科目名[英文名]
生体電子工学   [Bio-related Electronics]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 1 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 023111
責任教員 [ローマ字表記]
一川 尚広   [ICHIKAWA Takahiro]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
生命現象の維持において電子移動とイオン移動が重要な役割をになっている。本講義では、電子とイオンの性質を理解し、それぞれが生体での化学反応にどのように関与しているかについて講義する。まずは、イオンと電子に関する電気化学を電池などのシステムを通して理解し、電子移動やイオン移動の素性について理解する。さらにこれらの知見を生体現象(例えば、光合成の化学)などと結びつけて考えることで、生命現象における電気化学に関して深く理解する。イオン伝導性高分子・導電性高分子・イオン液体などの材料科学的な知見と結びつけることで、バイオ燃料電池設計・センサー設計などへの学術的な展開は勿論のこと、工業的な利用と生体内の反応のコラボレーションを理解する。これらの講義を通じて生命現象を深く理解し、デバイス設計など工業的な利用につなげるための実力も養成する。
到達基準
電子とイオンの性質の違いや、これらが関与する生命化学反応について学び、生体内での生命現象の多くが電子移動やイオン移動として理解できることを理解する。電子伝導やイオン伝導の機能を持たせるための物理化学を理解し、その応用展開や材料設計に通じる広い視野を持つことを目標とする。
授業内容
電子とイオン:電気を運ぶキャリアとしての特徴の比較。イオンの作成法、性質、等々。電子伝導とイオン伝導:それぞれの特徴と生命維持に関係する機能を知る。
電極反応の基礎(1)電極の種類と機能:電極の特徴を理解する。また、電極電位を理解し、絶対電位と相対電位の区別と参照電極の重要性を知る。
電極反応の基礎(2)電極反応の特徴:電極反応の利点と欠点をまとめる。電子とイオンの2種類の伝導キャリアの違いを理解し、それぞれの特徴が、電池などのエネルギーデバイスや生命維持にどのように関わっているのか学ぶ。
電解質と電位窓:電極以外の制限項目を整理し、電解合成の全体像をつかむ。
電解合成:生理活性分子の合成などの実例を示し、化学合成との違いを知る。
電解重合:高分子の合成法を知り、得られた高分子の特徴も併せて学ぶ。
細胞膜中の情報伝達:細胞膜での情報伝達の機構を学び、関与する分子を知る。
神経伝達機構とそのモデル:神経伝達の機構を学び、合成系での再現法を学ぶ。特に、化学的な合成に電気化学が有用であることを理解し、電子やイオンの移動がどのような機能につながるのか、生体系の例を理解しながら学ぶ。特に、神経に見られる情報伝達の特徴を理解する。
イオン液体:常温で液体の塩が存在することを物理化学的に理解し、その中でのイオン伝導を学ぶとともに、新しい材料としてイオン液体を理解する。
イオン伝導性高分子の構造と特徴:高分子固体中をどうしてイオンが移動できるのか学ぶ。
イオン伝導性高分子の機能:イオンを伝導できる高分子について、分子設計から特性までを学ぶ。
イオニクス:イオン伝導がどのような機能に結びついているのか学ぶ。各種イオニクスデバイスを実用化させるには全固体化が重要であることを理解し、そのための方法論を学ぶ。
バイオエレクトロニクス:生体分子を利用し、エネルギー変換、情報変換などを行う素子の作成について学ぶ。
履修条件・関連項目
物理化学、有機化学、高分子化学の知識が必要。関連科目:生命物理化学I, II
テキスト・教科書
指定しないが、できるだけ下記の参考書を用意して欲しい。

参考書
電子移動の化学(電気化学入門)(朝倉書店)
成績評価の方法
出席、出題レポート(レポートは3回程度)、最終テストを総合して評価。
出席(約25%)
出題レポート(約25%)
最終テスト(約50%)
教員から一言
電気やイオンの流れは、科学現象を理解する上で不可欠な素養です。今まで単に自然現象としてしかとらえていなかった現象を、分子レベル・イオンレベル・電子レベルで議論できるような素養を身に付けてください。
キーワード
電気化学,電子伝導,情報伝達,生物電気化学,イオニクス
オフィスアワー
講義の後、具体的には毎週木曜日、午後6時から7時頃まで。
備考1
時間が空いていればいつでも質問等に答える。メールでも随時質問等を受け付けている。しかし、自分で考えることが大切なので、単に「答えを教えてくれ」、「何を見れば答えが分かるのか?」という質問には答えない。
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2017/03/22 10:39:10