科目名[英文名] | |||||
環境動物保全学特論 [Advanced Animal Science for Environmental Conservation] | |||||
区分 | 選択必修 | 単位数 | 0.5 | ||
対象学科等 | 対象年次 | ~ | 開講時期 | 前学期 | |
授業形態 | 前学期 | 時間割番号 | 96322 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
金子 弥生 [KANEKO Yayoi] | |||||
所属 | 農学部 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
『食肉目動物と都市環境』 この講義では、食肉目動物Carnivoraを扱う。肉食性 (carnivourous) の採食の特徴は、食肉目動物だけでなく、植物、昆虫、魚類、鳥類、食肉目以外の哺乳類も示すが、食肉目が進化の過程で獲得した形質の特徴は、実は肉食でなく、「肉に全く頼らなくても生きていける」ということであった。講義では、このような進化上の特徴を紹介するとともに、世界の食肉目動物についての地理的分布、形態、生態、行動、餌動物や他捕食者との関係の多様性について、分類群ごとの特徴を説明する。そして、この多様性が、人間との関係、特に都市環境とどのような関係にあるかを紹介する。最近取り組んできた、中国や東京における中型食肉目の社会構造と環境選択の特徴、社会構造、動物と人間との関係についても紹介する。 1)食肉目動物とは? 食肉目はおよそ5500年前ミアキス(miacids)に起源を発し、現生の食肉目が分岐したのは、2500-3500万年前、多くは100万年前に出現した共通の祖先から分岐した。現在、世界には11科270種が生息する。体サイズは100g(イイズナ)〜800kg(ホッキョクグマ)までと多様である。 2)行動と社会構造の可塑性 食肉目動物はほとんどの種が夜行性、薄明薄暮型だが、日中活動もあることが知られている。季節的にも変化し、繁殖期が決まっている種では一定の傾向が見られる。小型で夜行性の種の大部分と、ネコ科は単独性(メスが単独で子育て)で、群れでの活動は見られない。複婚の種では社会性が見られ、ペアで子育てし若齢の子供が群れ(グループ、パック、クラン、プライドなど、種によって様々な呼び方をする)にとどまり、狩りの成功率や子供の生存率の上昇に貢献する。社会構造の種内の可塑性は、食物や他の資源の利用可能量に影響される。 3)食肉目動物にとっての都市環境と保全上の課題 人間による都市化が野生食肉目動物に与える影響は、大まかに以下の特徴がある。 ①都市化や近郊地域に適応したのは、中小型種。 ②繁殖力の高い種、すなわちコヨーテ、アカギツネ、アライグマがあてはまる。これらの種は繁殖開始年齢が早くリターサイズも大きい。 ③行動面においては、人間に対しどれだけ耐性があるか(親和的ということも含めて)が関係している。 保全面では、雑食性であることが、人間との間に被害問題というマイナスの影響をもたらしている場合があり、また進化上獲得したもともとの行動様式が変化している場合もある。これは、奥山から分布を拡大し都市近郊域に生息する段階で、生息地の断片化を体験し、まったく新しい、都市という環境に対面してうまくやっていけるような形質が確立された。動物だけでなく、都市環境では人間自体の生活様式も多様である。たとえば餌を人間自体が供給する、気候を変化させる、動物の権利や福祉への高い関心などである。結果として、都市環境への適応に成功した種は、人間環境への耐性が強くなり、さらに驚くべき変化を見せ始めている。 |
到達基準 |
講義では、食肉目動物の進化上の特徴、世界の食肉目動物についての地理的分布、形態、生態、行動、餌動物や他捕食者との関係の多様性について、分類群ごとの特徴を理解する。そして、この多様性が、人間との関係、特に都市環境とどのような関係にあるかをについて、考察を行う。 |
授業内容 |
上記の講義概要を参照。 |
履修条件・関連項目 |
テキスト・教科書 |
資料は授業時に配布します。 |
参考書 |
講義中に情報提供します。 |
成績評価の方法 |
レポート提出による。 |
教員から一言 |
食肉目という分類群をとおして都市環境を見ることで、農工大で行っている動物の社会生態や保全生態学という学問の魅力を知ってもらいたいと思います。 |
キーワード |
オフィスアワー |
備考1 |
備考2 |
参照ホームページ |
開講言語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2017/04/17 17:05:14 |