科目名[英文名]
材料力学Ⅱ   [Mechanics of Materials Ⅱ]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 24  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 022537
責任教員 [ローマ字表記]
長岐 滋   [NAGAKI Shigeru]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
 材料力学は,様々な機械構造物の変形や強さを定量的に扱おうとする学問であり,機械構造物を設計するためには,欠くことができない基礎的な知識を学ぶ.
 材料力学Ⅱでは,材料力学Ⅰに引き続きはりの曲げの問題をより詳しく取り上げる.さらに,1次元の応力状態についてのみ材料力学Ⅰでは取り扱っていたが,ここでは複雑な応力状態での変形についても学び,様々な荷重を受ける材料のふるまいについての基礎を身につける.

到達基準
目標は以下の二点である.

  1)基本的なはりの問題(強度と剛性)がすべて解けるようになること.
  
  2)多軸応力状態の基礎知識を身に付け,主応力の概念を理解して,
    材料の破損法則を利用できるようになること.


授業内容
(1) はりに生じる曲げ応力とたわみ:復習
 材料力学Ⅰ,材力・機力演習で学んだ内容,特にはりの曲げについて復習する.以下のキーワードについて,理解できているだろうか? 

  せん断力図(SFD),曲げモーメント図(BMD),危険断面
  曲げ応力,断面2次モーメント,断面係数
  たわみ曲線,たわみの基礎微分方程式
  重ね合せの原理

(2) はりのたわみ
 はりのたわみは,たわみの基礎微分方程式を解くことによって求めることができるが,複数の集中荷重が加わったはりなどでは,計算が結構面倒になる.ここでは「特異関数」を用いて簡単に解く方法について説明する.

(3) はりの不静定問題(その1)
 力の釣り合い式(+モーメントの釣り合い式)だけで応力を求めることができる問題を静定問題(材力Ⅰで扱ったはりは全て静定),そうでない問題を「不静定問題」という.たわみを求めることによって,不静定問題を解くことができる.幾つかの例題を解く.

(4) はりの不静定問題(その2)
 前回に引き続き,はりの不静定問題について学ぶ.より複雑な荷重条件などの場合について説明する.また重ね合わせの原理を用いて不静定問題を解く方法を説明する.

(5) 長柱の座屈
 細長い柱状の物体に軸方向の圧縮荷重が加わるとき,急激に大きなたわみが生じる現象を「座屈」という.座屈の基礎式を導き,Eulerの座屈荷重について学ぶ.

(6) ひずみエネルギとその利用
 材料力学Iで学んだ「ひずみエネルギ」について復習し,はりの問題への適用を考える.
 応用例として,ひずみエネルギを用いたはりの衝撃問題の簡易解法について学ぶ. 

(7) カスティリィアーノ定理によるはりの解法
 はりの基礎微分方程式を直接解く代わりに,「エネルギ原理」に基づいてある点のたわみを求めることが出来る.その方法(「カスティリアーノの定理」)について学ぶ.カスティリィアーノの定理を用いてはりのたわみを求める方法を説明する. 

(8) 中間試験

(9) カスティリィアーノ定理の応用(1) 曲がりはり
 これまで学んだはりは,すべてその軸線が直線であった(真直はり).ここでは軸線が曲線である「曲がりはり」の簡単な場合について学ぶ.はりの長さに比べて断面寸法が小さい曲がりはりのたわみを,カスティリアーノの定理を用いて求める.

(10) カスティリアーノの定理の応用(2) 不静定はり,複雑なはり
 カスティリアーノの定理を用いて,不静定はりの反力を求める方法や,より複雑なはりのたわみを求める方法を説明する.

(11) 多軸応力状態(組合せ応力下)の応力とひずみ
 実際の部材では,複雑な荷重が加わり,一種類の応力のみが働くことはまれである.2次元,3次元での一般的な応力状態(「多軸応力状態」)について説明し,「 応力のつり合い」,「Cauchyの関係」について学ぶ.

(12) 主応力(1) モールの応力円
 多軸応力状態にある構造物の強度の評価をするには,「主応力」や「最大せん断応力」がしばしば用いられる.これらの概念を説明し,主応力と「主応力方向」を求める方法として 「モールの応力円」について説明する.

(13) 主応力(2) 固有値としての応力,
 主応力が応力の「固有値」であることなどについて説明する.
また多軸応力状態の例として,
          曲げと引張りが加わる軸
          曲げねじりが加わる軸
について説明し,その主応力を求める.

(14) 多軸応力状態での応力とひずみの関係
 多軸応力状態におけるひずみの定義,「ひずみと変位の関係」や,「多軸応力下でのHooke則」について学ぶ.また主応力に対応した「主ひずみ」について説明する.さらに2次元弾性問題の基礎として,「平面応力」「平面ひずみ」の概念について学ぶ.

(15)材料破損(破壊)の法則
 多軸応力状態の下でどのような条件のもとで材料の破壊が始まるかを表現する「破壊法則」について説明する.「最大主応力説」「最大せん断応力説」「せん断ひずみエネルギ説」などについて述べる.
       
・期末試験


履修条件・関連項目
材料力学Ⅰを履修していることが望ましい.というか,履修していない場合,よほど自分で材料力学Ⅰの勉強をしていないと,理解できないであろう.
テキスト・教科書
特に用いない.
参考書
材料力学の参考書は多数有るので,各自,自分にあったものを見つけること.
おすすめは「はじめての材料力学,有光隆 著(技術評論社)」など.
成績評価の方法
中間試験(約30%),期末試験(約40%) ,演習問題(主に,moodleの小テスト,約30%)によって評価する.
教員から一言
微分・積分,微分方程式,物理(力学)の知識を必要とする.この授業で得た知識は,弾塑性力学,塑性工学,材料強度学,固体力学,計算力学等を学ぶ基礎となる.
キーワード
応力,ひずみ,曲げ応力,はりのたわみ,多軸応力状態,主応力,主ひずみ
オフィスアワー
オフィスアワー:毎週木曜日12:30-13:00
備考1
講義に関連する連絡,演習問題の提示,解答例提示などは,すべて材料力学Ⅱのmoodleのページを通じて行うので,毎週必ず参照すること.
備考2
過去の成績分布
   2007年度 S= 8 A=20 B=13 C=32 D=17  合計 90名
   2008年度 S= 7 A=30 B=18 C=14 D=19   合計 88名
   2009年度 S=11 A=46 B=19 C=14 D=22  合計 112名
   2010年度 S= 4 A=29 B=19 C=11 D=27  合計 90名
   2011年度 S= 3 A=32 B=16 C= 5 D=11  合計 67名
   2012年度 S= 3 A=18 B=19 C= 8 D= 5  合計 53名
   2013年度 S= 6 A=21 B= 7 C=16 D=19  合計 69名
   2014年度 S= 5 A=65 B=25 C=13 D= 3  合計 111名
   2015年度 S= 6 A=21 B=17 C=11 D= 8  合計 63名
   2016年度 S=10 A=56 B=16 C=13 D= 0  合計 95名
参照ホームページ
http://www.tuat.ac.jp/~nagaki/zairiki/index.html
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/07/20 14:52:54