科目名[英文名]
磁性工学特論   [Advanced Magnetism]
区分 前期課程科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 1060515
責任教員 [ローマ字表記]
清水 大雅   [SHIMIZU Hiromasa]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
 電子の電荷を利用した集積回路とともに、ハードディスクに代表される磁性体の不揮発性を利用した記憶素子は広く社会に実用化されており、重要な分野である。これらは近年「スピントロニクス=スピン+エレクトロニクス」と呼ばれ注目を集めている分野である。本講義ではスピントロニクスを理解する上で必要な磁性体の基礎について講義を行う。前半では電磁気学を復習し、量子力学など、磁性体を勉強する上で基礎となる内容を解説する。基礎を学んだ上で強磁性と常磁性の違いやその転移について解説する。後半では最近のスピントロニクス分野の進展について解説する。
到達基準
 原子核の周りを電子が回るという電磁気学的描像から出発し、磁気モーメントを勉強する過程で量子力学の必要性を理解する。電子軌道を理解し、強磁性の発現との関連性を理解できるようになる。強磁性/常磁性の違いとその転移を理解できるようになる。
授業内容
以下は2014年度の時間割である。2015年度は難易度を少し落とし、最初に磁化曲線の読み方を開設する。


第1回 イントロダクション
スピントロニクスとは何か?「磁性体、磁石」の概要について概説する。

第2回 電磁気学の復習
磁性体を学ぶ上で必要な電磁気学を復習する。
特に、電磁気学の基本式、ループ電流と磁気モーメント、磁気モーメントと磁化、単位系を解説する。

第3回 量子力学の基礎
量子力学の基本となる電子の粒子性と波動性を概説する。

第4回 周期律表からみた磁性体
周期律表から磁性体を挙げ、電子の軌道と磁性の発現の関係を解説する。

第5-7回 電子軌道
剛体回転子、球座標系におけるシュレディンガーの波動方程式を解説し、電子軌道を解説する。

第8-10回 強磁性の発現 磁性の温度依存性
磁性体の分類、強磁性 / 常磁性 の転移温度、及び磁性の温度依存性について解説する。

第11-12回 磁性体の各論
強磁性金属、及び、強磁性絶縁体における強磁性の発現について解説する。

第13回 磁気異方性と磁化過程
形状磁気異方性と結晶磁気異方性を解説する。

第14〜15回 磁性体の応用、スピントロニクスの最前線
最近の磁化反転に関する研究を中心に紹介する。
履修条件・関連項目
テキスト・教科書
復習のために電磁気学の教科書を使用する。学部で使用した電磁気学の教科書を持参すること。
その他、資料を配布する。
参考書
強磁性体の物理(上)(下) 近角聡信 著 裳華房 物理学選書 
磁気工学の基礎(I) 太田恵造 著 共立出版
磁気工学の基礎(II)太田恵造 著 共立出版: 磁気工学の基礎(I)の発展応用編。
スピントロニクス 次世代メモリMRAMの基礎 宮崎照宣著 日刊工業新聞社   等
成績評価の方法
出席、レポート課題の総合評価による。大学院生としてプレゼンテーション能力を高めるために課題の解答を発表することを求める。発表した学生には成績評価時にボーナス点を加算する。
教員から一言
磁性や量子力学、電子軌道というと難しい印象をもつかもしれない。手を動かして電子軌道や強磁性/常磁性転移を導出すると理解が深まるはずである。奥が深い分野であり、自習の手がかりになるような講義にしたい。
キーワード
磁気モーメント、磁化、電子軌道、波動方程式、強磁性、常磁性、転移温度
オフィスアワー
月曜日 16:00〜18:00
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/02/13 11:24:08