科目名[英文名] | |||||
天然物有機化学 [Natural Compound Organic Chemistry] | |||||
区分 | 選択必修 | 単位数 | 2 | ||
対象学科等 | 対象年次 | 2~ | 開講時期 | 後学期 | |
授業形態 | 後学期 | 時間割番号 | 01BN2120 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
牧 昌次郎 [MAKI Shojiro] | |||||
所属 | 農学府 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
天然有機化合物の生合成と生理活性、生物活性を考察する。動植物の生体内で化学物質である“天然物”が作られる化学反応経路である「生合成経路」の代表的なパターンを学ぶ。一見複雑に見える“天然物”が簡単なユニットの集合体であり、この簡単なユニットが酵素により結合、酸化還元、転位、選択的官能基化などを受けて、様々な構造を有する“天然有機化合物”が構築されることを理解する。また生合成された天然有機化合物が有する生物活性や生理活性を学ぶことで、「生物応答が化学物質で制御されている」こと、そして「化学物質で生物応答を制御する」こと考察する。生物サイクルや生物の特性などと活性物質による複合的な生物応答制御法の着想・発想力も概観したい。机上の知識の蓄積ではなく、知識の利用に関する視点で解説する。実用や応用に興味がない方には不向きです。 |
到達基準 |
複雑な天然有機化合物が簡単なユニットから構築される“生合成”を学び、「化学構造から生合成経路を考察できる基礎力」を身につける。天然物は一見複雑であるが、限られた材料(生体物質)と合成手段(主として酵素反応)しかない生体内で合成されていることを再確認する。そして代表的な“生合成経路”を学ぶことで、生体内の基本的な合成機構や基盤となる鍵中間体から複数の化学物質が構築されていることを理解する。また生合成された化学物質の作用を学ぶことで、より効果的に「化学物質で生物応答を制御する」ことに対する着想力や新規技術の発想力を養う。 |
授業内容 |
内容は「生合成」と「生物活性」の大きく2つに分かれ、それぞれいくつかのカテゴリーをもとに構成する。適宜実例等を交えて知識を具現化し、より高度な概念構築につなげる。 初回は概説を行い、第2回以降は各項目を2〜3回に分けて解説するが、関連する事項は項目に関わらず随時、項目を超えて解説する。知識を実用化する思考について考察したい。 I. 生合成と天然物 1.生合成とは(炭水化物の生合成、糖類) 生合成の意味、光合成の分子機構、光合成により生成する糖について解説する。化学物質の構造は複雑であるが、規則性があることにも注目し、化学物質と生物機能の導入的内容とする。 2.脂肪酸、ポリケチド、シキミ酸 脂肪酸の生合成経路、これにより得られるポリケチドから得られる芳香族系天然物とマクロライド、ポリエン系化合物の生合成や作用を紹介する。またシキミ酸経路とポリケチド経由の芳香族系天然物を対比する。 3.テルペノイド、ステロイド、アルカロイド テルペン・ステロイド系の天然物は、植物性天然物の代表といっても過言ではないほど、古くから盛んに研究されてきた。テルペンはイソプレン骨格を単位として生合成される。ステロイドの代表であるコレステロールは、トリテルペンから生合成される。テルペン・ステロイド系の生合成を学ぶ。 II. 天然物と生物活性 4.動物の生理機能調節物質 ホルモンは内分泌物質であり、標的部位に結合して微量で作用する。これらの化学物質の構造と類似作用物質、拮抗物質(剤)について解説する。 5.植物・菌類の生理機能調節物質 植物ホルモンで有名なのはオーキシンであろう。その代表はインドール酢酸(IAA)であるが、類縁体も知られている。またアブシジン酸のような成長抑制ホルモンも知られている。これらの構造と活性について解説する。 6.天然物と抗生物質(機能抑制物質) 抗生物質の構造と作用機作について、簡単な分類と解説を加える。 |
履修条件・関連項目 |
履修条件は特に無いが、有機化学の基礎知識があることを前提に授業を進める。矢印で反応機構が理解できるレベルの準備は必要。 |
テキスト・教科書 |
天然物化学(大石 武;朝倉書店) |
参考書 |
生合成の化学(大日本図書) |
成績評価の方法 |
定期テストを主に評価を決める。60点以上を合格とする。 |
教員から一言 |
天然物有機化学は生物応答と化学物質をつなぐ分野で、薬学(薬理・生理学)と重なる部分もあります。薬学は“人”を対象にした生理活性を主眼にしますが、天然物有機化学は広く生物応答を対象にしています。これらの化学物質を生物応答制御のツールにする発想や新しい材料創製の着想にまで発展し、優れた生体機能を実用技術へ発展させるなど、将来の科学を担う自覚も身に付けてください。『知識の蓄積ではなく知識を使うための話しを重視』します。科学技術の応用や実用に興味がない方には不向きです。 |
キーワード |
天然物化学、有機化学、生体物質、生合成、代謝経路、実用技術 |
オフィスアワー |
備考1 |
備考2 |
参照ホームページ |
https://itunes.apple.com/jp/book/%E3%81%8C%E3%82%93%E7%A0%94%E7%A9%B6%E8%AA%AD%E6%9C%AC-03/id1001386433?mt=11「がん研究読本3巻」の3章をご覧ください. |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2018/09/12 12:04:49 |