科目名[英文名]
量子力学Ⅱ   [Quantum Mechanics Ⅱ]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 023613
責任教員 [ローマ字表記]
鵜飼 正敏   [UKAI Masatoshi]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
物理システム工学の基礎となる物理理論である、力学、電磁気学、熱統計力学、量子力学のうち、量子力学は物理現象をミクロに観察したときに古典力学的には説明しにくい諸現象を、物質の二重性、状態の不確定性といった観点から説明しようとする理論である。
量子力学Iまでに学んだ量子力学の数学的方法を発展させて三次元系の問題を理解するための基礎を学ぶ。具体的には、電子と原子核からなる水素様原子を例題とし、中心力場中の粒子運動の量子力学的記述と、その導出の概略を示し、この運動の概念を把握する。
到達基準
中心力場中の三次元シュレディンガー方程式を立てられるようになること。
変数分離の意味と方法を理解できるようになり、三次元シュレディンガー方程式を一次元変数に対する3つの微分方程式の問題に変形できること。
その三つの微分方程式の解法についての概要を理解できること。
球面調和関数の導出と内容を理解でき、それが角運動量に関する波動関数であることが理解できるようになること。
中心力場の代表の一つであるクーロンポテンシャル場中の動径波動関数の導出と内容の概要を理解できるようになること。

なお、本講義の物理システム工学科における意義を理解していただくために、履修案内のカリキュラムマップも参照して下さい。
授業内容
力学系の三次元への拡張
第1回.シュレディンガー方程式の導出と物理的意味:量子力学1の復習と三次元系への拡張。
第2回.1電子原子のシュレディンガー方程式:2粒子系のハミルトニアンのおき方、固定座標系
    から重心運動と相対運動への分離について。
第3回.中心力場におけるシュレディンガー方程式:
    a)中心力場の考え方と(θ,φ)運動の固有値が角運動量によって表せることについて。
    b)重心座標系における相対運動の変数分離の方法について。
球面調和関数の解法と性質
第4回.a)θ,φの変数分離、およびルジャンドル微分方程式について。
第5回.b)ルジャンドル多項式の例と性質、ルジャンドルの陪多項式について。
第6回.c)球面調和関数の例と性質について。
第7回.d)軌道角運動量と回転操作について(角運動量の導入)。
第8回.e)回転操作と角運動量演算子の関係について。
第9回.f)角運動量演算子の諸性質について。
動径波動関数の例と解法:
第10回.a)クーロン場における有効ポテンシャル、その中での動径波動関数の漸近解。
第11回.b)ラゲール陪微分方程式への変形とその解(多項式関数)とエネルギー固有値について。
第12回.c)ラゲール微分方程式の固有関数について。
第13回.d)ラゲール陪微分方程式の固有関数について。
第14回.e)動径分布関数とボーアモデルの比較。
第15回.水素様波動関数の性質とまとめ。
履修条件・関連項目
「量子力学入門」で示された諸現象の数学的基礎であり、「量子力学I」の発展であるため、本科目の理解にはこれらの必修科目を履修していることが必要である。ただし、履修登録条件ではない(単位を落としていても履修登録はできます)。
なお、履修にあたり本学の標準時間数に準ずる予習と復習を行うことが必要です。
テキスト・教科書
なし。
参考書
B.H.Bransden & C.J.Joachain, Physics of Atoms and Molecules 2nd.Edition(2009,Prentice Hall)に準拠するが、完全に同一ではない。一般の量子力学の教科書にほぼすべて記載されている事項ばかりである。
成績評価の方法
毎回の宿題と学期末試験。得点非は概ね1:3。
教員から一言
量子力学は、要素に分解して物事を理解するための物理学における一つの方法です。一見、複雑ではありますが、理解困難な理論ではなく、使用する数学も比較的平易です。複雑そうに見える表面に脅かされずに、量子Iで学んだ基本的な概念をもとに、紙と鉛筆をもって立ち向かえば、すんなりと進んでいけることにむしろ驚くことになると思います。ともかくやりましょう!
キーワード
三次元系、中心力場、水素様原子、球面調和関数、角運動量、ラゲール陪多項式
オフィスアワー
随時。ただし、事前に連絡を取り、都合を尋ねるること。鵜飼居室:工学部4号館510号室。Email:ukai3
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/03/18 14:57:53