科目名[英文名]
遺伝子工学   [Gene Engineering]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 01BN3127
責任教員 [ローマ字表記]
松下 保彦, 佐々木 信光   [MATSUSHITA Yasuhiko, SASAKI Nobumitsu]
所属 農学研究院 研究室 遺伝子実験施設 東棟2階 E18室(佐々木)、E17室(松下)  メールアドレス

概要
 応用生物科学の分野において、分子、細胞、個体から生物群集の活動、相互作用にいたる一連の生命現象と生物機能を理解するための分析力と考察力を身につけるためには、核酸やタンパク質などの生体内分子を遺伝子の機能という観点からどのように解析することができるかを理解することが重要である。
 本講義では、技術的にも知識的にも食品や植物保護、微生物学などの基盤となる遺伝子工学の解析法のうち、組換えDNA実験基礎技術、遺伝子発現の解析法、および遺伝子産物の機能解析法について解説する。
到達基準
・組換えDNA実験基礎技術について理解すること。
・遺伝子のクローニングや遺伝子の機能解析など,組換えDNA実験基礎技術を
 用いた研究について自分である程度実験計画ができるようになること。
・遺伝子発現の解析、および遺伝子産物の機能解析で用いられる代表的な実験手法の原理について理解すること。

本学HP(三つのポリシー)のカリキュラムマップを参照してください。 https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
[第1回〜第7回] (佐々木)

第1回 遺伝子のクローニング法(1)
 ・制限酵素と修飾酵素を用いた従来クローニング法
 ・in vitro組換え法による最新クローニング法
 ・大腸菌の形質転換の頻度と効率

第2回 遺伝子のクローニング法(2)
 ・DNA塩基配列の解析(サンガー法[ジデオキシ法])
 ・タグ配列の導入と利用
 ・遺伝子クローニング実験の計画

第3回 遺伝子の増幅法(1)
 ・PCR
 ・逆転写反応によるcDNA合成
 ・プライマーの設計
 ・PCRを利用した変異導入法(1)

第4回 遺伝子の増幅法(2)
 ・PCRを利用した変異導入法(2)
 ・RACE法
 ・インバースPCR法

第5回 ライブラリーの構築
 ・ゲノムライブラリー
 ・cDNAライブラリー
 ・均一化cDNAライブラリー
 ・完全長cDNAライブラリー
 ・サブトラクション法、ディファレンシャルディスプレイ法
 ・コロニー&プラークハイブリダイゼーション

第6回 遺伝子発現の解析法(1)
 ・ノーザンブロット解析
 ・ウエスタンブロット解析、ELISA法

第7回 遺伝子発現の解析法(2)
 ・リアルタイム定量PCR法
 ・デジタルPCR法


[第8回〜第15回](松下)

第8回 遺伝子発現の解析法(3)
 ・核酸の解析法概観
 ・マイクロアレイ実験の概略
 ・DNAチップ(GeneChip)
 ・DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析

第9回 遺伝子発現の解析法(4)
 ・次世代型DNAシークエンサーの原理
 ・次世代型DNAシークエンサーによる遺伝子発現解析

第10回 遺伝子発現の解析法(5)
 ・次世代型DNAシークエンサーによるクロマチン免疫沈降解析

第11回 遺伝子発現の解析法(6)
 ・タンパク質の解析法概観
 ・質量分析装置による遺伝子発現解析

第12回 遺伝子産物の機能解析法(1)
 ・遺伝子の機能解析法概観
 ・遺伝子の機能解析のポイント

第13回 遺伝子産物の機能解析法(2)
  ・ ノックアウト法とノックダウン法(遺伝子破壊、タグライン、RNAi)
  ・ エンハンサートラップ法
  ・ 人工変異タンパク質の利用
    (部分欠失型、ドミナントネガティブ型改変タンパク質)
  ・大腸菌での遺伝子発現系
    (蛋白質発現系とその利用、アフィニティー精製の原理、
     誘導発現用ベクターシステム)
  ・無細胞翻訳系
  ・遺伝子導入法
     物理・化学的方法(遺伝子銃、エレクトロポレーション、薬剤処理、
         凍結融解)
     生物的方法(バイナリーベクター法、ウイルスベクター法)

第14回 遺伝子産物の機能解析法(3)
  ・タンパク質と核酸の相互作用の解析法
    (酵母ワンハイブリッド法、サウスウエスタン法、
     クロマチン免疫沈降解析、フットプリント法
     electrophoresis mobility shift assay [=EMSA法])

第15回 遺伝子産物の機能解析法(4)
  ・タンパク質とタンパク質の相互作用の解析法
     酵母ツーハイブリッド法、ファーウエスタン法、 FRET法、
     BiFC法, 免疫沈降法)
履修条件・関連項目
分子生物学IおよびIIを履修しておくことが望ましい。
講義時間30時間に加え、配布資料や参考書を使って本学の標準時間数に準ずる予習・復習を行うこと。
テキスト・教科書
プリント配布またはmoodleからの電子ファイル取得による。
参考書
「ワトソン 遺伝子の分子生物学」(第6版) 東京電機大学出版局
「ワトソン 組換えDNAの分子生物学」(第3版) 丸善
「これからのバイオインフォマティクスのためのバイオ実験入門」羊土社
「遺伝子工学の原理」 三共出版(ISBN978-4-7827-0637-4)
成績評価の方法
試験(100%)によって評価する。
ただし、試験は2名の担当教員がそれぞれの担当回の中で行う。
教員から一言
興味をもったら、どんどん本を読み積極的に勉強する。出来れば原文(英文)の参考書を読み、英語になれること。
キーワード
クローニング,遺伝子増幅,遺伝子導入,ベクター,ライブラリー, 次世代型ゲノムアナライザー, 遺伝子発現の解析法, 遺伝子産物の機能解析法
オフィスアワー
授業後またはメールでアポイントメントをとること。佐々木:chaki@cc.tuat.ac.jp,松下: ymatsu@cc.tuat.ac.jp
備考1
【新型コロナウイルス感染の影響による授業スケジュール等の変更については、本科目のクラスルームでご確認ください。】
備考2
過去の成績分布は以下のとおり。

R1 (2019) S 30%, A 51%, B 12%, C 4%, D 0%, E 3%
H30 (2018) S 34%, A 38%, B 16%, C 8%, D 0%, E 4%
H29 (2017) S 38%, A 28%, B 18%, C 6%, D 4%, E 6%
H28 (2016) S 24%, A 28%, B 18%, C 20%, D 8%, E 1%
H27 (2015) S 29%, A 12%, B 41%, C 17%, D 0%, E 1%
H26 (2014) S 23%, A 31%, B 25%, C 16%, D 3%, E 2%
H25 (2013) S 19%, A 19%, B 25%, C 19%, D 8%, E 10%
H24 (2012) S 16%, A 17%, B 14%, C 24%, D 15%, E 14%
H23 (2011) S 9%, A 20%, B 19%, C 39%, D 13%
H22 (2010) S 12%, A 17%, B 27%, C 23%, D 21%
H21 (2009) S 6%, A 42%, B 33%, C 4%, D 15%
H20 (2008) S 3%, A 32%, B 50%, C 11%, D 4%
H19 (2007) S 15%, A 24%, B 30%, C 20%, D 11%
H18 (2006) S 27%, A 33%, B 21%, C 13%, D 6%
H17 (2005) S 9%, A 26%, B 32%, C 21%, D 12%

参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/05/19 13:38:23