)ラットの機能解剖を通じて,人間の創りを学ぶ
(2)人間の『いのち』・生死
(3)「運動・活動・使用依存性生存システム」
(4)物性の本質の理解
課題:『いのち』の本質とは?結合組織と心身一体化?

170703(第12回)
身心一体科学実習VI
酸素摂取・電子伝達系,生体電気・チャネルタンパク質の理解(呼吸心循環器系の理解)
(1)生体電気現象
(2)心臓と機械的エネルギーへの変換
課題:電気と生命, 脳と情報の本質

170710(第13回)
身心一体科学講義V:生命化学特論III:情報と高分子 (脳のつくりと『いのち』: 脳-心-身体の核を生む)
Cell to Body & Mind Dynamics
(1) 細胞の「不安定性」
(2)人体・脳の「不安定性」
(3) 自己受容感覚・脳・高分子
課題: 「不安定性」は悪いか?

科学講義VI&実習VII:生命化学特論IV・材料健康科学Cell to body & Body to Cell
(1)高分子興奮材料・神経筋細胞の機械応答と体幹体操評価(Sit up,反復横跳びによる評価,姿勢評価) 
(2)細胞骨格・ ECM・結合組織
(3)卵殻膜:構造・機能・栄養素材
課題:生活の中の体幹制御,健康戦略・身心一体科学

160724(第15回)
身心一体科学・演習II
(個人ごと発表, 英語)
「身心一体科学_生命化学と人間(自分/社会)の未来(仮題)」
個人発表(パワーポイントを使った発表:全員1〜2分.スライドは英語で作成、発表はできるだけ英語)



履修条件・関連項目
関連項目:生命科学、高分子化学、教養、システム論、社会産業とサステナブル人間科学
テキスト・教科書
当日配布資料およびMoodleに掲載する資料
参考書
骨格筋と運動 跡見順子編著 (杏林書院)、細胞の分子生物学(The Molecular Biology of the Cell)第5版
成績評価の方法
授業出席点60%(点呼時の出席と授業中に毎回実施するレポート課題(兼質問用紙)提出の両方で4点/回)、プレゼンテーション(2回)20%、最終レポート20%により総合的に評価する。実習への出席は必須とし、3回目の授業で指導する脳―体幹連携身体学習は適応を理解するための本講義のキーポイントであるので、受講期間中毎日できるだけ実施すること。
■最後のレポート課題(上記、「到達基準」を考えながら記述してください)
(1)人間(自分)について:材料化学的に健康や生命システムを理解したか。それはどのような理解か。
(2)人間(自分)について:脳科学的に人間システムの面白さと危険性、創造性と想像について、変革し続ける人間と社会について書いてください。
(3)有機材料化学科の他の講義との接点について書いてください。
教員から一言
自己創造、変化可能な生命原理を理解し、個の尊重、新しい社会産業創成、自己革新の生き方を身につけてください。
キーワード
生命科学、高分子化学、教養・哲学、システム論、社会産業とサステナブル人間科学
オフィスアワー
月曜日 14:30-18:00※メールでアポイントメントをとってくだされば、他の日時でも対応可能。mshmz@cc.tuat.ac.jp, yatomi@cc.tuat.ac.jp
備考1
授業レポートへはできる限りフィードバックします。
備考2
細胞や人間(自分)のシステムを理解するための実習を行います(授業の場所が異なるので注意)。カリキュラムの順番は変更する可能性あり。
参照ホームページ
http://celltobody.sandvox.net/
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2017/05/01 3:14:47