科目名[英文名]
物理化学Ⅰ   [Physical Chemistry Ⅰ]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 14  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 021216
責任教員 [ローマ字表記]
熊谷 義直   [KUMAGAI Yoshinao]
所属 工学部 研究室 1N-101  メールアドレス

概要
本講義では、高校の物理や化学で学んだ基礎知識(気体の状態方程式、エネルギー保存則、etc.)を出発点として、エンタルピー、エントロピー、ギブズエネルギーという概念を新たに導入し、物質の物理変化・化学変化後の状態の予測や、変化の自発性について学びます。本講義内容は2年次以降に履修する講義や学生実験において必須のツール(道具)となります。
到達基準
物質の物理的・化学的な変化を利用するためには、熱力学を理解し、使いこなせなければなりません。この講義では、暗記とは異なる内容の理解に重点を置き、熱力学で出てくる様々な数式やその意味、代数的な符号の意味について理解を深め熱力学を応用できる能力を身につけることを目標としています。
授業内容
第1回 ガイダンス
第2回 気体の状態:気体の状態を指定する圧力、温度、体積について復習すると共に、高校では学習しなかった様々な単位による表記や単位の変換について学習する。
第3回 気体の状態方程式:経験的法則である気体の諸法則を組み合わせて気体の状態方程式を作り上げ、その利用について学ぶ。
第4, 5回 完全気体と実在気体:気体の巨視的な性質を個々の原子・分子の振る舞いと関連付けて考え、現実の気体(実在気体)とは何か、また実在気体の凝縮について理解する。さらに、実在気体の状態方程式の一つであるファンデルワールスの式を導出し、その利用および式中の係数と実在気体の臨界定数の関係について検討する。
第6回 熱力学第一法則(1):物理変化や化学変化の際のエネルギー保存を検討し、系が外界とエネルギーを交換する仕方を学ぶ。
第7回 熱力学第一法則(2):エンタルピーという新たな概念を導入し、その変化が意味するところを理解する。様々なケースについてのエンタルピー変化を学習する。
第8回 熱力学第一法則(3):状態変化や化学反応で発生したり必要とされる熱を計算する熱化学について学ぶ。
第9回 熱力学第一法則(4):状態関数の完全微分性を内部エネルギーとエンタルピーに適用し、観測量の間の様々な関係式を導出し、その意味を理解する。
第10回 熱力学第二法則(1):物理的、化学的な変化の自発性の起源を考え、エントロピーの概念を導入する。エントロピーを用いることで自発変化を定量的に論じることができることを理解する。
第11回 熱力学第二法則(2):いろいろな過程のエントロピー変化について、数式を導き、さらに実際に数値を計算する。
第12, 13回 熱力学第二法則(3):ヘルムホルツエネルギー、ギブズエネルギーという2つの熱力学的性質を導入し、ある物理変化、化学変化が自発的かどうかをその変化から論じることができることを理解する。任意の反応のギブズエネルギーを計算する訓練を行う。
第14回 熱力学第二法則(4):ギブズエネルギーが温度や圧力でどう変化するかを示す式を導出し、安定な相の出現について考える。また化学ポテンシャルを導入する。
第15回 最終確認演習
履修条件・関連項目
1年前期開講の化学基礎演習、一般化学を履修しておくことが望ましい。本科目は物理化学Ⅱ(2年前期)、物理化学Ⅲ(2年後期)の基礎となる重要な科目である。
テキスト・教科書
アトキンス物理化学(上)P.W.ATKINS著 千原秀昭・中村亘男訳(東京化学同人)を用いる。
参考書
「物理化学」のタイトルを有する書物が図書館に多数ある。
成績評価の方法
授業態度(15%)、定期的に行う英単語テスト(15%)、および最終確認演習(70%)で評価する。
教員から一言
 熱力学は数式が多く、取り付きにくいところがある。しかし一度内容を理解すれば、覚えておかなくてはならない式はそれ程多く無く、式の展開で芋づる式に拡張ができることに気付きます。化学の専門分野の基礎となる極めて重要な講義です。実際に鉛筆と紙を使って訓練して下さい。
 質問は講義終了後、あるいは下記のオフィスアワーで随時受け付ける。
キーワード
状態方程式,実在気体,熱力学第一法則,熱力学第二法則,ギブズエネルギー
オフィスアワー
オフィスアワー:毎週月曜日午後5時から6時まで、場所:新1号館N101号室。
備考1
備考2
参照ホームページ
http://www.tuat.ac.jp/~kumagai/
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/03/23 10:44:00