科目名[英文名]
環境老年学特論Ⅱ   [Advanced Environmental Gerontology Ⅱ]
区分 専門分野科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 22  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 05ML5502
責任教員 [ローマ字表記]
西河 淳, 重本 和宏, 上住 聡芳, 豊田 雅士, 井上 聡, 近藤 嘉高, 大澤 郁朗, 三浦 ゆり, 萬谷 博   [NISHIKAWA Atsushi, SHIGEMOTO Kazuhiro, UEZUMI Akiyoshi, TOYODA Masashi, INOUE Satoshi, KONDOU Yoshitaka, OOSAWA Ikurou, MIURA Yuri, MANYA Hiroshi]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
健康長寿に迫る科学には多面的なアプローチが必要である。本講義では、老化の基礎的概念や加齢に伴う神経細胞変性、サルコペニア、フレイルなどの老化関連疾患について述べる。また、抗老化の観点から老化のバイオマーカーや酸化ストレスについて、さらに、幹細胞からの再生医療を概観する。講義を通じて社会への還元の大きい健康長寿研究のフロントランナーたちの活動について学ぶ。

本講義は、東京都健康長寿医療センター研究所の8名の講師によって行われます。
到達基準
講師が述べる基礎的な用語、概念について理解すること。
講師が述べる各生命現象の老化による変化そして老化における役割を理解する。
老化における分子レベルから個体レベルまでの機能変化が生体にどのような影響を与えるのかを理解する。

本科目のディプロマ・ポリシーの観点:
本学HP三つのポリシーのカリキュラムマップを参照してください。
URL: https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
10月1日 三浦ゆり
「プロテオミクスによる老化研究」
生体を構成する様々な分子の中で、実際の生命活動に携わっているのはタンパク質である。酵素反応、細胞内外への物質の輸送、分子の認識など、生命を維持するうえで重要な機能を担っているため、タンパク質を網羅的に調べることにより、老化や疾患の分子機構に迫ることができる。本講義では、オミクス研究のひとつである「プロテオーム解析」を用いた、バイオマーカー探索や病態メカニズムの解明をめざした研究について紹介する。

10月8日 上住聡芳
「筋組織の老化と幹細胞」
骨格筋の老化(サルコペニア)は、健康を脅かす深刻な問題である。細胞の入れ替わり率(ターンオーバー)の高い組織では、幹細胞から断続的に子孫細胞が産生され組織が維持されるが、骨格筋はターンオーバーが極めて低い。骨格筋には筋衛星細胞と呼ばれる幹細胞が存在するが、幹細胞は筋の維持・老化に関係するのだろうか?本講義では、筋の幹細胞システム、そして、幹細胞と筋組織の老化についての研究の最前線を紹介する。

10月15日 大澤郁朗
「酸化ストレスと水素分子」
酸化ストレス防御系の破綻が老化と関連疾患の主要なエンハンサーであると考えられ、その効果的抑制法が探索されてきた。いわゆる健康食品の開発もその延長線上にあるが、作用機序と効果の両面で十分な研究成果が挙がっているとは言えない。そこで、近年、大きく着目されている水素分子について、疾患モデル動物を用いた研究から人での臨床研究及びその作用機序について概説し、その問題点と今後の展開を議論する。

【注意、開講日、教室】11月1日(金)3,4限目 教室2講ー12 近藤嘉高
「老化と栄養」
初めに、老化の基本概念として、加齢や老化の違い、寿命、老化バイオマーカーの要件について説明する。次に、私たちの研究を例にして、老化マーカー候補としての加齢指標タンパク質30(SMP30)の発見から、ビタミンC合成を担う酵素としての機能同定、ビタミンCを合成できないSMP30ノックアウトマウスを用いたビタミンCの機能解明や老化関連疾患との関わりまで、栄養と老化の関わりについて講義する。

11月5日 重本和宏
「サルコペニアとフレイル」
2010年にサルコペニアの定義と診断基準が欧州で提唱され、それを土台にして米国に続き2014年にはわが国でもアジア人を基準とする指標が発表された。さらに2017年には、サルコペニアがICD10(国際疾病分類)に登録されるに至り疾病としての概念が確立された。本講ではサルコペニアとフレイルの関係と病態メカニズムに関わる基礎研究の最前線を紹介する。

11月12日 豊田雅士
「幹細胞と再生医療」
ヒトは約37兆個、200種類余りの細胞から構成されています。これらの細胞が各々の機能を果たすことで「生きている」ことになりますが、加齢とともにその機能は低下、すなわち老化し、病態発症へとつながっていきます。生体の恒常的機能を維持するのを支えているのが「幹細胞」です。幹細胞の果たす役割とは何かを考え、また期待される幹細胞を使った再生医療とはどういうものかについて講義します。

11月19日 井上聡
「ホルモンと老化」
性ホルモンを含むステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、ビタミンDやレチノイン酸などは細胞の増殖や分化、細胞・生体機能の調節ばかりでなく、様々な疾患やがん・老化に関与している。これら脂溶性小分子はそれぞれに特異的な核内受容体を介して働く。ヒトには48種類の核内受容体が存在し、老化と加齢性疾患の制御に深く関わっている。本項目では、核内受容体の構造と機能、老化や各種病態における役割について概説する。

11月26日 萬谷博
講義および試験:講義後に前週までの内容についての試験を行う。
「糖鎖と老化関連疾患」
遺伝的要因を決定しているものはゲノムの塩基配列情報だが、実際に機能している分子は翻訳産物のタンパク質である。多くのタンパク質はさらに翻訳後修飾を受け本来の機能を獲得するため、翻訳後修飾に異常が起きると様々な疾患の原因となる。本項では翻訳後修飾の一つである糖鎖がどのように老化や疾患に関わるかを紹介する。
履修条件・関連項目
基礎生物学、生化学、基礎生理学、基礎分子生物学、基礎物理化学を履修している事が望ましい。必要な学習時間は、本学の標準時間数に準ずる。
テキスト・教科書
参考書
成績評価の方法
平常点及び講義の最後に行われる試験により評価する。
教員から一言
老化に伴う様々な生理的変化等について、自然科学的な側面に加え、医学的な側面、そして、社会科学的な側面からも講義します。
キーワード
健康、老化、長寿、医療
オフィスアワー
e-mail(manya@tmig.or.jp)で問い合わせてください。
備考1
三浦ゆり https://www.tmghig.jp/research/team/roukakikou/proteome/
上住聡芳 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyotai/kinroukasaiseiigaku/
大澤郁朗 https://www.tmghig.jp/research/team/roukaseigyo/seitaichousetsukinou/
近藤嘉高 https://www.tmghig.jp/research/team/roukaseigyo/bunshiroukaseigyo/
重本和宏 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyotai/undokiigaku/
豊田雅士 https://www.tmghig.jp/research/team/rounenbyotai/shinketsukanroukasaiseiigaku/
井上 聡 https://www.tmghig.jp/research/team/roukakikou/systemkareiigaku/
萬谷 博 https://www.tmghig.jp/research/team/roukakikou/bunshikikou/
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/09/09 14:59:15