科目名[英文名]
生命倫理   [Bioethics]
区分 全学共通教育科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 01SD0108a
責任教員 [ローマ字表記]
森 禎徳, 澤 佳成   [MORI Yoshinori, SAWA Yoshinari]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
生命倫理は、「応用倫理学」の一分野として1960年代に成立しました。その背景には科学技術、特に医療の進歩に伴う生命観、死生観の大きな変化にどう対応すればよいか、という切実な問題意識があります。本講義では現代社会で「幸福に生きる」ために生命倫理がいかに重要な意味を持っているかを踏まえた上で、様々な問題について具体的に考えていきます。
到達基準
(1)生命倫理という学問分野の特徴、その現代的意義を理解できている。
(2)科学技術がもたらした影響力の大きさ、深刻さに対する健全な問題意識を養うことができる。
(3)善悪や価値観の多様性、文化や宗教の多元性を理解した上で成熟した判断を行うことができる。
授業内容
第1回:倫理学の本質、その使命を学びつつ、現代倫理学の大きな潮流である「功利主義」の特徴やその限界について考える。
第2回:生命倫理という新しい分野が誕生したきっかけを、「科学技術の進歩」という点から検証しつつ生命倫理の特徴を理解する。
第3回:生命の始まりの倫理(1)受精卵や胚の研究利用に対する様々な立場を比較検討し、「人間の生命の始まりはどこか」というシンプルだが奥深い問題を考える。
第4回:生命の始まりの倫理(2)出生前診断を利用して障害の可能性がある胎児の選択的中絶を行うことの是非を通じ、「生命の選別」という問題を考える。
第5回:生命の始まりの倫理(3)代理母やデザイナーズベビーなど生殖技術のビジネス利用が進む現代において守られるべき規範を考える。
第6回: 先天性の重い障害を抱えた新生児に対する治療差し控えの倫理的に妥当な条件を検討し、「生きる権利」について考える。
第7日:虐待、ネグレクトや赤ちゃんポストなどの実例をもとに、「アトム化」が進む現代における親子や家族のあり方、個人と社会の関係について考える。
第8回:「治療を超えて」人間の能力を人工的に増幅する「エンハンスメント」技術、急速に進歩するゲノム編集の可能性と弊害を検討する。
第9回:私たちの生命や健康を守るために不可欠な医療だが、いま日本では「医療崩壊」が叫ばれている。この現状を参照しながら「有限な資源の分配と正義」について考える。
第10回:健康保険や福祉に代表される社会保障制度を題材に、セーフティネットの重要性、「フリーライダー」に対する規制強化、「弱者に寛容な社会」のあり方などを考える。
第11回:生命の終りの倫理(1)「死をもって死を償う」死刑制度の是非を検討すると同時に、裁判員制度との関係や死刑廃止に向かう国際的潮流なども視野に入れ、生命の重さについて考える。
第12回:生命の終りの倫理(2)安楽死・尊厳死問題を通じて、「生きる」ことの意味、QoLと幸福の関係、「自分の生命に対する自己決定権」の限界を考える。
第13回:生命の終りの倫理(3)「脳死は人の死か」という問いを考えながら、人間の死の定義を再検討し、大きく変化しつつあるわれわれの生命観を見直す。
第14回:生命の終りの倫理(4)脳死臓器移植問題の現状や法改正の背景、諸外国の状況を踏まえながら、「命のリレー」の背後にひそむ問題点を検討する。
第15回:期末レポートの課題や書き方について説明します。特に、あらかじめ正解が決まっていない人文系の問いが持つ意義、またそのような問いについて自分の考えを述べる場合、どうすれば「説得力」が生まれるのかを説明します。
履修条件・関連項目
テキスト・教科書
教科書は使用しません。授業ごとにプリントを配布します。
参考書
参考書は必要に応じて紹介します。
成績評価の方法
期末レポートの他、受講態度(積極的な発言)、自由提出の小レポートを平常点として成績を判定します。期末レポート70%、平常点30%の比率で成績を決定します。
H28年度成績分布 S 8%, A 35%, B 35%, C 14%, E 8%
教員から一言
人間の生命をめぐる「正解のない問い」を一緒に考えましょう。
キーワード
オフィスアワー
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/02/04 17:29:30