科目名[英文名]
量子化学Ⅰ   [Quantum ChemistryⅠ]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 24  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 022306
責任教員 [ローマ字表記]
久世 信彦   [KUZE Nobuhiko]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
量子化学は量子力学に基づき理論的・実験的に分子の様々な性質を調べる物理化学の一分野である。本講義では古典力学とは全く異なる量子力学の基本原理と分子の並進・振動・回転の量子論に関する基礎を学び,修得することにより,原子や分子の量子化学的・分光学的な原理とその性質を理解できるようになることを目標としている。従って本講義は「量子化学II」および「構造化学」の内容の基礎にあたる。
到達基準
(1) 古典力学と量子力学における,運動系の記述方法の違いについて理解している。
(2) 波動関数,ハミルトン演算子,シュレーディンガー方程式について理解している。
(3) 簡単な系についてシュレーディンガー方程式を作り,波動関数とエネルギー準位を求められる。
(4) 並進・振動・回転運動の量子化について理解している。
授業内容
第1回 イントロダクション・古典力学の破綻(テキスト(アトキンス物理化学(上)」第8版) 8.1節)
量子力学の起源,黒体輻射,光電効果,水素原子のスペクトル
第2回 光と粒子の2重性 (テキスト 8.2節)
コンプトン散乱と光の粒子性,物質の波動性とde Broglie波,前期量子論
第3回 シュレーディンガー方程式(テキスト 8.3-8.4節)
ハミルトン演算子,波動関数,定常状態のシュレーディンガー方程式
第4回 波動関数に含まれる情報1(テキスト 8.5節)
演算子,固有値と固有関数,エルミート演算子
第5回 波動関数に含まれる情報2(テキスト 8.5節)
量子力学における運動の表現,観測と期待値
第6回 不確定性原理と量子力学の基本原理(テキスト 8.6-8.7節)
不確定性原理,演算子の交換関係
第7回 並進運動(1) (テキスト 9.1節)
1次元の箱の中の粒子,境界条件と規格化条件,波動関数の形と性質,エネルギー準位
第8回 並進運動(2) (テキスト 9.2-9.3節)
3次元の箱の中の粒子,変数分離,縮重,トンネル現象
第9回 振動運動 (テキスト 9.4-9.5節)
調和振動子,エルミート多項式,波動関数とエネルギー
第10回 回転運動(1) (テキスト 9.6節)
平面上の円運動,極座標と座標変換
第11回 回転運動(2) (テキスト 9.7節)
3次元空間での回転,Legendre陪関数と球面調和関数
第12回 角運動量とスピン(1) (テキスト 9.7-9.8節)
角運動量,空間量子化,ベクトルモデル
第13回 角運動量とスピン(2) (テキスト 9.8節)
Stern-Gerlachの実験,スピン関数
第14回 近似法:摂動論 (テキスト 9.9-9.10節)
時間に依存しない摂動論,時間に依存する摂動論
第15回 まとめ
期末試験と解説

各回に予習・復習としてキーワードの解説および演習問題を解く課題を出す。
履修条件・関連項目
関連科目:数学各科目,力学,振動・波動の物理,電磁気学,無機化学Ⅰ
テキスト・教科書
「アトキンス物理化学(上)」第8版(東京化学同人)
参考書
Physical Chemistry Quanta, Matter, and Change, P. Atkins, J. de Paula, R. Friedman, Oxford, 2014
成績評価の方法
レポート(2回,20点)と期末試験(80点)の合計により評価し,60点以上を合格とする。
教員から一言
この講義では式の導出,微分積分計算などが多く登場します。講義中ではなるべく計算の段取りを追うことを目指しますが,講義内容の十分な理解のために予習復習の課題として計算問題などを課します。従ってこれら課題にも積極的に取り組むことを期待します。
キーワード
量子力学,ハミルトン演算子,シュレーディンガー方程式,固有値,固有関数,波動関数,不確定性原理
オフィスアワー
質問は講義中または講義終了直後,またはメール(n-kuze@sophia.ac.jp)で受けます。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
語学学習科目
更新日付
2018/03/28 16:36:21