科目名[英文名]
動物栄養飼料学特論   [Advanced Animal Nutrition and Feed Science]
区分   選択必修   単位数 0.5 
対象学科等   対象年次   開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 96122
責任教員 [ローマ字表記]
豊田 淳(茨)   [TOYODA Atsushi]
所属 連合農学研究科 研究室   メールアドレス

概要
『脳機能と栄養』
 世界の先進国では高齢化社会が進んでいる。日本では特に医療費が経済全体を圧迫しており、医療費抑制が喫緊の課題となっている。特に高齢化の進む国では、アルツハイマー病に代表される認知症など脳機能に関係する疾患(脳機能障害)が増加している。ストレス社会による精神疾患も急増し、自殺者が増加していることも先進国に共通した現象である。さらに肥満、糖尿病などメタボリックシンドロームも摂食や代謝メカニズムの障害で起こることが分かってきているが、これらの代謝機能障害も中枢神経系の関与が指摘されている。しかし、多くの脳機能障害は現代医学をもっても治癒することが困難である。そこで脳機能障害には予防医学が重要と目されている。特に日々摂取する食事内容、つまり栄養因子は脳機能障害の予防に貢献するのではないかと見られている。最近、不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸やアラキドン酸の摂取が、脳機能に影響を与えることが一流の神経科学雑誌に報告された。脳機能と栄養学はこれらから発展が期待できる分野である。
本講義では脳機能と栄養に関連する基礎的事項と、関連する最先端のトピックを紹介する。特に記憶・学習、ストレスなどにポイントを絞って概説する。神経科学の基礎知識の無い受講生がフォローできるように講義する。
到達基準
脳機能と栄養に関連する基礎的事項と、関連する最先端のトピックを理解すること。
授業内容
1)脳の構造と機能
脳の解剖学的構造、脳を構成する細胞(ニューロン、グリア)とその生理学的特性について解説する。
2)記憶・学習のメカニズム
記憶・学習に関係する遺伝子、タンパク質、海馬神経細胞の電気生理学的特性について解説する。ノックアウトマウスの行動解析などについても触れる。
3)ストレスが脳と行動に与える影響
物理的ストレス、社会的ストレスなどが脳に与える影響について解説する。またストレスによって起こる異常行動やその脳内分子機構などにも触れる。
4)栄養因子の脳機能への影響
アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、ガンマアミノ酪酸など栄養因子の摂取が脳機能に与える影響を分子細胞レベルで解説する。特に記憶・学習、ストレスへの影響について触れる。
5)脳機能と栄養の最先端トピック
記憶・学習、ストレスとエピジェネティクスが関係しているということが明らかになってきているが、この分野のホットトピックスについて概説する。さらにメチオニンや葉酸などの栄養因子がエピジェネティクスに与える影響についても解説し、脳の高次機能にこれらの栄養因子がどのような影響を与えるか展望を議論する。母体と胎児の栄養学的相互作用についても時間があれば触れることとする。
履修条件・関連項目
テキスト・教科書
資料は授業時に配布します。
参考書
Eric Kandel et al. “Principal of Neural Science” (McGraw-Hill Professional,2012)
成績評価の方法
レポート提出による。
教員から一言
脳の機能と栄養に関する研究はホットになってきています。製薬、食品、化学などの関連企業も注目している分野です。是非、将来の進路の参考にしていただきたいと思います。
キーワード
オフィスアワー
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
語学学習科目
更新日付
2017/05/10 10:28:05