科目名[英文名]
量子力学Ⅰ   [Quantum Mechanics Ⅰ]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 023603
責任教員 [ローマ字表記]
畠山 温   [HATAKEYAMA Atsushi]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
量子力学入門で学んだ,波動と粒子の二重性を持つ量子力学的粒子の運動を扱う基礎理論を学ぶ。基礎方程式であるシュレーディンガー方程式を一次元の問題に適応して解きながら,量子力学の特徴を理解する。その上で,量子力学の基本的枠組みを,数学的な道具立てを整理しつつ考える。
到達基準
1. 量子力学の基本的概念(波動関数の意味,演算子の意味,測定など)を理解している。
2. 1次元の簡単なポテンシャルの場合について時間を含まないシュレーディンガー方程式を解き,量子力学的な状態の特徴を説明できる(非束縛状態,束縛状態の両方について)。
3. 量子力学を記述するための理論的な枠組みを理解している。特に,ブラとケットを使って議論できる。
授業内容
1. シュレーディンガー方程式(1-2回)
・シュレーディンガー方程式
・波動関数とボルンの確率解釈
・物理量の期待値と演算子
・量子力学の古典的極限

2. 1次元の問題:束縛状態(3-6回)
・時間を含まないシュレーディンガー方程式
・井戸型ポテンシャル
・調和振動子

3. 1次元の問題:透過と反射(7-8回)
・波動の反射と透過
・ポテンシャルの山がある場合とトンネル効果

4. 中間まとめ(9回)

5. 量子力学の基本的枠組み(10-14回)
・ヒルベルト空間,ブラ・ケット,演算子,基底
・測定,観測量
・波動関数再考
・不確定性関係

6. 期末まとめ(15回)
履修条件・関連項目
量子力学入門に引き続く科目である。また,量子力学演習と完全に連動して行うので,両方の受講を強く勧める。この講義と演習の評価はまとめて行う(同じ評点がつく)。ただし,他学科の学生は講義だけ受講することも可能である。その場合でも講義は演習を同時に履修していることを前提として行うので,教員に申し出て演習の問題を手に入れて自習すること。
テキスト・教科書
畠山温,「量子力学」(日本評論社)
参考書
【1】猪木,河合「基礎 量子力学」(講談社サイエンティフィク):基礎的な事項にしぼってあるが,大学の学部で習う量子力学の基本的な内容を網羅している。問題に対する解答が丁寧に説明してあるのが特徴。講義内容の1-3はこの教科書を参考にしている。なお,同じ著者による「量子力学I・II」はもう少し高度な内容を扱っている同様の特徴を持つテキスト。
【2】サクライ「現代の量子力学 上・下」(吉岡書店):歴史的な量子力学発展の経緯に縛られず,量子力学の本質が理解しやすいように書かれた教科書。【1】などでシュレーディンガー方程式の解法にある程度慣れた後で読むことを想定されている。講義内容の5はこの教科書を主に参考にしている。
【3】清水「新版 量子論の基礎」(サイエンス社):【2】と同様に歴史的な経緯に縛られずに書かれた教科書で,初めて量子力学を学ぶ人が量子論の本質に早くたどり着くことを意図した,量子力学の入門書(扱い方はなかなか高級です)。
成績評価の方法
最終的な評価(100%分)の内訳は,中間試験30%, 期末試験30%, 連動して行っている量子力学演習(宿題と議論)40%。量子力学演習に登録していない人は,中間50%, 期末50%。
教員から一言
量子力学は,人類に「古典的」世界観の変更を迫り,科学の世界を超えた革命を起こしました。そして,現代のエレクトロニクスを中心とした科学技術の基礎となっています。大学で物理学を学ぶみなさんにはぜひこの量子力学に慣れ,その本質を理解してもらいたいと思います。講義でも,まずシュレーディンガー方程式を解くことで量子力学の世界に触れ,その後,理論的枠組みを整理して行きます。
キーワード
波動関数,シュレーディンガー方程式,井戸型ポテンシャル,調和振動子,トンネル効果,ブラ・ケット,演算子,観測
オフィスアワー
質問は随時受け付けますので教員の部屋にきてください。つもる話のときはメールなどで連絡をとったほうが確実です。
備考1
教員の講義ノートは講義で扱ったところまでMoodleで公開しますので、必ず見て復習してください。
備考2
参照ホームページ
Moodleを利用
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/04/16 8:03:18