科目名[英文名]
量子力学入門   [Introduction to Quantum Dynamics]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 24  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 022619
責任教員 [ローマ字表記]
内藤 方夫   [NAITO Michio]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
量子力学は突如降って湧いたものではない。古典物理学が完成した19世紀の後半において、これまでの物理法則では説明できない実験結果が次々に見いだされる。その数々の奇妙な事実をどのように包括して体系的に理解するか、試行錯誤を経ておよそ50年間を要した(1875年〜1925年)。本講義では量子力学がどのように生まれたのかをふりかえる。まず、古典物理学と量子力学の橋渡しとなる「解析力学」の基礎に簡単に触れる。つぎに、古典物理学の破綻をあらわに示す「エネルギー等分配則」の破れを学ぶ。さらに、高校の教科書にも出てくる1900年のプランクのエネルギー量子、1905年のアインシュタインの光量子仮説、1913年のボーアの前期量子論までの一連の展開を復習する。量子力学は、1925-26年、ハイゼンベルグの行列力学、シュレディンガーの波動力学と一見かけ離れた2つの理論により完成する。2つの量子力学がどのような経緯を辿って完成したのか?また、行列力学と波動力学の関連を述べる。
到達基準
ディプロマポリシーで述べられている物理学の基礎を体型的に理解するために、量子力学入門について以下の基準を達成すること。
1.19世紀後半に発見された古典物理学では理解できない現象(気体の比熱、光電効果)をエネルギー量子化によって説明可能であることを理解している。
2.原子核を回る電子の運動、および、前期量子論について理解している。
3.ハイゼンベルグの行列力学およびシュレディンガーの波動力学がどのように生まれたかを説明できる。
本科目のディプロマ・ポリシーの観点:履修案内のカリキュラムマップを参照してください。
授業内容
I.古典物理学の完成(1600年〜1850年)(講義1回目)
・ニュートン力学
・近代物理学・科学の発展
・近代科学の哲学
・力学的世界観
・数学的力学からの脱皮-自然の多様性
・熱力学および電磁気学の完成

2.解析力学(講義2-3回目)
・ラグランジュの運動方程式
・変分法とオイラー方程式
・ハミルトンの正準方程式
・シュレディンガーの波動方程式

3.古典物理学の綻び(講義4-7回目)
・1850年〜1900年の物理学の歴史的状況
・気体分子運動論
・エネルギー等分配則
・エネルギー等分配則からのずれ=量子現象の表れ(1870年頃)
・比熱に対するアインシュタインモデル(1907年)
・プランクのエネルギー量子、アインシュタインの光量子仮説

4.中間まとめ・試験(講義8回目)

5.電子・原子・原子核(講義9-10回目)
・電子の発見
・粒子性と波動性
・原子構造
・原子核のまわりの電子の運動
・ボーア・ソンマーフェルドの量子化条件

6.前期量子論(講義11-12回目)
・ボーアの仮説
・角運動量
・対応原理

7.行列力学と波動力学(講義13-14回目)
対応原理から行列力学へ
ド・ブローイ波から波動力学へ
不確定性原理
シュレディンガーの猫

8.期末まとめ・試験(15回目)
履修条件・関連項目
必修科目の力学I、力学II、電磁気学Iは履修しておくこと。2年次後期の熱統計力学入門は「古典物理学の綻び」を理解するうえで重要である。授業時間30時間に加え、レポート課題等に取り組み、本学の標準時間数に準ずる予習と復習を行うこと。
テキスト・教科書
教科書は指定しない、プリントを配布する。
参考書
朝永振一郎「量子力学I」(みすず書房)
Max Born “Atomic Physics”(Dover)
成績評価の方法
成績の付け方:中間試験(45%)、期末試験(55%)
教員から一言
高校の教科書で主として学ぶ力学・電磁気学・熱統計力学は始めに法則・公式が与えられ、その法則・公式を用いて、応用問題(演習問題)を演繹的なスタイルが採られる。一方、電子・原子・分子に関する物理は高校の教科書では後半に、トピックスを並べる形で学習する。本講義では、古典物理学と量子物理学が如何に異なるかを体系的に学ぶことをめざします。
キーワード
解析力学、エネルギー等分配則、エネルギー量子仮説、光電効果、前期量子論、行列力学、波動力学
オフィスアワー
金曜日12:00〜13:00
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/01/30 11:16:54