科目名[英文名] | |||||
生理活性物質化学 [Bioactive Material Chemistry] | |||||
区分 | 選択必修 | 単位数 | 2 | ||
対象学科等 | 対象年次 | 3~ | 開講時期 | 1学期 | |
授業形態 | 1学期 | 時間割番号 | 01BN3130 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
川出 洋 [KAWAIDE Hiroshi] | |||||
所属 | 農学部 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
生理活性を有する低分子有機化合物の生合成と受容、情報伝達・生理活性発現の一連のプロセスを、天然物化学的な思考から学んでいきましょう。最近の欧米で新しい概念として定着してきている、ケミカルバイオロジー(化学生物学)的な視点からも学べるように教授します。これらを通して,より広く科学的思考能力と表現力=説明能力を身につけるとはどういうことかを考えてもらい、今後の科学的な活動に活かしてもらえればよろしいかと考えます。 |
到達基準 |
生物の生理現象を低分子の生理活性分子を介して理解できる。たとえば、植物の成長を①植物ホルモンの生合成による制御;②受容と情報伝達;③未解明のホルモン(新しい生理活性物質)の構造と作用,ならびにホルモンとして考えられる根拠・・・・のいづれかの視点で説明できる、解説できるような能力を身に付けてもらいます。これを標準到達基準とします。 本科目のディプロマ・ポリシーの観点:本学HP(三つのポリシー)のカリキュラムマップを参照してください。 https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/ |
授業内容 |
生物の生命現象には、ホルモンに代表される低分子の有機化合物が成長制御に関与しています。生体内でこれらの物質がどのように作られるのか(生合成)を理解することは、有機合成化学が人間の英知を結集して天然物を創製するのとは別の、生物の持っている素晴らしい物質合成能を人間の英知を結集して理解する学問的魅力があります。物質化学から生命現象を解釈するするため、分子レベル(分子生物学的な要素も含む)で生合成のプロセスとその制御機構、生理活性物質の受容と情報伝達までを最新の話題から提供していきます。 当講義では、特に植物ホルモンに関する最新の話題と、植物・微生物が作り出す生理活性物質について話を展開していく予定です。原則は,教科書にまだ記載されていない,新しい発見や事実の証明についても解説していきます.教科書は使用しませんが、参考書としていくつか紹介をします。また,学内でダウンロードできる科学専門雑誌の論文を実際に使ったりもします。その際は、各自でダウンロードして論文の内容理解にチャレンジしてみてください。基礎知識を身に付けるのに、利用してください。そのほか,天然物化学・生理活性物質化学研究の過程で起こった,いわゆるセレンディピティーな話題も提供していきます.学問の発展やブレイクスルー/マイルストーンとなった研究が,どのような発想から,あるいはどのような背景から生まれてきたかを,私自身が経験したこと・私の研究者仲間が経験した[生]のお話をして,皆さんの学問に対する興味を引き出せたら本望です. (1)イントロダクション:生理活性物質とは?理学・薬学・農学における天然物化学の特徴 (2)〜(7)では,微量に存在する生体成分の分析方法,植物ホルモンの化学構造と生理的意義,生合成における活性型と不活性型の役割,活性型ホルモンの内生量の維持機構,ホルモン(活性物質)の受容機構 について、習熟度を確認しながら講義を進めていきます。 (8)〜(11)では,新たな植物成長調節物質発見(ストリゴラクトンやカリキン)に至るストーリー,生合成,ホメオスタシスなどの話題を約4回にわたって説明します。 (12)〜(15)では,最新の文献をProc.Natl. Acd. Sci. USA誌,Science誌,nature姉妹誌などから紹介し,トピックスを議論する。最終回は,これまでのまとめと試験を行います。課題はあらかじめ提示します。 なお,学問,科学、技術の進歩,新発見などがあれば是非とも紹介したいので,講義内容が代わることがあります。 |
履修条件・関連項目 |
予習復習の出来る人が受講すべきです。また,講義開始時に出席表を配布します。そこに質問や疑問点,自ら学修をしようと気付いた点などを記載して提出できる積極性を履修条件と考えています。 関連科目として、有機化学、生物化学、分子生物学、遺伝子工学、植物生理学などが理解を助けてくれるでしょう。幅広い視点で生理活性物質を見ることが可能となります.化学が得意な学生も生物が得意な学生も,知的好奇心を満たせる内容を目指しています。 必要な学習時間は、本学の標準時間数に準ずる。もちろん,それを超える自学自修は大歓迎である。 |
テキスト・教科書 |
学内の電子ジャーナルでダウンロードできる専門学術雑誌を随時紹介していきます。来年の今ごろは研究室に入室して研究を始めていることを想像すれば,今から科学専門雑誌に慣れておくのも有益と考えています。 【教科書として使用は考えていませんが,非常に有用な図書を紹介しておきます】 「基礎から学ぶ植物代謝生化学」 水谷正治ほか編 (羊土社,2018年発行,ISBN-10: 4758120900) |
参考書 |
【特におすすめ(一読すべし):植物ホルモンに関する最新の教科書】 浅見忠男・柿本辰男編 新しい植物ホルモンの科学(第3版) 講談社2016年発行 【おすすめ】 長澤寛道著 生物有機化学ー生理活性物質を中心にー(東京化学同人) 【理学・薬学的な視点と日本における天然物化学の発展の歴史を知る意味で貴重】 磯部稔,北川勲著 天然物化学・生物有機化学(朝倉書店) 【コンパクトな内容として。遺伝子レベルの生合成についても触れている】 瀬戸治男著 天然物化学(コロナ社) |
成績評価の方法 |
授業参加度/貢献度:40%(講義のなかで疑問に思うこと、そのような思考で講義に臨むことを重視したいと思います。自分で疑問に思ったことを出席票に記載してください。自分で課題を見つけることもチャレンジしてみてください。質の高い疑問や質問には,次回に解説をします。ただし,クレームや要望を書いても評価はしません。) 試験:60%(暗記ではなくて、論理的な思考を問うようにします)到達基準を参考に評価をします。 |
教員から一言 |
化学は暗記学問ではありません。自学自修を基本とします。PowerPointを使った解説や黒板を使って説明をしていきますが、スライドの印刷物は配布しません。すべて学内の電子ジャーナルでダウンロードできる文献などから作成していますので、興味を持ったトピックスについて、自分で[調べて]奥深く学び、そのプロセスでわからないことを質問してくるような姿勢が、本来の大学生の学習態度と思っています。このことは、自身による課題探究能力を磨き課題解決能力を身に付ける基本となり、いずれ社会に旅立つ皆さんにとって社会や会社から求められる能力の根幹を為すものです。スライドや板書を書き取りながら覚える,考える習慣を身につけてくれるとありがたいです. |
キーワード |
biosynthesis; hormones; secondary metabolite. |
オフィスアワー |
メイルでのアポイントを取れば随時。 |
備考1 |
備考2 |
参照ホームページ |
http://www.tuat.ac.jp/~chemreg/ |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2020/02/12 16:47:24 |