科目名[英文名]
応用物理数学   [Advanced Mathematical Physics]
区分 共通科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 1060489
責任教員 [ローマ字表記]
生嶋 健司, 森下 義隆   [IKUSHIMA Kenji, MORISHITA Yoshitaka]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
対称性は物理学に欠かすことができない概念である。素粒子・宇宙、原子・分子、固体物理、連続体の物理などあらゆる分野において対称性というものは必ず顔を出してくる。本講義では、対称性という概念を記述するための数学である群論の基礎を紹介し、それを具体的な物理系に応用する。

目標:
(1)対称性の概念を記述する数学(群論)の基礎を習得する。
(2)結晶学、量子力学、分子・格子振動、バンド理論、テンソル量などを対称性を意識する立場から眺めなおす。

本科目は、選択必修科目の一つである。
到達基準
1)対称性を表現する数学的概念(群論)を理解し、説明できること。
2)固体の結晶を対称性の観点から分類できること。
3)量子力学的問題を対称性の観点から分類できること。
4)結晶の対称性と物性パラメータの対称性の関連を理解し、説明できること。

本科目のディプロマ・ポリシーの観点:履修案内のカリキュラムマップを参照してください。
授業内容
第1回 はじめに
    対称性と物理学 ---空間対称性、時間反転対称性
ブラベー格子と結晶系
授業の進め方

第2回 点群

第3回 空間群

第4回 群論の定義

第5回 組み替え定理(再配列定理)

第6回 群の表現(行列表現)

第7回 既約表現とキャラクター表

第8回 既約化と直積

第9回 量子力学への応用ーーー基底関数・重なり積分

第10回 量子力学への応用ーーー縮退・パリティ・選択則

第11回 固体物理学への応用ーーー並進対称性と電子状態(ブロッホの定理とバンド理論)

第12回 固体物理学への応用ーーー並進対称性と格子振動

第13回 テンソル

第14回 テンソルとマクロな物性パラメータ

第15回 まとめ
履修条件・関連項目
学部での講義(特に量子力学、固体物理学、物理数学)の基本的知識を前提とします。
授業時間 30 時間に加え、配布した講義資料や参考書を参照し、本学の標準時間数に準ずる予習と
復習を行うこと。
テキスト・教科書
参考書
「物質の対称性と群論」今野豊彦 著 共立出版
「応用群論」犬井鉄郎、田辺行人、小野寺嘉孝 著 裳華房
"Modern Quantum Mechanics" J. J. Sakurai Addison Wesley Longman
成績評価の方法
小レポート(2回ほど)、最終レポート(60点)の合計点が60点以上のものを合格とします。
教員から一言
対称性は物理学に欠かすことができない概念ですが、
実は意外とそれを系統的に扱う講義は無いものです。
私は学生時代に対称性や群論の授業を受けた記憶がありません。
固体物理におけるX線や電子線構造解析などの学生実験や授業で
若干触れる程度です。しかし、対称性は結晶構造の解析に必要なばかりではなく、
量子力学の本質的な問題にも関わります。
また、分子や結晶の構造に関する対称性は必ず電子状態の
波動関数の対称性とも関わってきて、結局、分子や固体中の電子状態やエネルギー準位を知る上で対称性という概念が必要です。さらに、分子や格子の振動モードも幾何学的な構造の対称性が反映し、光吸収などの外場との応答を決定づけます。そのほか、物性を特徴づけるパラメータである伝導率、誘電率、帯磁率、弾性率、圧電率などは一般にはただの定数(スカラー)ではなく、テンソルという量で表されます。つまり、固体と電場・磁場・あるいは力学的な外力との応答係数は一般的にテンソル量で表され、そのテンソルの対称性は考えている物理系の対称性と密接に関係しているということです。この講義を通じて各自の研究テーマにおいて対称性を意識するきっかけになれば幸いです。
キーワード
オフィスアワー
可能な限りいつでも対応します。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/03/18 14:58:45