科目名[英文名]
野生動物保全学   [Wildlife Conservation]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 2  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 01rn2031
責任教員 [ローマ字表記]
金子 弥生   [KANEKO Yayoi]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
保全生態学は、生態学的多様性の理解のために必要な基礎知識とその具体的な保護方法について学ぶための総合的学問である。本講義では、国内外の野生哺乳類の保護および管理の取組みについて知ることで、環境問題において動物を見つめる力を養い、高いレベルの知識をつけることを目標とする。さらに、野生動物の保全の実施に伴い考慮すべきネガティブな問題は、人間へ与える被害である。野生鳥獣による農林被害発生の原因は、天然林伐採等による餌環境の変化と保護政策の不均衡、山林過疎化、好適餌作物の増加、積雪量の減少による幼獣死亡率の低下等、さまざまな原因があげられる。被害防除にあたり、被害発生の誘因となる個体群の変化や特定種の増加、行動変化に関するメカニズムを理解する必要がある。また保全策の実施においては、行政や地域コミュニティーとの連携、将来の変化まで入れた長期的視野が必須である。本講義では、主に国内の野生生物保全の現場の人々の視点にたって議論する力を、グループディスカッションやディベートをとおして養う。
到達基準
(1)野生動物の保護および管理のための基礎的な理論を理解できる。
(2)野生動物保護のための法律や保護区設計などの仕組みを理解し考察することができる。
(3)1と2の理論や知識をもとに、野生動物保全問題について自分の意見を述べることができる。
授業内容
第1回 オリエンテーション 野生動物の価値  
第2回 日本の野生哺乳類、保全上の課題、 レッドデータブック  
第3回 食物と栄養1
第4回 食物と栄養2
第5回 生物間相互作用と保全 ①外来種問題 グループディスカッション 
第6回 生物間相互作用と保全 ②新しい個体群の設置と生息地復元  
第7回 個体群の定義と分布様式  
第7回 獣害問題:ニホンザル、ツキノワグマによる問題と管理
第8回 環境収容力の概念、個体群動態  グループディスカッション 
第9回 社会生態学1
第10回 社会生態学2
第11回 保護区の設計、生態工学 グループディスカッション 
第12回 哺乳類保護管理に関わる法律  グループディスカッション 
第13回 野生動物保護をめぐる人間活動:狩猟による大型獣の管理と日本の人口問題  グ
第14回 環境倫理と動物福祉、野生哺乳類保全の将来  
第15回 野生動物保護をめぐる人間活動:レポート課題説明

履修条件・関連項目
動物生態学
予習や復習に必要な学習時間は、本学の標準時間数に準ずる。
テキスト・教科書
指定なし
参考書
「哺乳類の生態学」 土肥昭夫・岩本俊孝・三浦慎悟・池田啓共著(東京大学出版会)
「哺乳類の生物学5 生態」 高槻成紀著(東京大学出版会)
「野生動物の生態と農林業被害 共存の論理を求めて」 三浦慎吾著(林業改良普及双書)
「野生鳥獣保護管理ハンドブック」 (日本林業調査会)
「野生動物管理-理論と技術-」羽山伸一ほか編(文永堂出版)
「日本の哺乳類」 2中大型哺乳類・霊長類 (東京大学出版会)
「日本の食肉目」増田隆一編(東京大学出版会)
「保全生物学のすすめ 生物多様性保全のためのニューサイエンス」 リチャード・プリマック・小堀洋美共著(文一総合出版)
「アニマルウェルフェアー動物の幸せについての科学と倫理」佐藤衆介著(東京大学出版会)
成績評価の方法
レポート(40点)、グループディスカッション(60点)の合計点が60点以上のものを合格とする.
教員から一言
講義に出てくる専門用語や概念、特に、日本に生息する野生鳥獣の生態と保全について幅広い知識を身につける。日ごろからマスコミ等で目にする野生動物関連の問題について、本講義の知識を用いて教員や友人らと議論する、また保全や被害対策の現場を見に行くなど、地域の人々の暮らしと、野生動物保全サイドの双方の立場にたって考え、問題解決について論理的に考える態度が望まれる。
キーワード
希少種、レッドデータブック、保全生態学、生態工学、外来生物、順応的管理、合意形成、動物福祉、人口問題
オフィスアワー
水曜日2限
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/08/27 17:54:11