科目名[英文名]
蚕糸学   [Insect science]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 01AN3409
責任教員 [ローマ字表記]
横山 岳, 伊藤 克彦   [YOKOYAMA Takeshi, ITO Katsuhiko]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
 昆虫利用の歴史は古く、特に蚕は他の昆虫とは全く異なった、進化とも言える変化を遂げてきた。弥生時代に始まったわが国の養蚕は、太陽エネルギーを利用して植物を栽培し、それを飼料に動物を飼育して原料を得、さらに、その原料を加工して人間の生活に必要な物資を生産する大変幅広い生物生産活動を通し、日本の発展に貢献してきた。本講義では、100年以上の歴史を持つ蚕糸学の研究と技術を中心に、新たに発展した昆虫利用学の成立について概説する
1.カイコを題材として昆虫の形態と生理を理解する。
2.カイコにおける生理・生化学的研究を基盤に発達した、他に類を見ないカイコの生活環制御技術にどのようなものがあるかを知る。
3.カイコに関する農学研究が工業原料としての繭を生産・利用する技術へと進化し、わが国の工業化の基礎となった過程を学び、研究の意義を理解する。
到達基準
近代日本の礎となった蚕糸業を知り、カイコを学ぶことによって昆虫利用の概要を理解する。
授業内容
1.(横山)蚕糸学と昆虫利用学:日本の蚕糸絹業の歴史と昆虫利用学の成立を理解し、その総合科学としての意義を知る。
2.(横山)蚕糸業経営・昆虫利用学:現在の蚕糸業の現状(日本、中国、インド、ブラジルなど)について概略を学ぶ。
3.(横山)昆虫形態学:カイコを題材として昆虫の形態および生活環を学ぶ。
4.(横山)育蚕学1:掃き立て(孵化した蚕幼虫の飼育を開始する)、飼育、上ぞく(繭を作らせる場所にカイコを移す作業)、収繭(繭を収穫する作業)などについて農業としての昆虫飼育の概略を学ぶ。
5.(伊藤)育蚕学2・昆虫生理学:カイコを題材として昆虫の生理を学び、究極の昆虫成長制御技術(環境や生理活性物質による成長制御など)を知る。
6.(伊藤)蚕病学・昆虫病理学1:ウイルス病について学ぶ。
7.(伊藤)蚕病学・昆虫病理学2:ウイルス病の利用について学ぶ
8.(伊藤)蚕病学・昆虫病理学3:卒倒病(Bt)を中心とする細菌病、糸状菌病などについて学ぶ。
9.(横山)昆虫発生学:カイコを題材として昆虫の受精及び発生学を学ぶ。
10.(横山)蚕種製造:カイコ卵の保護・管理技術、催青管理技術、人工孵化法などについて概略を学ぶ。
11.(横山)蚕品種論・昆虫資源学:蚕品種の成立から現代の品種(ハイブリッド)について学ぶとともに、育種の基礎について概略を学ぶ。
12.(横山)栽桑学・樹木の栽培学:桑の品種、栽培法、収穫、病害虫などについて概略を学ぶ。
13.(横山)製糸・機織:繭から糸を繰って生糸を作り、絹糸から布を織る行程、織り上がった布についての基礎を学ぶ。
14.(横山)野蚕:天蚕を題材として野蚕の利用について学ぶ。
15.試験
履修条件・関連項目
東京農工大学の科学博物館を見学し、レポートを作成すること。
テキスト・教科書
プリント配布
参考書
蚕糸学入門
成績評価の方法
定期試験とレポート(2〜3回)で7割、授業評価3割の比率で点数化し成績を評価する。
教員から一言
農業の一分野としての養蚕から、その生産物である繭を原料として日本の基幹産業となった繊維工業が発達した。この日本独特の昆虫を利用した蚕糸業を基盤とする、世界に唯一無二の広範な学問分野が形成されたこと、さらに、その分野が昆虫利用学に発展したことを知って欲しい。
キーワード
蚕と桑,繭と絹,カイコの生活環制御、生物資源としてのカイコ、昆虫学、昆虫利用学
オフィスアワー
オフィスアワーについては開講日を原則とするが、随時メールで対応する。
備考1
備考2
参照ホームページ
http://www.tuat.ac.jp/~kaiko/
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/03/06 14:08:25