科目名[英文名]
共生持続社会学特別講義Ⅲ   [Special Lecture on Sustainable and Symbiotic Society Ⅲ]
区分   選択必修   単位数 1 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 後学期 
授業形態 後学期  時間割番号 05MS5204
責任教員 [ローマ字表記]
友田 滋夫   [TOMODA Shigeo]
所属 農学府 研究室   メールアドレス

概要
世の中には様々な年齢、職業の人たちが暮らしているが、そのすべての人たちが健康で文化的な生活を送ることは、共生社会の基本である。このことについて労働力基盤の再編という観点から理解することを目標とする。
到達基準
(1)日本における労働力基盤の変遷について理解する。
(2)労働力基盤の変化に伴う不安定雇用の拡大、低所得層の増加について理解する。
(3)低所得層の拡大と農村地域における労働力不足が並立していることを理解する。
(4)低所得層の増加による食の貧困化について理解する。
授業内容
第1回(10/2)オリエンテーション

第2回(10/9) 農村から都市への労働力移動の限界と農村労働力基盤の掘り起し
・農村地域工業導入促進法の制定の背景等について述べる。
・製造業の農村進出とともに農村女子労働力の兼業化が進んだこと、さらに1975年以降、非農家女子労働力の活用が進んだことについて述べる。

第3回(10/16) 国内労働力基盤の脆弱化
・農家労働力基盤の枯渇傾向と少子化により、国内における労働力供給基盤が脆弱化するとともに、労働力を海外に求める動きが進むことについて述べる。また、このような動きが農業労働力においても生じてくることを述べる。

第4回(10/23) 新たな低賃金基盤の創出と農村立地企業の実態
・多様な形態での非正規雇用の拡大によって国内労働力基盤が再編されるが、それは農家という自営業に基盤を持たないため、何らかの要因によって失業した場合にも自営業内の潜在的失業者となることが困難であり、失業率が全体的に上昇することを述べる
・外国人労働者受入施策の展開と企業の海外進出による労働力基盤の拡充について述べる。

第5回(10/30) 労働力基盤再編途上期東北における農村立地企業の雇用状況
・1970年代以降の東北地域における農村立地企業の展開について述べる。
・労働力基盤再編の結果として生じた不安定・低所得者の増加の現状について述べる。

第6回(11/6) 大分県山間農村における就業基盤の変遷
・大分県のある山間農村を事例に、就業基盤の変遷について述べる。

第7回(11/13)労働力枯渇下の農村企業・日本に広がる非正規雇用の可能性と現実
・農村労働力の枯渇の結果として、農村立地企業が農業以上の人材難、労働力不足に直面していることについて述べる。

第8回(11/20) 所得低迷と家計消費の減退、食の貧困化
・所得低迷が家計支出の低迷を招いていることについて述べる。
・所得低迷に加え、食についての社会的強制支出の増加により、実質的な食の貧困化が生じていることを述べる。
・レポート課題の提示。
履修条件・関連項目
テキスト・教科書
参考書
『経済構造転換期の共生農業システム 労働市場・農地問題の諸相』 農林統計協会
「増加する低所得層と日本農業 〜日本農業は誰に向かって生産をするのか〜」(『JC総研レポート』40〜43号)
『労働市場の地域特性と農業構造』 農林統計協会
『現代の「低所得層」』 未来社
成績評価の方法
期末レポートにより評価する
教員から一言
社会学者の石田浩は『教育とキャリア』(勁草書房)で「高等教育レベルの学歴を獲得すれば、職業的地位は上昇する」と述べています。みなさんも高等教育レベルの学歴を獲得しているので、職業的地位が上昇する可能性も高まっています。他方で、政治家集団や国家公務員、各種審議会委員など、政治に直接かかわる人々は職業的地位が高いためか、職業的地位の低い人たちの意見が政治に届きにくくなっているようにも思えます。共生と貧困は相いれません。みなさんが高い職業的地位を獲得したのちも、非正規雇用の拡大、低所得層の増加といった現実を見据える視点を持ち続けるためのきっかけとして、この講義を役立ててほしいと思います。
キーワード
オフィスアワー
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
語学学習科目
更新日付
2018/09/18 16:55:40