科目名[英文名]
哲学   [Philosophy]
区分 全学共通教育科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 2  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 01SS0207a
責任教員 [ローマ字表記]
澤 佳成   [SAWA Yoshinari]
所属 農学部 研究室 語学演習棟104  メールアドレス

概要
 みなさんが「哲学ってどんな学問?」と聞かれても、明確な答えは思い浮かばないかもしれません。それもそのはず、哲学の対象は、時代とともに変遷してきており、自然、宇宙、神、科学、人間、人生、愛、社会、自由、平等、生命・・・と、いまや多岐にわたっているからです。このことは、哲学者たちが、時代の要請に応えて前の時代の思想を変化させ、次の時代にバトンタッチしてきたという事実を表しています。そうした哲学の歴史的営為が新しい社会観、人間観、歴史観を築いてきたことによって、現代に生きる私たちはあらゆる自由を享受できているのです。
 理系学部に所属するみなさんが携わる自然科学を例に考えてみましょう。自然科学は、近代の科学革命の恩恵により誕生しますが、科学革命を可能にしたのは、哲学による価値観の転換だったのです。また、自然科学を扱ううえでは、その研究の社会的意義を考えなければなりません。さらに、科学の発展には自由な発想が欠かせません。そして、研究者として、社会人として働くことの意味も自問する日が来るかもしれません。
 そこで本講義では、あらゆる哲学の対象の中から「科学とは何か」「社会とは何か」「自由とは何か」「人間が働く意味とは何か」というテーマで哲学の面白さを探求しつつ、自然科学や現代社会の諸問題と哲学がいかに深く関係しているか考えたいと思います。
 以上の理由から、本講義は、全学共通教育科目(共生人文社会科学B「人間と文化」)として開講されています。
到達基準
1)哲学という学問の基本的特徴を理解する。
2)哲学的な概念が自然科学的な営為や現代社会におおきな影響を与えている側面を理解する。
3)自分なりの人間観・自然観・社会観を形成することができるようになる。
授業内容
【ガイダンス】人間の営為が生んだ哲学という学問(第1回)

Ⅰ 科学的にみるということ(第2回〜第4回)
 1)哲学が科学的な見方を変えた!?――I.カント
 2)パラダイムの転換は自然の斉一性問題を乗り越えられるか?――T.クーン、D.ヒューム
 3)科学と技術――武谷三男、原田正純

Ⅱ 社会哲学への誘い――カント哲学を中心に(第5回〜第7回)
 1)人間の自由と尊厳――I.カント
 2)人間の自由と道徳法則――I.カント
 3)人間の自由を基礎とした世界市民社会の構想――I.カント

Ⅲ 自由とは何か(第8回〜第10回)
 1)自由主義の思想――J.S.ミル
 2)ふたつの自由概念と自由からの逃走――E.フロム
 3)自由が抑圧へと転化する危険性――I.バーリン

・中間まとめ――思想が社会を動かしてきた歴史を考える(第11回)
 
Ⅳ 人間が働くことの意味(第12回〜第14回)
 1)J.ロックの人間観・労働観がもたらした意義と限界――J.ロック
 2)疎外概念の意味と変遷――G.W.F.ヘーゲルからK.マルクスへ
 3)フェティシズムと現代社会――物化と物象化の影響

Ⅴ 日本の思想――石橋湛山の自由主義(第15回)
履修条件・関連項目
【単位数】2単位
【準備学習】授業の最後に、次回までに考えてきてほしい課題を出したり、読んできてほしい資料を渡したりします。
【事後学習】テキストのうち、授業に関連する部分を指示するので、復習のために読んでください。
※授業時間の30時間と上記の準備学習・事後学習を含め、本学の標準時間数に準ずる学習を行ってください。
テキスト・教科書
澤 佳成『人間学・自然学からの解剖――人間はひとりで生きてゆけるのか』梓出版社、2010年刊
参考書
講義の際、内容に関連する参考文献をその都度提示します。
成績評価の方法
コメントペーパの内容・授業での応答への参加度等の平常点(40点)、期末レポート(60点)
教員から一言
皆さんの積極的なご意見を期待します。そして、ぜひ一緒に哲学しましょう!
キーワード
科学哲学、科学と技術、社会哲学、道徳哲学、自由、疎外
オフィスアワー
【直接面談の場合】 水曜10:30〜12:00   【メールによる質問】 sawa0116@cc.tuat.ac.jp
備考1
備考2
参照ホームページ
http://web.tuat.ac.jp/~envirothought-hp/index.html
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/02/25 17:16:13