科目名[英文名]
薄膜合成化学特論   [Advanced Thin Film Synthesis]
区分 後期課程科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 1080202
責任教員 [ローマ字表記]
熊谷 義直, 村上 尚   [KUMAGAI Yoshinao, MURAKAMI Hisashi]
所属 工学部 研究室 1N-101  メールアドレス

概要
半導体単結晶は情報通信機器で多用されており、より一層の高性能化を進めるためには結晶の物性の理解、伝導性の制御、キャリアの輸送、生成・再結合といった基礎知識とその応用が必須である。本講義では半導体結晶内での電子の振る舞いの理解の後、電子デバイスの基本構造であるp‐n接合について理解し、さらにバイポーラ・デバイス、ユニポーラ・デバイスについて基礎と応用例を学ぶ。
本科目は博士前期課程の無機反応化学特論の後継科目であり、両科目を併せて履修することが望ましい。
到達基準
半導体単結晶を最先端の光エレクトロニクスに用いるためには、「結晶の物性の理解、結晶の成長と物性制御」が求められます。この講義では、光エレクトロニクスにおいてキーとなる各種の光・電子デバイスの動作特性を、結晶の物性と関連付けて理解できるようになることを目標とします。

本科目のディプロマ・ポリシーの観点:(A)、(D)
授業内容
第1回 ガイダンス:本講義の内容について学習意欲を高めるガイダンスを行う。
第2回 半導体単結晶とエネルギーバンド:エレクトロニクスにおける最も重要な材料である半導体単結晶の電気伝導に関連する価電子結合およびエネルギーバンドについて学ぶ。
第3回,第4回 キャリア密度:状態密度関数とフェルミ・ディラック分布関数から真性半導体中のキャリア密度の式を導出する。
第5回 ドナーとアクセプタ:半導体単結晶に不純物をドープして伝導性を制御した際のキャリア密度とフェルミ準位について学ぶ。
第6回 キャリアの輸送現象(1):半導体単結晶中で、電界によって移動するキャリアの輸送現象を学ぶ。ドリフト速度、移動度について考え、その制御に関連する結晶のパラメータを理解する。
第7回 キャリアの輸送現象(2):半導体単結晶中のキャリア密度に勾配がある時に生じる拡散現象について学ぶ。
第8回 生成・再結合の過程:過剰キャリアが注入された場合に、再結合により熱平衡状態に戻る過程について学ぶ。過剰少数キャリアの寿命について理解する。
第9回 連続の式:半導体単結晶中で電界によるドリフト、濃度勾配による拡散、生成・再結合が同時に生じたときの全体効果を考え、連続の式を導出する。いくつかのケースについて連続の式を当てはめ、解いてみる。
第10回 p‐n接合(1):pおよびn領域を有しp‐n接合を形成している半導体単結晶について、エネルギーバンド図、内臓電位と空乏層形成について理解する。
第11回 p‐n接合(2):p‐n接合に電圧を印加した際の電流‐電圧特性の式を導出する。整流特性の発現とその利用について学ぶ。
第12回 バイポーラ・デバイス:p‐n‐pまたはn‐p‐n構造の形成と、トランジスタ作用について理解する。エネルギーバンド図を用い、ベース到達率、電流利得について考える。
第13回 ユニポーラ・デバイス(1):金属・半導体(ショットキー)接触についてエネルギーバンド図を使い理解する。整流性の利用、オーミックコンタクトの形成の2つについて理解する。
第14回 ユニポーラ・デバイス(2):金属・酸化物・半導体(MOS)構造についてエネルギーバンド図を用い反転層の形成について理解する。しきい値電圧についての数式を導出する。MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)の基本特性を理解する。
第15回 第1回から第14回までのまとめ。
最終試験。
履修条件・関連項目
応用化学専攻、精密分子化学専修(博士後期課程)科目ですが、興味のある博士前期課程学生には履修を認めます。

授業時間30時間に加え、講義ノートや参考書を参照し、本学の標準時間数に準ずる予習と復習を行うこと。
テキスト・教科書
なし
参考書
半導体デバイス ‐基礎理論とプロセス技術‐ S. M. Sze著(南日康夫、川辺光央、長谷川文夫 訳)産業図書
成績評価の方法
授業態度(15%)および最終確認演習(85%)で評価する。
教員から一言
半導体単結晶を利用したエレクトロニクス機器は物理、化学、数学、量子力学、電気工学等の様々な学問分野を総合して得られる産物です。本講義は数式が多く取り付きにくいかもしれません。しかし、基本をしっかり理解すればそれ程難しくないことに気付くでしょう。
・出席確認は講義前に行う。
・質問は講義終了後、あるいは下記のオフィスアワーで随時受け付ける。
キーワード
半導体単結晶、エネルギーバンド、ドナー、アクセプタ、バイポーラデバイス、ユニポーラデバイス
オフィスアワー
毎週月曜日午後5時から6時まで、場所:新1号館N101号室。
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2019/03/19 20:12:09