科目名[英文名]
環境気候学   [Environmental Climatology]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 01EN3123
責任教員 [ローマ字表記]
増田 耕一   [MASUDA Kohichi]
所属 農学府 研究室   メールアドレス

概要
大気・水圏からなる気候システムの科学を学ぶ。質量保存・エネルギー保存などの物理法則に基づいて、気候システムのエネルギーと水の循環を、大気に重点を置いて概観する。気候変動、とくに大気中の二酸化炭素の増加による地球温暖化について、エネルギーと水の循環の変化という観点から考える。
到達基準
気候システムのエネルギーと水の溜まりと流れに関する主要な物理量とその相互関係を理解し、その数量を操作できるようになる。気候システムになんらかの強制作用が加わった場合のエネルギーと水の循環の変化について概略の数量を計算してみることができるようになる。
授業内容
毎週1回、15回の授業をする。3回に1回程度、質量やエネルギーに関連する物理量の数量を計算してみる小課題を出す。講義では次の主題を扱う。各主題と講義日との対応は1 対1ではなくあらかじめ固定することがむずかしいが、「参照ホームページ」からリンクされた教材ページに逐次改訂して示す。
1. 地球のうちの「気候システム」の位置。エネルギー・物質循環系。フィードバックシステム。
2. 気候システムを考えるうえで必要な物理法則: 質量保存、運動方程式、エネルギー保存。
3. 地球の水と空気はどこにどれだけあるのか。静水圧のつりあいが近似的に成り立つこと。
4. 気候システム全体としてのエネルギーの出入り: 電磁波、太陽放射と地球放射。
5. 大気中の放射伝達と「温室効果」。
6. 大気の熱力学。対流。雲と降水(概略)。
7. 気候システムのエネルギー収支・水収支の概観。大気境界層(概略)。
8. 自転する地球の上にある大気と海洋の運動の力学的特徴。
9. 大気と海洋の「大循環」とそれによるエネルギー輸送・水輸送。
10. エネルギー・水循環に関する海陸のコントラストがもたらす気候の特徴。気候と植生の関係(概略)。
11. 全地球規模の気候を変化させる要因: 太陽の変動、温室効果、エーロゾルの効果(概略)。
12. 地球温暖化のしくみといわゆる温暖化予測の考えかた。
13. 地球温暖化の影響。世界の人間社会の課題としての地球温暖化問題。
期末レポート
履修条件・関連項目
他の科目の履修を条件とすることはないが、 農学部1年次必修科目程度の物理・化学・数学を前提とすることがある。 計算課題は、小レポートは手計算でも解答可能なものにする予定だが、 期末レポートは「情報処理学」履修ずみ程度の計算機利用能力を前提とする可能性がある。 計算手順は説明するが、計算機の使いかたに関して詳しい指導はしない。
テキスト・教科書
教科書は指定しない。教材と参考書紹介を授業用ウェブページに置く。
参考書
講義中に紹介し、授業用ウェブページにも紹介文を置く。
この科目の範囲全体をほぼカバーする本は日本語では見あたらない。英語では次のものがある。
David Randall, 2012: Atmosphere, Clouds, and Climate (Princeton Primers in Climate). Princeton University Press, 277pp. ISBN 978-0-691-14375-0.
部分的にカバーする参考書を列挙する。
安成 哲三, 2018: 地球気候学。東京大学出版会。
マーク デニー, 保坂 直紀 訳, 2018: 気象と気候のとらえ方。丸善出版。
釜堀 弘隆, 川村 隆一, 2018: トコトン図解 気象学入門。講談社。
小倉 義光, 2016: 一般気象学 第2版 補訂版。東京大学出版会。
鬼頭 昭雄, 2015: 異常気象と地球温暖化。岩波新書。
大河内 直彦, 2015: チェンジング ブルー。岩波現代文庫。
成績評価の方法
4回の小課題のレポート各10点 (期限内に提出したことを重視)、期末レポート(論述問題と計算問題。内容の理解と数量操作能力を重視) 60点。
教員から一言
自然を多様な性質をもつものとして認識することと、物理法則に従う数量として認識することは、両方重要なので、どちらもできるように能力をのばしてほしい。
キーワード
気候システム、 水循環、 大気・水圏のエネルギー循環、気候変化、地球温暖化、気象学、気候学
オフィスアワー
木曜、4限の時間帯。ただし所在は不確定。授業の際またはeメールで問い合わせてほしい。
備考1
備考2
参照ホームページ
http://macroscope.world.coocan.jp/ja/edu/clim_sys/2018/
開講言語
語学学習科目
更新日付
2018/09/18 17:01:26