科目名[英文名]
文学・芸術学   [Art and Literature]
区分 全学共通教育科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 020203
責任教員 [ローマ字表記]
大野 松彦   [OONO Matsuhiko]
所属 農学府 研究室   メールアドレス

概要
文学と芸術(アート)は、人間の精神が生みだす想像的創造物であり、本来的に実用的な物でも娯楽作品(エンターテイメント)でもありません。しかしながら文芸作品は人間精神の形成に欠かせないものといわれる。この講義では、文学(言語芸術)と芸術(造形芸術)の関係を「言葉とイメージ(像)」と捉え、古代から近代までの西洋芸術史をたどりながら、芸術がどのように知覚され、認識されうるのかについて学んでいきます。西洋における文学的イメージ(芸術思想、図像主題)がどのように視覚イメージと関連し、各時代の建築・彫刻・絵画が様式的にどう展開していったのか、思想史的、科学史的文脈にも留意しながら考察していきます。
到達基準
言葉を操る種(ホモ・ロゴス)である私たちは、主に言語をコミュニケーション手段に用います。日常言語や文学(小説・詩)だけでなく、自然科学は数式という、音楽は楽譜という言語を、芸術は視覚的な言語を持ちます。文字や記号を含め、視覚を発達させてきた私たち人間は、日常生活においても風景、標識、インターネットを通じて多くの視覚イメージに触れていますが、その究極の表現形態が芸術です。この講義では、なぜ人間が文学や芸術作品を創造するのかについて考え、作品について自ら知覚し、記述できるようになることを到達基準とします。
授業内容
第1回 イントロダクションI:言葉とイメージ(像)、真善美
第2回 イントロダクションII:感覚・知覚・認識
第3回 古代I:ギリシア美術―西洋芸術のクラシック(古典)
第4回 古代II:ヘレニズム時代―ギリシア美術の地中海世界への拡散
第5回 古代III:ローマ美術―ギリシア美術の継承と皇帝の記念碑的芸術
第6回 古代から中世へ:芸術観(イデア論)の転回、3次元から2次元的表現へ
第7回 中世I:ヨーロッパ芸術の曙―ケルト・ゲルマン的文化と地中海文明の独創的総合
第8回 中世II:ゴシック美術1―最初の汎ヨーロッパ的芸術様式
第9回 中世III:ゴシック美術2―自然主義と理想主義の統合
第10回 中世から近代へ:ルネサンス=古代文化の再生という現象
第11回 近世I:ルネサンス1―新たな視覚像に基づく感覚美の創造
第12回 近世II:ルネサンス2―写実主義、経験主義、理性主義
第13回 近世III:バロックから近代へ
第14回 近代芸術:反古典主義、新たな視覚像の模索
第15回 総括
履修条件・関連項目
この講義の履修条件は、芸術に関心を抱き、あるいは芸術とはそもそも何か、視覚や知覚とは何か、こうした問いを持つことです。
テキスト・教科書
授業中に資料を配布します。
参考書
標準的なものとして『世界美術大全集 西洋編』(小学館)1992-1997年/『西洋美術の歴史』(中央公論新社)2016-2017年をあげますが、興味があれば参照してください。
成績評価の方法
平常点(30点)+中間レポート(30点)+期末レポート(40点)=100点
教員から一言
現代文明の基礎となる科学技術を学ぶみなさんにとって、芸術は遠い対象かもしれませんが、芸術(アート)の原義は「技能(テクネー)」でした。17世紀の科学革命以後20世紀を経て、自然科学は飛躍的発展をとげましたが、人間の精神世界に属するもの(生と死、真善美、神など)や知覚の心理的現象はまだ物理学的に解明されたわけではありません。人間精神のあり方を示す文学や芸術に触れ、文化的生を豊かにし、感性をみがくことは決して意味のないことではないのです。
キーワード
芸術理論、西洋美術史、芸術批評、言語とイメージ
オフィスアワー
講義後
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
英語
更新日付
2019/06/12 14:29:46