科目名[英文名]
代謝工学   [Metabolic Engineering]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 01BN3137
責任教員 [ローマ字表記]
三原 康博   [MIHARA Yasuhiro]
所属 農学府 研究室   メールアドレス

概要
企業(味の素)研究者の非常勤講師から、皆さんが学んでいる微生物学、生化学、分子生物学等のサイエンスが実際にどのように産業に応用されているかを紹介します。アミノ酸の工業生産を題材に、発酵理論の確立から、代謝工学への進展、そして現在期待されている技術への理解を深めることを目的とします。土曜日開催の集中講義です。
本科目は実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業に勤務する研究者であり、実際の工業生産や開発の現場における実例をあげながら講義を行います。
到達基準
・代謝工学の発展、産業とのつながりを歴史的に学び、バイオ技術の理解を深める。
・自身のアイデア創出につながるよう、先端のバイオ技術がどのように活用されているか知識を深める。
・実用化開発における課題を知り、応用的にも研究を捉える視点を育成する。
本科目のディプロマ・ポリシーの観点:本学HP(三つのポリシー)のカリキュラムマップを参照してください。
https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
 1908年、池田菊苗博士が、昆布のおいしさを構成する成分としてグルタミン酸を抽出し、この味を基本味として考えられていた4つの味と異なる第5の基本味「うま味」と命名しました。これはアミノ酸産業における第1のイノベーションであり、抽出法を技術基盤とするアミノ酸事業の創生につながりました。次いで1956年、第二のイノベーション、すなわち微生物の持つアミノ酸生合成能力を利用する「発酵法」によるグルタミン酸製造技術が開発されました。グルタミン酸発酵の発明を端緒として発酵理論が確立されたアミノ酸発酵技術は、代謝工学へ進展し、日本がリードしながら大きな産業へ発展してきました。近年は、人工的に代謝経路を設計し、その生物が本来生産できない物質を大量生産させるといった研究が盛んに行われています。
 本講義では工業生産に用いられている発酵菌の開発事例をあげながら代謝工学の考え方を紹介します。また、菌株の育種だけでなく、企業の立場から、原料、製造プロセス(発酵、単離、精製)、設備、工業生産と環境との関わり、特許戦略や企業研究の進め方等についても実例をあげながら紹介したいと思います。授業で学んできた微生物学、生化学、分子生物学等のサイエンスが実際にどのように産業に応用されているか、企業でどのような研究が行われているかを感じてください。 
第1回 (5/23)
・微生物の代謝を利用する・代謝工学のアプローチ
・うま味の発見と調味料事業の創生・グルタミン酸の新機能
・グルタミン酸発酵菌の発見 ・代謝制御発酵の幕開け
・開発事例:グルタミン酸発酵のメカニズム解明 ・発酵原料
第2回 (5/30)
・遺伝子組換え技術による育種 ・ 遺伝子組換え技術と法規制
・開発事例:リジン発酵菌の開発・ 発酵産業の経済性
・発酵設備とプロセス開発 ・代謝工学の進化
・開発事例:革新的グルタミン酸発酵菌の開発
第3回 (6/20)
・単離・精製プロセス・ 品質管理の重要性
・開発事例:トリプトファン発酵菌の開発
・環境保全と有効利用開発事例:酸性条件下におけるグルタミン酸発酵法
・酵素法による有用物質の製法 ・タンパク質工学の発展
・開発事例:イノシン酸生産菌の育種他
第4回 (6/27)
・開発事例:公開特許から見たシステイン発酵菌の開発・ 特許戦略
・バイオ燃料とバイオリファイナリー・開発事例:コハク酸生産菌の育種
・合成生物学 ・質疑応答
履修条件・関連項目
生化学、微生物学について基本的予備知識を有すること。
「本学の標準時間数に準ずる」時間で、予習・復習(授業外学習)をする、との記載が通常必要です。
テキスト・教科書
なし。レジメを配布します。
参考書
さらに知識を深めたい方に向け、授業で各トピックスの参考文献/書籍を紹介します。
成績評価の方法
授業への積極的参加度・質問・発言・各回のアンケート(50%),レポート(50%)。レポート課題:「バイオテクノロジーを利用した製品と技術について」。
教員から一言
菌株の育種だけでなく、発酵産業の実用化に関わる内容を幅広く紹介したいと思います。授業で学ぶサイエンスがどのように産業に関わっているのかを感じてください。
キーワード
応用微生物、代謝工学、生物化学工学、発酵、酵素、アミノ酸、組換えDNA技術、合成生物学。
オフィスアワー
質問はメールにて随時受け付けます。
備考1
備考2
参照ホームページ
http://www.ajinomoto.com/jp/rd/
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/03/12 13:10:51