科目名[英文名]
生物制御科学特論Ⅴ   [Special Lecture on Bioregulation and Biointeraction Ⅴ]
区分 共通科目  選択必修   単位数 1 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 前学期 
授業形態 前学期  時間割番号 05MC5405
責任教員 [ローマ字表記]
武藤 昌図   [MUTOH Masato]
所属 農学府 研究室   メールアドレス

概要
 この100年間の科学技術を顧みると、ケミカル、エネルギー、情報の分野が爆発的に進展し、産業に決定的なインパクトを与えました。一方、バイオ技術も革新的な進歩を遂げましたが、産業への寄与はこれらに比べて大きくはありません。これは生物現象を制御することの難しさを反映しており、今後は生物制御に特化した技術を進展させる必要があります。この講義では、生物制御を目指したバイオ関連研究開発の動向と未来像を解説します。
到達基準
1.生物制御科学に関する先端技術の概要を理解することができる。
2.産業界における研究戦略の重要性を理解できる。
3.技術的なアイデアを創出し、文章にまとめることができる。
授業内容
講義内容は以下に示しますが、講義の進展などで変更することがあります。講義の終わりに次回テーマを簡単に説明するので、予習してください。講義ノートをきちんととり、復習に活用してください。
第1回 生物制御技術とは
生物制御がなぜ難しいか、生物制御を成し遂げるにはどのようなアプローチがあるのかなどを考察します。また、新しい技術が競争に勝ち残り、産業化されて生活に織り込まれるために重要な「技術戦略」に関しても概要を知ります。

第2回 感覚器の制御
 人体の感覚のうち特殊感覚に属する視覚・聴覚・味覚・嗅覚・平衡感覚などは制御が難しいと言われてきましたが、最近の研究の進展により制御できるものも出てきました。網膜細胞を維持する分子、視覚障害者や聴覚障害者へのBMI、味覚受容体の分子モデル、コク味の発見、味覚受容体の味覚非関連臓器での発現など最新の話題を提供します。

第3回 演習1
 生物制御技術に関わる製品の開発戦略に関わる演習を行います。

第4回 脳と精神の制御
人間の脳には1,000億以上の神経細胞が存在し、回路を構成しています。神経回路による情報処理で記憶や学習、さらには感情や心といった高度な神経活動が営まれていますが、様々な原因で生じた神経活動の異常に、医薬や医療機器で制御していくことが可能となってきました。生物制御の到達点とも言える神経活動の制御に関する最新情報を学びます。

第5回 癌の制御
 国民の3人に1人ががんで亡くなり、2人に1人ががんにかかる時代となった。本講義では、がん細胞の性質、がん発症のメカニズム、がん予防、がんの治療に関して総論的に講義し、がんを制御するための最新の方策について考察する。

第6回 演習2
 生物制御に関わる製品のアイデアの想起に関わる演習を行います。

第7回 老化、睡眠、糖尿病の制御
 最近病態の分子メカニズムが明らかとなり、疾患関連分子を標的にした新しい治療が検討されつつある睡眠障害、糖尿病、神経変性疾患などについて最近の知見を紹介します。寿命延長の試み、自然睡眠を誘発する医薬品、腎臓の糖再取り込を抑制して血糖値を減少させる医薬品、アルツハイマー病患者の脳に蓄積する変性タンパク質の生合成を抑制する試みなども言及します。

第8回 バイオサイエンス・バイオ産業の未来像
 ゲノム工学の発展により、今までの分析的生物学は統合的生物学に変貌し、産業は製造業からナレッジインダストリィにパラダイムシフトしつつあります。近年バイオサイエンスの研究速度を加速している要因はなんであるかを考え、来るべき「心地よい未来」をもたらすためには、どのように専門や技術と付き合ったら良いかを考察して、まとめとします。
履修条件・関連項目
特になし
テキスト・教科書
指定しない
参考書
指定しない
成績評価の方法
毎回の授業の課題と演習問題を提出してもらい評価します(100%)。課題は、講義で提示します。
教員から一言
社会で生きていくには、専門外の知識も大切です。自分の専門の外にある話を拒絶するのではなく、頭を柔らかくして受け入れて欲しいと思います。若い受講生の皆さんこそ、柔軟な発想ができると信じています。講義でお会いできるのを楽しみにしています。
キーワード
癌、腫瘍、異分野融合、先端技術、バイオサイエンス、環境、脳科学
オフィスアワー
御用の方は、福原敏行先生にコンタクトしてください。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/03/20 18:01:58