科目名[英文名]
塑性力学   [Theory of Plasticity and Metal Forming]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 023512
責任教員 [ローマ字表記]
桑原 利彦   [KUWABARA Toshihiko]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
一般の工業材料は外力を加えると変形するが、外力の値がある限界値を超えると、外力を取り除いても元の形状に戻らない。このように材料が永久変形する性質を塑性と呼ぶ。本講義では、塑性変形する等方性金属材料の3次元変形解析に必要となる基礎理論とその応用例について講義する。まず、材料の塑性変形特性を定量評価する最も簡便な試験方法である単軸引張試験を対象として、弾性と塑性、真応力と対数ひずみ、対数塑性ひずみの合理性、真応力―対数塑性ひずみ曲線の関数近似等について学習する。次に、等方性金属材料が塑性変形するための条件式(降伏条件式と呼ばれ、塑性力学の根幹をなす概念である)として最もよく使われる、トレスカの降伏条件式とミーゼスの降伏条件式について学習する。さらに降伏条件式の実用加工への応用例として、円筒容器の深絞り加工の解析手法を学ぶ。次に、等方性金属材料の最も基本的な構成式(応力-ひずみ関係式)である、Levy-von Mises の式およびPrandtle-Reuss の式について学ぶ。最後に、多軸応力下での加工硬化特性を普遍化する上で重要な概念である、相当塑性ひずみ、相当応力、塑性仕事、等方硬化理論、および塑性仕事等価説について理解を深める。
到達基準
概要に記載された内容を100%学習・理解すること.
関連する演習問題が解けること.
授業内容
1.導入講義:塑性力学と最先端のものづくり技術とのかかわり
2.単軸引張試験と材料特性の測定方法(その1)
弾性と塑性,一様伸び,拡散くびれと局所くびれ,真応力と対数ひずみ,対数ひずみの合理性,体積一定条件式
3.単軸引張試験と材料特性の測定方法(その2)
対数塑性ひずみの求め方,真応力―対数塑性ひずみ曲線の関数近似,加工硬化指数,応力-ひずみ曲線のモデル化,異方性,r値,ひずみ速度依存性
4.1次元の曲げ解析(2回)
曲げにおけるひずみと応力の計算方法,曲げモーメント, 曲げモーメント-曲率線図,スプリングバック解析,スプリングバックに影響を及ぼす因子,ステンレス鋼板のスプリングバックにおけるSD効果の影響
5.等方性材料の降伏条件式(その1)
3次元応力状態の復習,モールの応力円,最大せん断応力,最大主応力,最小応力,降伏条件式と降伏曲面,法線則,トレスカの降伏条件式,
6.等方性材料の降伏条件式(その2)
ミーゼスの降伏条件式,平面応力状態におけるトレスカおよびミーゼスの降伏曲線,ミーゼスの降伏条件式の物理的解釈,降伏条件式の実験検証の方法(Taylor と Quinney による検証実験)
7.円筒容器の深絞り加工の解析(2回)
つり合い式,フランジ部の応力解析,限界絞り比の計算
8.等方性材料の降伏条件式(その3)
3次元の主応力空間におけるトレスカおよびミーゼスの降伏条件式の図形表示,偏差応力,静水応力,降伏応力の静水応力無依存性
9.等方性材料の弾塑性構成式(4回)
Levy-von Mises の式,Prandtle-Reuss の式,相当塑性ひずみ,相当応力,塑性仕事,等方硬化理論,塑性仕事等価説の実験検証
履修条件・関連項目
材料力学,弾性力学
テキスト・教科書
1.自作のプリント
2.日本塑性加工学会編:例題で学ぶはじめての塑性力学,(2009),森北出版
参考書
特に指定はしません.
成績評価の方法
期末試験とレポートの総合評価
教員から一言
自作の講義資料を使って,演習問題を解きながら,基礎から応用までわかりやすく講義します.力学の講義は.大河ドラマと同じで,1回聞き逃すとストーリー(理論の展開)が不明になり,それ以降の講義の理解に支障をきたします.よって毎回欠かさず出席のこと.
キーワード
弾性と塑性,真応力と対数ひずみ,曲げ,スプリングバック,等方性材料,降伏条件式,深絞り加工,Levy-von Mises の式,等方硬化理論,相当応力と相当塑性ひずみ,塑性仕事等価説
オフィスアワー
備考1
備考2
参照ホームページ
http://www.tuat.ac.jp/~kuwabara/
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/04/10 10:58:07