科目名[英文名] | |||||
工学部特別講義Ⅰ(産学連携科目〜技術経営入門〜) [Special Lecture on EngineeringⅠ(Industry-Academia Collaborative Class : Technology Manaagement Basic Course)] | |||||
区分 | 工学部専門科目等 | 選択必修 | 単位数 | 2 | |
対象学科等 | 対象年次 | 2~4 | 開講時期 | 2学期 | |
授業形態 | 2学期 | 時間割番号 | 022903 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
熊坂 治, 安村 友紀 [KUMASAKA Osamu, YASUMURA Yuki] | |||||
所属 | グローバル教育院 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
近年の企業経営においては、単に高度な技術を研究開発し製品化するだけでは持続的な発展が難しく、その技術を事業収益さらには利益に結実し、それを次の研究開発に投資する技術経営の視点が不可欠である。 本講義では、座学とケース学習とグループ演習をミックスすることで、企業における課題設定、解決策策定の進め方を中心に総合的な技術経営力の習得を目標として、初学者に向けて以下の内容を学ぶ。 1.企業の外部(マクロ・ミクロ)分析、内部分析方法 2.企業のビジョン、事業戦略、技術戦略とマーケティングの考え方、進め方 3.製造業における生産活動の仕組みと運営の実際 4.製品の設計品質向上の考え方と進め方 5.企業内でのイノベーション実行 6.課題の設定とグループディスカッションの進め方と実践 本科目は、実務経験のある教員による授業科目である。担当教員は企業において技術経営に直接携わっており、授業では、企業や実社会における実例を題材として分析、議論、演習を行う。さらに、複数の企業からのゲスト講師にも議論に参加いただき、現場の状況や対応についての知見を得る。 |
到達基準 |
1)企業における課題設定、解決策策定の進め方を理解し、実践できるようになる 2)グループ内で主体的、自律的に考え、発言し、議論することで、有効な結論を導き出せるようになる 主な目標:自主性・自律性〇、リーダーシップ/調整能力◎、コミュニケーション〇、文章表現〇、プレゼンテーション〇、課題探求、問題解決◎ |
授業内容 |
1日目: #1「ガイダンスと技術経営概論」講義の全体構成と進め方を説明し、企業における技術経営の位置づけと重要性を示す。米国に始まった技術経営教育と企業内での普及、国内での技術経営教育事情を時系列で示す。また技術経営の構成要素を分解し、それぞれの要素を概説する。 #2「企業分析のフレームワーク」PPM、3C、SWOT、VRIO、アンゾフ、5F、日本経営品質などの企業評価用フレームワークを説明する。 #3「サンプルケーススタディ1光ディスク事業」レーザーディスク、CD、DVD、BDそして記録メディアであるCD-R、DVD-Rと連なる光ディスク事業の歴史を技術経営の視点で振り返り、主なフレームワークを使って、時代ごとに分析する。また演習課題を提示し、5名一組のグループ毎に1テーマを割り当てる。 2日目: #4「技術経営戦略の策定と実行」製造業経営における技術戦略の考え方、策定手順、研究開発テーマの選定と管理、それらの実行組織や運用の留意点さらにマーケティングの概要を示す。 #5「技術ベンチャーとイノベーション」ゼロから開始するスタートアップ型ベンチャーと企業内ベンチャーについての資金調達、人材確保、組織形成、企業提携などを示す。また研究開発段階においてイノベーションを起こす方策やオープンイノベーションの考え方と実例を示す。 #6「生産活動の組織と運営」新製品の試作から量産に至る必要な手順と留意点、また生産管理、品質管理、流通管理などオペレーションの要点を示す。 3日目: #7「設計品質の向上1 品質機能展開」製造段階や市場で生じる問題の大半は、不適切な設計に起因する。設計品質の考え方と全体像に加えて、顧客要求に応える仕様を設定するための手法である品質機能展開(QFD)を解説し、各自で演習する。 #8「設計品質の向上2 TRIZ」設計品質向上の第2ステップとして、企画した製品仕様を満足させるための技術的なアイデア発想法であるTRIZを解説し、全員で演習する。 #9「設計品質の向上3 品質工学」設計品質向上の第3ステップとして、品質問題を未然防止する設計パラメータ最適化の方法である品質工学を解説し、事例を提示する。 4日目: #10「グループ発表1 電気自動車」巨大市場創出で注目されている電気自動車市場を5人程度のグループで調査し、具体的企業の立場で技術戦略を発表する。 #11「グループ発表2 モバイル通信端末」急激な技術進化で注目されているスマホなどのモバイル通信端末市場を5人程度のグループで調査し、具体的企業の立場で技術戦略を発表する。 #12「グループ発表3 キューピー食品」具体的な企業研究として食品製造販売業である「キューピー」を分析し、技術戦略を検討する。ゲスト講師として元キューピー取締役を招聘し、議論に参加してもらう。 5日目: #13「グループ発表4 農業IoT」近年注目されているIoT(Internet of Things)の農業応用市場を5人程度のグループで調査し、具体的企業の立場で技術戦略を発表する。 #14「グループ発表5 再生可能エネルギー」環境対策として注目されている太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー市場を5人程度のグループで調査し、具体的企業の立場で技術戦略を発表する。ゲスト講師として、再生エネルギー企業の元経営者を招聘し、議論に参加してもらう。 #15「グループ発表6 花王」具体的な企業研究として日用品、健康飲料などを開発、製造、販売する「花王」を分析し、技術戦略を検討する。(対象企業変更の可能性あり) |
履修条件・関連項目 |
グループ演習にあたっては、各グループごとに役割分担を互選で決めたのち、市場動向、規模、有望な新規技術、関連する企業とその戦略などを調査した上で、特定企業(実在または仮想)に関して参入あるいは成長の戦略を策定するため、前半調査と後半作業で10時間、準備とグループ内討議で5時間程度の授業外学習時間が必要となる。 授業時間30時間と上記の授業外学習時間に加え、授業で配布する教材や後述の参考書を使って本学の標準時間数に準ずる予習・復習を行うこと。 |
テキスト・教科書 |
決まったテキストは設定せず、毎回講師が作成した教材を配布する。 |
参考書 |
丹波清,「技術経営論」,東京大学出版会,2006 延岡健太郎, 「MOT“技術経営”入門」,日本経済新聞社,2006 圓川隆夫,「オペレーションズ・マネジメントの基礎」,朝倉書店,2009 田口伸,「タグチメソッド入門」,日本規格協会,2016 |
成績評価の方法 |
授業内での発言、参加度(30%) 1日毎に提出する小レポートの充実度(30%) グループ演習における貢献度と発表内容(40%) |
教員から一言 |
学生諸君は大学で主に「技術」「農学」「工学」を学んでいる。本講座では、その「技術」を事業として「効果的に」結実させるための、考え方と方法論を、30年の企業経験、10年の研究成果を基に伝える。 企業に就職する、あるいは自分で事業を立ち上げる、いずれにしても大いに役立つ知識と経験となるだろう。 |
キーワード |
技術経営、企業分析、フレームワーク、技術戦略、マーケティング、ベンチャー、イノベーション、オペレーション、設計品質、品質機能展開、TRIZ、品質工学、ケーススタディ |
オフィスアワー |
質問、相談があれば、各回授業後に居残り回答するほか、kumasaka@monodukuri.comに質問すれば、メール、電話などで可能な限り対応する。 |
備考1 |
参考となるホームページ:ものづくりドットコム(https://www.monodukuri.com) |
備考2 |
参照ホームページ |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2019/04/05 9:15:25 |