科目名[英文名]
植物工学   [Plant Technology]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 01BN3136
責任教員 [ローマ字表記]
川合 伸也   [KAWAI Shinya]
所属 農学研究院 研究室 1-127  メールアドレス

概要
植物は有史以前から存在し、人類発展の補完物として重要な役割を担ってきている。現在バイオテクノロジーの著しい発展の中で人類と植物との付き合い方に大きな変化が現れてきている。それは植物の高度な生命活動を含めた生産活動を一つの生産システムと考え、酵素や遺伝子制御により環境、資源・エネルギー問題に役立たせようとするもので、分子育種によるトランスジェニック植物の作出がポイントである。そこで、遺伝子組換え植物の作成法などの基礎的な事柄だけでなく、遺伝子組換え食品や環境修復や開花や花色の改変などの実例を挙げ遺伝子組換え植物の現状を理解できるようにすることを目的とする。
到達基準
本授業においては遺伝子組換え植物を中心とした作成法、遺伝子発現制御法、現実の応用例や最新の研究を紹介する。よって、最新の植物バイオテクノロジーの現状を理解できるようになる。

本科目のディプロマ・ポリシーの観点:
本学HP(三つのポリシー)のカリキュラムマップを参照してください。
https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
1.遺伝子組換え食品栽培の現状、非組換え食品との比較、安全性審査。
2.植物細胞の構造、植物の全能性と再分化能(特にカルスと不定胚からの)、植物組織培養と植物ホルモン、細胞融合とcybrid。植物遺伝子工学の原則、アグロバクテリウム感染によるcrown gall形成の分子的機構、生物学的植民地化。
3.アグロバクテリウムを用いたbinary vector法による形質転換法と物理的遺伝子組換え技術。
4.選択マーカー・フリー遺伝子組換え植物、逆遺伝学的手法の原理と応用、T-DNA tagging法
5.ethylene生合成制御による果実の熟期の制御、害虫耐性植物の育種。
6.除草剤耐性植物(glyphosate, glufosinate, sulfonylurea)の育種。
7.耐病性植物の分子育種(coat protein過剰生産, PTGSによるRNA分解, R遺伝子導入, chitinase導入, plant defensine導入)
8.第二世代組換え食品(Golden Rice、高オレイン酸含有ダイズ、高トリプトファン蓄積イネ(飼料用)、鉄含有米、コレステロール低下米、低アレルゲンや低蛋白質米、インシュリン分泌誘導米、ラクトフェリン産生米、抗体含有バナナ、スギ花粉症低減米)
9.花色の改変(花の色素の特徴、pH説、金属錯体説、copigment説、anthocyanidin生合成系、delphinidin、F3'5'H、青いカーネーションとバラ)
10.開花や花型の制御(leafy, needly, ABC model, superman)
11.ストレス耐性植物(低温耐性、光合成阻害、適合溶質、GPAT、phosphatidyl glycerol組成、活性酸素)
12.ストレス耐性植物(光と活性酸素, superoxide dismutase, catalase, ascorbate peroxidase, glutathione peroxidase, glutathione生合成系、mannitol生合成、乾燥・塩ストレス耐性)
13.大気汚染耐性植物、大気汚染浄化植物の分子育種、鉄欠乏土壌耐性植物(mugineic acid)
14.phytoremediation (phytochelatin, 水銀耐性、ヒ素耐性、環境ホルモン浄化)、組換え食品の安全性
15. 総括
履修条件・関連項目
遺伝子工学・分子生物学に造詣が深いことが望ましい。

授業時間30時間に加え、授業で配布する資料等を用いて本学の標準時間数に準じた予習・復習を行うこと。
テキスト・教科書
なし(資料を講義中に配布する)。また、moodleへ資料をアップロードしておく。
参考書
魚住武司ほか「植物工学」丸善株式会社
森川弘道、入船浩平共著「植物工学概論」コロナ社
長田敏行 編「植物工学の基礎」東京化学同人
成績評価の方法
試験によって評価(100%)する。(ノートと配付資料とコピーと書籍とプリントアウトなどの紙の資料の持ち込みを認める。また、通信機能がないものであれば、電子辞書の持ち込みも認める。)
教員から一言
青いカーネーションやバラ、遺伝子組換え食品等、近年マスコミを騒がせている遺伝子組換え植物がいかなる技術や理論に基づいて作出されてきたのかを理解し、それが我々の生活にいかなる変化をもたらすのかを科学的に理解できるようになってもらいたい。
キーワード
植物分子育種,遺伝子工学,細胞工学,植物組織培養,細胞融合
オフィスアワー
基本的に授業終了後、昼休み、火曜日9:00-12:00をオフィスアワーとするが、それ以外でもメールにより随時相談を予約できる。
備考1
備考2
参照ホームページ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%8F%9B%E3%81%88%E4%BD%9C%E7%89%A9
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/02/19 16:29:49