科目名[英文名] | |||||
生命化学Ⅰ [Biochemistry Ⅰ] | |||||
区分 | 工学部専門科目等 | 選択必修 | 単位数 | 2 | |
対象学科等 | 対象年次 | 1~4 | 開講時期 | 後学期 | |
授業形態 | 後学期 | 時間割番号 | 021116 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
池袋 一典 [IKEBUKURO Kazunori] | |||||
所属 | 工学部 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
基礎生物化学で学んだアミノ酸、タンパク質、核酸、糖・脂質等の諸性質とその構造、特にタンパク質の構造と機能の相関に関する知識をもとに、代表的なタンパク質の一つである酵素にフォーカスを当て、その基本概念と研究法に学ぶ。さらに、呼吸、光合成等、生体における重要な代謝システムについて詳述し、生体反応における個々の酵素の役割と代謝系の中で複数の酵素系が効率よく反応を進める戦略について理解できるように指導する。 |
到達基準 |
この講義の目的は、生命化学を学ぶ上で不可欠な生化学、生物化学について理解を深めることである。基礎生物化学に続けてこの講義を受けることで、生命を形作る極めて多種多様な反応や相互作用を、それぞれの分子の視点で解釈する、すなわち生命現象を化学の視点で解釈することができるようになる。この講義では、酵素反応の戦略と調節機構、糖代謝と光合成明反応を分子レベルで理解できるようにすることを目的としている。 |
授業内容 |
本講義は、教科書とする「ストライヤー生化学」に基づいて行う。第7版の第8-10章、15-19章を、教科書に則して学んでいく。本講義では、大きく二つの内容に分けて学んでいる。前半では、生体触媒としての酵素の基本概念とその解析法、さらに代表的な酵素の解析例(触媒戦略、調節戦略)を学び、生命化学を学ぶ上で必要な酵素の概念を理解する。後半では、生体における代表的な酵素反応システムの一つである代謝について学ぶ。特に、本講義では糖代謝の各反応系と光合成を取り扱う。 1.酵素:基本概念と反応速度論(1):酵素の基本的性質を解説し、触媒としての機能を熱力学的な視点を交えて概説する。 2.酵素:基本概念と反応速度論(2):ミカエリス・メンテンの式を用いて酵素反応を理解する。また、様々な酵素反応の阻害機構について概説する。 3.触媒の戦略(1):既に良く研究されている代表的な酵素反応のメカニズムを解説し、酵素の触媒戦略を理解する。1回目はプロテアーゼとカルボニックアンヒドラーゼを扱う。 4.触媒の戦略(1):既に良く研究されている代表的な酵素反応のメカニズムを解説し、酵素の触媒戦略を理解する。2回目はDNA加水分解酵素とリン酸化酵素を扱う。 5.調節の戦略:酵素の活性は様々な調節を受ける。そのメカニズムについて学ぶ。具体的には、生産物による阻害、アロステリック阻害、共有結合性修飾による阻害、酵素自身が限定的に分解を受けて活性化する例などについて学ぶ。 6.代謝:基本概念と設計:生体内における物質変換である代謝に基本概念を学び、その概略を理解する。 7.学習内容の確認と復習(第1回から第6回までを取り扱う) 8.解糖と糖新生(1):生物が食物からエネルギーを獲得する反応系である呼吸の第一段階としての解糖について詳細に解説する。 9.解糖と糖新生(2):解糖系の調節機構と逆の反応系としての糖新生について学ぶ。 10.クエン酸回路:酸素呼吸において解糖系に続く反応系となるクエン酸回路について、必要事項を学ぶ。 11.酸化的リン酸化(1):ミトコンドリア内膜での電子伝達系によるプロトンの電気化学ポテンシャル生成機構について、反応に関わる膜酵素の構造情報も含めて概説する。 12.酸化的リン酸化(2):ミトコンドリア内膜の電子伝達系で生じたプロトンの電気化学ポテンシャルからATPが合成されるメカニズムについて、ATP合成酵素の研究成果をもとにして解説する。 13.光合成明反応(1):植物の葉緑体チラコイド膜で行われる光合成明反応のメカニズムについて解説する。 14.光合成明反応(2):集光性複合体など、光化学反応中心に効率よく光エネルギーを集めるための戦略について学ぶ。 15.学習内容の確認と復習(第8回から第14回までを取り扱う) |
履修条件・関連項目 |
この講義をしっかり理解するには、基礎物理,基礎化学,基礎生物も同時に履修することが望ましい。関連する科目は,基礎生物化学と生命化学II、分子生物学I及びIIである。 |
テキスト・教科書 |
ストライヤー 「生化学」第7版 (東京化学同人) |
参考書 |
成績評価の方法 |
出席、中間テスト、並びに学期末に行う試験の結果を総合的に評価し、判定する。本講義は、基礎生物化学を引き継いだ生命化学系の講義であり、今後、生命化学を学ぶ上で不可欠な内容を多数含んでいる。従って、基礎生物化学を引き継いで地道に継続的に学習することを推奨し、その努力を重点的に評価する。 |
教員から一言 |
本講義は、基礎生物化学、生命化学II及び分子生物学の授業と密接な関係にあり,専門科目の基礎となるので、必修ではないが、生命工学科の学生は必ず履修し、欠かさず出席して欲しい。より深く理解する為には、「ストライヤーの生化学」のホームページの積極的利用を推奨する。生命現象を理解するためには、物理、化学の知識が必要であり、時にはかなり高度な思考が要求されるので、授業中、不明な点は遠慮せず質問して欲しい。 |
キーワード |
タンパク質,構造と機能,酵素,代謝 |
オフィスアワー |
オフィスアワー:毎週木曜日16:00〜18:00,場所:10号館215号室(養王田)、217号室(尾高) |
備考1 |
備考2 |
参照ホームページ |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2018/06/11 13:54:56 |