科目名[英文名]
固体物理Ⅰ   [Solid State Physics Ⅰ]
区分 工学部専門科目等  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 023618
責任教員 [ローマ字表記]
生嶋 健司   [IKUSHIMA Kenji]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
物質のあらゆる特性(力学・電気・磁気・光的な刺激に対する応答性)を原子レベルでミクロに理解しようとする学問が固体物理学(凝縮系物理学や物性物理学ともいう)である。物質の特性をミクロに理解するために、これまで学科カリキュラムの中で学んできた専門科目(力学、電磁気学、熱統計力学、量子力学)の知識を応用する。固体物理学は物理分野の最先端で今も活発に基礎研究が盛んであるが、すでに電子工学、材料科学、化学、生物学、情報工学など、多くの分野を支える基盤知識となっている。物理学分野における最大の研究者人口を有するこの固体物理の分野は、日本物理学会では10領域近くさらに分類されている。磁性、超伝導、半導体、カーボン系、光物性、などなどである。本講義では、これから高度で広範囲な物理学を学ぶ学生にとって、必要不可欠な内容を丁寧に解説するとともに、最先端研究の話題にもできるだけ触れたい。本科目は、専門科目IIIにおける選択科目である。
到達基準
固体物理ミニマムとして以下の到達基準を挙げる。
(1)逆格子空間の概念を理解し、取り扱うことができること。
(2)固体の結晶構造解析の原理を理解し、説明できること。
(3)固体の格子振動を理解し、熱物性について理解し、説明できること。
(4)固体の自由電子モデルを理解し、熱物性や電気伝導物性について理解し、説明できること。

本科目のディプロマ・ポリシーの観点:履修案内のカリキュラムマップを参照してください。
授業内容
授業内容

第1回 はじめに
   固体物理学について

第2回 結晶構造と周期性

第3、4回 波数空間(k-空間)

第5回 X線構造解析

第6回 固体内の原子間結合

第7,8回 格子振動

第9回 格子比熱と熱伝導

第10,11回 自由電子論

第12回 バンド理論 I

第13回 バンド理論 II

第14回 電気伝導

第15回 総括
履修条件・関連項目
力学・電磁気学・熱統計力学・量子力学および物理数学のすべての基礎知識を要する。
講義

授業時間30時間とレポート課題の授業外学習時間に加え、授業で配布する教材や後述の参考書を使って本学の標準時間数に準ずる予習・復習を行うこと。
テキスト・教科書
固体物理学ー工学のために  岡崎 誠 著 裳華房
参考書
大学院進学を志す学生はさらに以下の教科書で固体物理学を勉強することを薦める。
Solid State Physics, Ashcroft/Mermin
Introduction to Solid State Physics, Kittel
(これらは日本語訳も出ているが、洋書の方が名著として評判が高い)
成績評価の方法
小テストorレポート(複数回、40点分)+期末試験(60点分)の合計点で評価する。
教員から一言
固体物理学は先人が物理学の基礎知識と近似法を総結集させた学問である。本来、自然現象は力学現象、電磁気現象、量子現象などとは分類されておらず、すべての物理法則が複雑に絡み合って我々に観測される。金属はなぜ電気を流すのか?金属はなぜ光沢を示すのか?銅は赤っぽくて、銀は白っぽいのはなぜか?ガラスはなぜ透明か?金属はなぜ熱を伝えやすいか?磁石となる物質は何が普通と異なるのか?などなど、身近な固体の性質を理解するだけでも多くの知識と本質を見抜く近似を必要とする。物質の豊かな性質に気づくとともに、それらを解明してきた物理学のすごさを伝えることができれば幸いである。
キーワード
オフィスアワー
From 11:00 to 13:00. emailによる質問も可能。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
語学学習科目
更新日付
2019/03/18 14:41:49