科目名[英文名] | |||||
生物化学Ⅱ [Bio Chemistry Ⅱ] | |||||
区分 | 工学部専門科目等 | 選択必修 | 単位数 | 2 | |
対象学科等 | 対象年次 | 3~4 | 開講時期 | 後学期 | |
授業形態 | 後学期 | 時間割番号 | 023217 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
岩井 伯隆 [IWAI Noritaka] | |||||
所属 | 工学府 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
生物化学は、化学的見地から生命現象を解明することを目的とする学問です。生物化学Ⅱでは、特に生命現象の根幹となる代謝について学びます。ほとんどの生物にとってエネルギーを獲得する上で必須経路となる解糖系やクエン酸回路を学ぶ事で生命の意義を考えます。また、生物化学Ⅰで学んだ生体の基本成分(糖類、アミノ酸、核酸、脂質)についての代謝経路を学び、生物の構成過程を理解します。その他に、生物化学反応では欠かせない酵素について反応速度論を学び、酵素反応が数学的に解釈できることを理解します。生命現象の詳細を理解していく講義となりますので、生物化学Ⅰで学んだ知識は講義内で必須となり、講義前にしっかり復習しておく事を勧めます。 |
到達基準 |
解糖系やクエン酸回路など主要代謝経路について学び、代謝全体とその反応プロセスを理解します。 各代謝経路の目的(生成物)や全体の収支、その制御について理解します。 酵素反応速度論について反応式を理解し、自分で導けるようにします。 |
授業内容 |
第1回 (10月1日)生物化学Ⅱの概説:講義スケジュールの説明をした後、生物化学Ⅰの復習を兼ねて小テストを行います。このテストの点数は特に成績評価に含めませんが、生物化学Ⅱを進める上で必要な知識ですので、しっかり思い出してください。後半では遺伝情報の流れについて話します。 第2回 (10月8日)膜輸送:細胞が外界との情報を伝達する上で重要な役割を果たす膜輸送について説明します。膜表面ではどのような分子を介して、どのようなやり取りが行われているのかを学びます。細胞が生存していくうえで、細胞膜を介したやり取りの重要性を理解します。 第3回 (10月15日)酵素:生体触媒として働く酵素について概説します。また酵素機能に必須となる非タンパク質因子である補因子や補酵素について学びます。酵素が化学触媒とは大きく異なる点として活性制御について解説します。 第4回 (10月22日)酵素反応速度論1:酵素反応を数式化することで、酵素反応を化学量論的に捉えます。このために必要となる定常状態仮説について説明し、ミカエリス・メンテン式の導き方を理解します。また酵素を定量的に評価する因子として「回転数」と「触媒効率」について学びます。 第5回 (10月29日)酵素反応速度論2:酵素反応における阻害剤の影響について考えます。3種類の阻害形式による、ミカエリス・メンテン式への影響を学び、ラインウィーバー・バークプロット上での変化を理解します。 第6回 (11月5日)代謝と解糖系:代謝について概説します。代謝の中で主役となる、2種類の化合物(通貨)について学びます。後半では、ほとんどの生物が中央代謝経路として利用する解糖系について学びます。我々が、なぜ炭水化物を主食とするのかを理解します。 第7回 (11月12日)クエン酸回路:ほとんどの好気生物が解糖系の下流に持つクエン酸回路について学びます。食餌から得た炭水化物が最終的にどのような形へ代謝されていくのか、この回路で何が獲得できるのか、またクエン酸回路から派生する生体物質について学びます。 第8回 (11月19日)中間試験:第1回から第7回までの範囲について、学習の理解度を試験で確認します。 第9回 (11月26日)中間試験の解説および電子伝達と酸化的リン酸化:ミトコンドリアで行われる呼吸のメカニズムについて解説します。生体が解糖系やクエン酸回路で獲得した還元力とエネルギーの関係を理解します。 第10回 (12月3日)ペントースリン酸経路:グルコースを解糖系とは異なった経路で代謝することで、ペントースを生成する経路を学びます。この経路では2種類の生成物が他の代謝経路に重要な役割を果たすことを学びます。 第11回 (12月10日)光合成(明反応):光合成経路について概略を説明します。さらに、光のエネルギーをどのような仕組みで生体が利用可能なエネルギーに変換していくのか?光合成の前半に当たる明反応について学びます。 第12回 (12月17日)光合成(暗反応):光合成の後半に当たる暗反応(カルビン回路)について学びます。また、熱帯植物に見られる、特殊なC4サイクルを学び、二酸化炭素を資源として考えたときの、植物の巧みな生存戦略について理解します。 第13回 (1月7日)脂質代謝1:食餌として取り込まれた脂質の体内での代謝経路について学びます。また細胞内で細胞膜やエネルギーとして利用される脂質の分解経路についてβ酸化を中心に学びます。 第14回 (1月21日)脂質代謝2:生体内で、糖やアミノ酸などから細胞膜やエネルギーの貯蔵として生成される脂質合成経路について学びます。炭水化物を取るとなぜ太るのか?を理論的に理解します。 第15回 (1月28日)最終試験 第9回から14回までの範囲内についての学習の理解度を確認します。 ※講義日程は予定です。急な休講や講義の進度によって前後する可能性がありますので、目安程度に留めてください。 |
履修条件・関連項目 |
高等学校卒業・大学初級程度の化学、物理、数学の知識があること、生物化学Ⅰを履修していることを前提に講義を進めます。 |
テキスト・教科書 |
ヴォート 基礎生化学、 D.ヴォート他、東京化学同人 |
参考書 |
ヴォート 生化学(上)(下)、 D.ヴォート他、東京化学同人 |
成績評価の方法 |
中間試験(45%)、最終試験(45%)および出席点(10%)で成績評価します。最終試験の受験資格は、授業日数の3分の2以上の出席が必須です。出席日数の不足者は最終試験を受ける資格がありませんので注意してください。 |
教員から一言 |
生命現象は、学術的興味の対象だけでなく、普段の私たちの生活にも密接に関わっていることがこの講義を通して理解できます。何気なく飲んでいる清涼飲料水に含まれている成分や、CMで取り上げられている成分にはどういう意味があるのか?是非、強い好奇心を持って講義に臨んでください。 |
キーワード |
酵素、代謝、生体分子 |
オフィスアワー |
学内滞在時間があまり長くないので、質問や相談は講義内もしくは講義終了後すぐに申し出てくれることが望ましいです。 |
備考1 |
きちんと出席し、板書をとることが基本です。一回目の講義はスケジュールや成績評価方法を説明しますので、受講予定者は必ず出席してください。 |
備考2 |
過去3年間の成績分布は以下の通りです。 H29 (2017) S 29%, A 57%, B 8%, C 2%, D 2% H28 (2016) S 25%, A 31%, B 39%, C 4%, D 2% H27 (2015) S 31%, A 34%, B 22%, C 11%, D 2% |
参照ホームページ |
開講言語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2018/03/27 14:23:27 |