科目名[英文名]
生物学基礎   [Fundamental Biology]
区分 工学部専門科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 24  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 022655
責任教員 [ローマ字表記]
大澤 郁朗   [OOSAWA Ikurou]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
生物の理解から,医療・福祉の向上,生命環境の改善など,生命科学の全分野において情報システムは必須のアプローチとなっています.その中心にはヒトがいて,ヒトを知るには生物学が必要です.本講義では,生物を構成する物質と細胞の理解を中心に,現代生命科学の最先端にも触れながら,最低限は身に付けておきたい生物学の基礎知識を学びます.
到達基準
1. 細胞,代謝,遺伝の基本を理解する.
2. バイオテクノロジーに関するキーワードを理解し,新聞やネット上の生命科学に関わる情報を正しく理解できる.
3. 食品,医学,薬などに関する正しい知識を得る.
授業内容
1 イントロダクション:なぜ,お酒に強い人と弱い人がいるのか?お酒に弱い人は病気になりやすい?身近な話題から生命誕生の謎まで生命科学の秘密を覗く.
2 細胞:生命の機能単位:ヒトの身体は60兆個の細胞からできている.脂質で区切られた細胞の大きさは数十マイクロメートル.顕微鏡でしか観察できない細胞内の緻密な構造を学ぶ.
3 アミノ酸,タンパク質,酵素:スポーツ飲料で効能が謳われるアミノ酸.直鎖状につながってタンパク質となり私たちの身体を構成する.タンパク質は複雑な立体構造を形成し,化学反応を触媒する酵素として働く.
4 生命エネルギーの獲得:人も酵母もブドウ糖を食べて生きている.生命がグルコースを酸化してエネルギーを獲得する驚きのメカニズムとは?
5 有性生殖と遺伝:子が親に似るのはなぜ?しかも親と全く同じ子は生まれない.メンデルによる遺伝の法則からワトソンとクリックによるDNA二重らせん構造の発見まで,生命が次世代に情報を伝承し,進化していくメカニズムを概説する.
6 核酸の構造と遺伝子:DNAはたった4種のヌクレオチドからできている.ヒトの細胞では長さ約2メートルもあるが遺伝子として使われるのは僅か1.5%.その構造と複製の仕組みを学ぶ.
7 セントラルドグマ:DNA配列に書き込まれた設計図はRNAを経由してタンパク質に翻訳される.微生物からヒトに至るまで不変な概念,セントラルドグマとは?
8 細胞内輸送と細胞骨格:翻訳されたタンパク質はどこへ行く?目的地に配送される仕組みを概説.品質が悪ければオートファジーで分解処理される.また,細胞の形を維持し動かす精巧なマイクロマシンについて学ぶ.
9 細胞間と細胞内の情報伝達:細胞は相互にコミュニケーションをとりながら私たちの身体を構成している.情報は細胞表面の受容体を介して細胞内へ伝達され,内部で次々とリレーされて,指示通りの細胞変化が生じる.
10 細胞分裂と発生・分化:細胞は細胞から生まれ,その分裂は巧妙に制御されている.新たな細胞にはそれぞれ異なった役割が与えられ個体が発生する.幹細胞とは何か?iPS細胞発見のインパクトについても解説.
11 細胞死と老化:なぜ,人は老いるのか?生きとし生けるものは全て死す.ネクローシスやアポトーシス,細胞死にも様々な形態があり,個体も老化してやがて死を迎える.
12 脳と神経伝達:脳は目や耳から得た情報を処理し,運動出力へと変換する情報処理装置である.神経系は電気を使って通信するが,その方法は電気が電線を流れるのとは大きく異なる.ニューロンによる神経伝達と記憶の仕組みから認知症の発症機序まで,その概要を学ぶ.
13 バイオテクノロジーと生命情報科学:遺伝子工学により生理活性タンパク質の大量生産が可能となってバイオ医薬品が生まれた.今や遺伝子改変動物を生み出すことも容易である.また,生命科学最大のプロジェクトであったヒトゲノムプロジェクトの成果と意義は?その先の進化し続ける技術の概要を解説する.君の祖先はネアンデルタール人だった?

履修条件・関連項目
特にありません.高校生物を履修していないことを前提に講義を進めます.

テキスト・教科書
プリントを配布します.参考書として指定した本の購入が望ましい.

参考書
理系総合のための生命科学 第5版 羊土社
現代生物学の到達点をコンパクトにまとめてあります.索引も充実していて使いやすい.
成績評価の方法
学期末試験の他,適宜演習を行う.基本的には授業参加度:30%,試験:70%で成績を判断する.
教員から一言
将来,皆さんが生命科学の研究や産業にたずさわる可能性は極めて高い.積極的な講義への参加を期待しています.
キーワード
生命,細胞,生体分子,遺伝,人体
オフィスアワー
質問があればメールください.普段は東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)にいます.随時見学OKです.
備考1
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/08/07 18:23:43