科目名[英文名]
環境資源物質科学特別講義Ⅱ   [Special Lecture Ⅱ on Natural Resources and Ecomaterials]
区分 共通科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 05MR5502
責任教員 [ローマ字表記]
芳賀 尚樹, 高栁 正夫, 宮澤 光博, 平野 智也   [HAGA Naoki, TAKAYANAGI Masao, MIYAZAWA Mitsuhiro, HIRANO Tomoya]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
【平野】
ケミカルバイオロジーとは化学的な手法、技術を用いて、生命現象の解明を目指す研究分野である。本分野では特定の生理作用を引き起こす分子や、生理的条件下において選択的な結合の形成または切断される化学反応、生体内分子の濃度、活性の変化、癌などの疾患組織を検出するセンサーも開発されてきた。こうした分子は基礎研究だけでなく創薬の分野においても利用されており、新たな治療法の構築へとつながっている。本科目では、ケミカルバイオロジーの基礎およびその最先端の研究について学ぶ。本講義では、当該分野の重要な研究例の紹介からその概念の理解をすることを目指す。

【宮澤】
私たちの日常生活は、様々な波長の電磁波を活用した物質科学と密接に結びついています。例えばエネルギーの高い電磁波の1つであるγ線はバイオ実験器材の殺菌に、X線はレントゲン検査のみならずタンパク質をはじめ分子構造の解析に広く活用されています。また地球観測衛星には、可視から赤外に至る波長の吸収を観測する装置が搭載されています。収穫したミカンなど柑橘類の糖度を、そのままの状態で評価するために、近赤外光の吸収を測定する装置が活用されています。このような技術には非常に高い信頼性が要求されますが、様々な基礎研究の積み重ねがこれを可能にしました。本講義では様々な波長の電磁波(γ線、X線、紫外光、可視光、近赤外光、赤外線光、テラヘルツ光など)の性質やこれらを有効に活用するための基礎原理、応用されている現場などについて広く知識を整理して紹介します。
到達基準
【平野】
序盤の講義ではケミカルバイオロジーの考え方を学ぶ。続いて当該分野での研究例を紹介し、種々の機能を持った分子が、どのようにして開発され、応用されてきたかについて学ぶ。こうした講義を通じて、最先端の研究の場では個々の研究者が、どのように研究目標を定め、解決するための作業仮説を構築し、それに合わせた研究計画を立案してきたかを理解することを目標とする。

【宮澤】
私達の身の回りで電磁波がどのように使われているのかを理解すること。
電磁波を正しく有効に活用するためにはどのような知識や基礎原理が必要なのかを理解すること。

授業内容
【平野】
本科目は集中講義3回により実施する。
第1回 ケミカルバイオロジー概論
 本講義では、ケミカルバイオロジーの考え方、基礎について学ぶ。
第2回 生体機能を制御する分子の開発と応用
 特定の酵素、受容体の機能を阻害または促進する分子は、生理機能解析を行う上で有用である。本講義では、こうした分子を開発するための方法論となるケミカルジェネティックスおよび、光を利用した生体機能の制御法について学ぶ。
第3回 生体機能を測定する分子の開発と応用
 生体内に存在する分子種の濃度変化、特定の蛋白質の局在、癌等の病変部を可視化する手法は分子イメージングと呼ばれ、基礎研究に有用のみならず、病理診断等を通じて医療の分野にも大きく貢献している。本講義では、こうした分子イメージングを可能とする機能性分子、特に蛍光により可視化を行う蛍光センサーについて学ぶ。

【宮澤】
2日間の集中講義で実施する。
(1) ミクロの世界における電磁波の性質
(2) γ線およびX線の性質と利用法(エネルギーの高い電磁波の発生原理と活用)
(3) 紫外光および可視光の性質と利用法(電子スペクトルの原理と活用)
(4) 近赤外光および赤外光の性質と利用法(分子振動スペクトルの原理と活用)
(5) 最新のイメージング技術(テラヘルツ光など)の活用

履修条件・関連項目
【平野】
学部時代において有機化学を始めとする化学一般の授業を履修済みであること、もしくはそれと同等の知識を持っていることが望ましい。ただしこれは必須条件ではなく、他分野の研究を行っている大学院生の受講も歓迎する。

【宮澤】
特になし.
テキスト・教科書
【平野】
授業当日に配布する資料

【宮澤】
特に指定しない.

参考書
【平野】
「Chemical Biology」L. Schreiber, T. Kapoor, G. Wess編、WILEY-VCH
「ケミカルバイオロジー」蛋白質核酸酵素2007年10月号増刊、共立出版
「Principle of Fluorescence Spectroscopy」Joseph R. Lakowicz著、Springerなど

【宮澤】
講義の最中に、適宜関連文献などを紹介する.


成績評価の方法
【平野】
出席(50%)およびレポート(50%)による.

【宮澤】
出席状況および講義時間中に作成するレポート(本人のノートを参照することは可)の内容を評価しながら総合的に判断する。
教員から一言
【平野】
本講義は大学院生を対象にした講義です。そのため、授業を受け身になって聞いているのではなく、例えば紹介される最先端の研究に関して、自分ならどういったアプローチで研究を行うか?を考えながら講義を受けて欲しいです。

【宮澤】
私たちの普段の生活の中には、様々な電磁波が利活用されているということを中心に講義を進めたいと思います。
キーワード
【平野】ケミカルバイオロジー、ケミカルジェネティクス、有機化学、分子イメージング、蛍光 【宮澤】分光分析、試料調製、タンパク質、分子構造
オフィスアワー
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2018/03/27 10:48:57