科目名[英文名]
保全遺伝生態学特論   [Advanced Generic Conservation Ecology]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 05MN5726
責任教員 [ローマ字表記]
佐藤 俊幸   [SATO Toshiyuki]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
近年、野外個体群において、人為的移入による遺伝学的攪乱により、地域固有の遺伝子構成が破壊されることが問題となっている。また、都市化など人間活動の影響により生息地が分断・孤立化し、局所個体群の遺伝的多様性が低下することも問題となっている。遺伝的攪乱や多様性の損失は、適応と進化の歴史を破壊し、個体群の絶滅危険性を増大させる。野生生物の保全では、単に個体数維持だけではなく、遺伝的多様性の保全についても考えなくてはならない。そのためにはメタ個体群構造を維持することが重要となる。生物保全を遺伝子レベルから考えるには、近年目覚しく発展した分子生物学的技術が役に立つ。本講義では、遺伝子マーカーを保全生態学にとりいれた最新の研究分野の基礎と応用を解説する。DNA多型検出の実習も行なう。 
到達基準
遺伝子レベルからの保全の重要性を理解する。
授業内容
1.イントロダクション。生物保全に遺伝生態学的視点を取り入れることの重要性を解説。
2.保全生態学で有用な遺伝マーカーの基礎を解説
3.複数遺伝子座の多型を同時に検出する中立マーカーを用いた研究の利点と欠点、実際の野生生物への適用例を解説。
4.遺伝子座特異的な中立マーカーの利点と難点、実際の野生生物への適用例を解説。
5.適応形質に関わる非中立な遺伝マーカーを利用した実際の研究例を解説。
6.まとめ:講義篇のまとめを行なう。小テストを実施し、理解度をチェックする。
7.実習編:PCRを用いた簡単な多型検出の実験を行う。
履修条件・関連項目
履修条件は特にないが、学部で基礎生物学、分子生物学を学んでいれば、遺伝マーカーの基礎は理解しやすいだろう。
テキスト・教科書
Moodleでダウンロードすること。
参考書
①「森の分子生態学」種生物学会 篇、文一総合出版
②「保全遺伝学」小池裕子・松井正文 篇、東京大学出版会
③「保全生態学入門」鷲谷いづみ・矢原徹一 著、文一総合出版
④「保全遺伝学入門 」 J.D. R.Frankham, 高橋洋, D.A. Ballou, Briscoe, 西田睦, 山崎裕治, 渡辺勝敏、文一総合出版
成績評価の方法
①講義篇のまとめの小テストで6割、②DNA実習の平常点で4割(実習に参加できない者はレポートで評価)。①と②の合計で総合評価。
教員から一言
学部で生物学、分子生物学を学んでいない人にも遺伝マーカーの基礎的な事柄が分かるように、実習を取り入れ、解説する。生物保全に携わる方、関心のあるかた向けに実例を豊富に用意した。
キーワード
保全生態学、遺伝的多様性、遺伝学的汚染、メタ個体群、DNA解析
オフィスアワー
オフィスアワーとして火曜3限目に質問を受け付けるが、相談のうえ他の日時に調整も可。E-メールでの質問も受け付けている。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/03/16 14:20:43