科目名[英文名]
生物学基礎   [Fundamental Biology]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 14  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 021707
責任教員 [ローマ字表記]
大澤 郁朗   [OOSAWA Ikurou]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
生命科学は「生命を理解する」学問である。理解することは「生命を救う」技術の発展に寄与する。本講義では、皆さんを支える生命のメカニズムと「生命を救う」技術的基盤を理解するための基礎知識を学ぶ。現代生命科学の最先端に触れながら、単なる丸暗記の「生物学」ではなく、本質を理解する「生命科学」の講義を行います。
到達基準
1. 代謝、細胞、遺伝の基本を理解する。
2. バイオテクノロジーに関するキーワードを理解し、新聞やネット上の生命科学に関わる情報を正しく理解できる。
3. 食品、医学、薬などに関する正しい知識を得る。
授業内容
1 イントロダクション
二十歳になる前に知っておくべきお酒の秘密。なぜ、お酒に強い人と弱い人がいるのか?お酒に弱い人は病気になりやすい?身近な話題から生命誕生の謎まで生命科学の秘密を覗く。
2 細胞:生命の機能単位
ヒトの身体は60兆個の細胞からできている。脂質で区切られた細胞の大きさは数十マイクロメートル。顕微鏡でしか観察できない細胞内の緻密な構造を学ぶ。
3 アミノ酸、タンパク質、酵素
スポーツ飲料で効能が謳われるアミノ酸。直鎖状につながってタンパク質となり私たちの身体を構成する。タンパク質は複雑な立体構造を形成し、化学反応を触媒する酵素として働く。
4 生命エネルギーの獲得
人も酵母もブドウ糖を食べて生きている。生命がグルコースを酸化してエネルギーを獲得する驚きのメカニズムとは?
5 有性生殖と遺伝
子が親に似るのはなぜ?しかも親と全く同じ子は生まれない。メンデルによる遺伝の法則からワトソンとクリックによるDNA二重らせん構造の発見まで、生命が次世代に情報を伝承し、進化していくメカニズムを概説する。
6 核酸の構造と遺伝子
DNAはたった4種のヌクレオチドからできている。ヒトの細胞では長さ約2メートルもあるが遺伝子として使われるのは僅か1.5%。その構造と複製の仕組みを学ぶ。
7 セントラルドグマ
DNA配列に書き込まれた設計図はRNAを経由してタンパク質に翻訳される。微生物からヒトに至るまで不変な概念、セントラルドグマとは? また、この概念に従わないレトロウイルスについて知る。
8 細胞内輸送と細胞骨格
翻訳されたタンパク質はどこへ行く?目的地に配送される仕組みを概説。品質が悪ければオートファジーで分解処理される。また、細胞の形を維持し動かす精巧なマイクロマシンについて学ぶ。
9 細胞間と細胞内の情報伝達
細胞は相互にコミュニケーションをとりながら私たちの身体を構成している。情報は細胞表面の受容体を介して細胞内へ伝達され、内部で次々とリレーされて、指示通りの細胞変化が生じる。この伝達機構を利用して、多くの新薬が開発されている。
10 細胞分裂と発生・分化
細胞は細胞から生まれ、その分裂は巧妙に制御されている。新たな細胞にはそれぞれ異なった役割が与えられ個体が発生する。幹細胞とは何か?iPS細胞発見のインパクトについても解説。
11 細胞死と老化
生きとし生けるものは全て死す。ネクローシスやアポトーシス、細胞死にも様々な形態とメカニズムがあり、個体も老化してやがて死を迎える。なぜ、人は老いるのか?
12 免疫:感染症と生体防御システム
免疫は私たちを感染症やがんの発症から守っているが、アレルギーやアナフィラキシーショックも引き起こす。免疫の制御は健康維持の重要課題。
13 脳と神経伝達
脳は目や耳から得た情報を処理し、運動出力へと変換する情報処理装置である。ニューロンによる神経伝達と記憶の仕組みから認知症の発症機序まで、その概要を学ぶ。
14 生命情報科学:オミックス
生命科学最大のプロジェクトであったヒトゲノムプロジェクトの成果と意義は。その先の進化し続ける技術の概要を解説する。君の祖先はネアンデルタール人だった?
15 組換えDNA技術とバイオテクノロジー
遺伝子工学により生理活性タンパク質の大量生産が可能となってバイオ医薬品が生まれた。今や遺伝子改変動物を生み出すことも容易である。遺伝子組換え技術を理解し、生命科学の応用を考える。
履修条件・関連項目
特にありません。 高校生物を履修していないことを前提に講義を進めます。
テキスト・教科書
プリントとパワーポイントを用いて講義をしますが、参考書で指定した本を購入することが望ましい。
参考書
理系総合のための生命科学 第3版 羊土社
現代生物学の到達点をコンパクトにまとめてあります。索引も充実していて使いやすい。
成績評価の方法
学期末試験の他、必要に応じて演習を行う。基本的には出席点:20%・試験:80%で成績を判断する。
教員から一言
生命科学の進歩には電気電子分野の技術革新が大きく貢献しています。将来、皆さんが生命科学の研究や産業にたずさわり貢献する可能性は高い。積極的な講義への参加を期待しています。
キーワード
オフィスアワー
質問があれば、iohsawa@tmig.or.jpまでメールください。普段は東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)にいます。随時見学OKです。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
語学学習科目
更新日付
2017/05/02 8:29:08