科目名[英文名]
環境哲学   [Environmental Philosophy]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 2  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 01RN2227
責任教員 [ローマ字表記]
澤 佳成   [SAWA Yoshinari]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
哲学には、心と体を別のものとして捉える二元論という考え方があります。この考え方は、万物の創造主である神から人間へと、理性的な存在の中心を転換しました。この転換は、神を絶対とする中世的価値観から人間を解き放つ、思想史上の一大転換だったのです。
この転換のおかげで、私たち人間には、自然を対象として捉える営み(自然現象の観察、自然物の分析など)が可能となりました。その結果、科学的知識が蓄積されて産業革命が起こり、人間は豊かな生活を享受できるようになりました。
しかし、その一方で、豊かな暮らしをもたらした「大量生産-大量消費」型の社会は、地球全体をエコロジー危機におとしいれ、今日に至っています。
ですから環境問題の根源には、哲学的な知の転換に要因があるといえるのです。それゆえ、人間と自然との良好な関係を探求するための新しい哲学(=「環境哲学」)が、必要となってきたのです。
そこで本講義では、環境哲学の学習をとおして、私たち一人ひとりが、人間と自然とのよりよい関係について深く考える機会にしたいと思います。
到達基準
 1)環境哲学とはなにかを理解する。
 2)環境哲学の視点から、人間―自然関係についての基本的な視座を理解する。
 3)環境問題の生じる構造的要因を理解する。
 4)環境問題解決のための思想と実践の学習から、自分なりの環境哲学を紡ぐ。
※本学の標準時間数に準ずる予習と 復習を行うこと。

授業内容
◆ガイダンス――環境哲学とは?(第1回)
Ⅰ.人間にとって環境とは(第2回〜第4回)
 1)ヒトから人間へ①――個体の発達と環境
 2)ヒトから人間へ②――人類の進化を可能にした二重継承と文化の大爆発
 3)なぜ環境問題は生じるのか――自然の社会化/人間の自然化と自己家畜化論

Ⅱ.環境破壊と哲学――世界的な視点(第5回〜第7回)
 1)なぜ環境哲学が必要となったのか――和食文化を支える経済システムを事例に
 2)環境破壊的な世界構造への哲学の「貢献」――ハイチ共和国の受難を事例に
 3)現代まで続く帝国主義的構造――スマホからその深淵を探る

Ⅲ.環境破壊の構図(第8〜10回)
 1)環境破壊をもたらす国内的構造――水俣病被害者の視点から
 2)対立を超える思想はつむげるか――公害加害者と被害者の葛藤から
 3)公害が破壊するものと続く理由を探る――カネミ油症事件を事例に

Ⅳ.持続可能な社会をつむぐ哲学的視点(第11回〜第14回)
 1)働くことの意味を探る――共生持続社会実現のために
 2)〈農〉の哲学の可能性①――持続可能な社会に向けて
 3)〈農〉の哲学の可能性②――能動性を回復する実践
 2)〈農〉の哲学の可能性③――〈農〉を基盤としたガバナンス――ガビオタスの森を事例に

◆最終まとめ(第15回)
履修条件・関連項目
・環境問題の「なぜ?」「どうすればよい?」を考えたいみなさんの受講を歓迎します!
※本科目のディプロマ・ポリシーの観点:
本学HP三つのポリシーのカリキュラムマップを参照してください。
URL: https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/


テキスト・教科書
澤 佳成『人間学・環境学からの解剖――人間はひとりで生きてゆけるのか』梓出版社、2010
参考書
講義ごとに、関連する書籍や資料を紹介します。
成績評価の方法
平常点(40%)、期末レポート(60%)
教員から一言
みなさんの積極的な意見を期待しています!
キーワード
哲学、環境問題、公害、人間の疎外、〈農〉の哲学
オフィスアワー
木曜5限(これ以外の時間でもどうぞ)
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/03/12 15:13:17