科目名[英文名]
健康長寿科学Ⅱ   [Science of Healthy Longevity Ⅱ]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 1  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 05lc0106
責任教員 [ローマ字表記]
西河 淳, 萬谷 博, 上住 聡芳, 豊田 雅士, 井上 聡, 石神 昭人, 大澤 郁朗, 三浦 ゆり, 重本 和宏   [NISHIKAWA Atsushi, MANYA Hiroshi, UEZUMI Akiyoshi, TOYODA Masashi, INOUE Satoshi, ISHIGAMI Akihito, OOSAWA Ikurou, MIURA Yuri, SHIGEMOTO Kazuhiro]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
健康長寿に迫る科学には多面的なアプローチが必要である。本講義では、老化の基礎的概念や加齢に伴う神経細胞変性、サルコペニア、フレイルなどの老化関連疾患について述べる。また、抗老化の観点から老化のバイオマーカーや酸化ストレスについて、さらに、幹細胞からの再生医療を概観する。講義を通じて社会への還元の大きい健康長寿研究のフロントランナーたちの活動について学ぶ。
到達基準
講師が述べる基礎的な用語、概念について理解できる。
講師が述べる各生命現象の老化による変化そして老化における役割が理解出来るようになる。
老化における分子レベルから個体レベルまでの機能変化が生体にどのような影響を与えるのかが理解出来るようになる。
本科目のディプロマ・ポリシーの観点:
本学HP三つのポリシーのカリキュラムマップを参照してください。
URL: https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
① 三浦ゆり「プロテオミクスによる老化研究」 (講義予定 10月6日:対面講義)
 生体を構成する様々な分子の中で、実際の生命活動に携わっているのはタンパク質である。酵素反応、細胞内外への物質の輸送、分子の認識など、生命を維持するうえで重要な機能を担っているため、タンパク質を網羅的に調べることにより、老化や疾患の分子機構に迫ることができる。本講義では、オミクス研究のひとつである「プロテオーム解析」を用いた、バイオマーカー探索や病態メカニズムの解明をめざした研究について紹介する。

② 上住聡芳「筋組織の老化と幹細胞」(講義予定 10月13日:対面講義)
 骨格筋の老化(サルコペニア)は、健康を脅かす深刻な問題である。細胞の入れ替わり率(ターンオーバー)の高い組織では、幹細胞から断続的に子孫細胞が産生され組織が維持されるが、骨格筋はターンオーバーが極めて低い。骨格筋には筋衛星細胞と呼ばれる幹細胞が存在するが、幹細胞は筋の維持・老化に関係するのだろうか?本講義では、筋の幹細胞システム、そして、幹細胞と筋組織の老化についての研究の最前線を紹介する。

③ 大澤郁朗「酸化ストレスと水素分子」(講義予定 10月20日:対面講義)
 酸化ストレス防御系の破綻が老化と関連疾患の主要なエンハンサーであると考えられ、その効果的抑制法が探索されてきた。いわゆる健康食品の開発もその延長線上にあるが、作用機序と効果の両面で十分な研究成果が挙がっているとは言えない。そこで、近年、大きく着目されている水素分子について、疾患モデル動物を用いた研究から人での臨床研究及びその作用機序について概説し、その問題点と今後の展開を議論する。

④ 石神昭人「老化機構の解明と老化制御・アンチエイジング研究」(講義予定 10月27日:オンライン講義)
 「老化」と「加齢」の意味の違いが分かりますか?では、「アンチエイジング」の言葉の意味は?本授業では、誰もが知っているようで、実は知らない老化の根本的な概念から解説する。また、たんぱく質の分解速度が老化の進行とどのような関わり合いにあるのか?老化を遅らせることは可能か?ビタミンCと老化の関係を科学的に明らかにする。など、老化の基本的な概念や実験手法、最新の研究成果について紹介する。

⑤ 重本和宏「サルコペニアとフレイル」(講義予定 11月10日:対面講義)
 2010年にサルコペニアの定義と診断基準が欧州で提唱され、それを土台にして米国に続き2014年にはわが国でもアジア人を基準とする指標が発表された。さらに2017年には、サルコペニアがICD10(国際疾病分類)に登録されるに至り疾病としての概念が確立された。本講ではサルコペニアとフレイルの関係と病態メカニズムに関わる基礎研究の最前線を紹介する。

⑥ 豊田雅士「幹細胞と再生医療」(講義予定 11月17日:対面講義)
 ヒトは約37兆個、200種類余りの細胞から構成されている。これらの細胞が各々の機能を果たすことで「生きている」ことになるが、加齢とともにその機能は低下、すなわち老化し、病態発症へとつながる。生体の恒常的機能の維持には、「幹細胞」とそれを支える周囲の環境が重要であると考えられている。恒常性機能における幹細胞の果たす役割とは何かを考え、また期待される幹細胞を使った再生医療とはどういうものかについて概説する。

⑦ 井上聡「ホルモンと老化」(講義予定 11月24日:対面講義)
 性ホルモンを含むステロイドホルモン、甲状腺ホルモン、ビタミンDやレチノイン酸などは細胞の増殖や分化、細胞・生体機能の調節ばかりでなく、様々な疾患やがん・老化に関与している。これら脂溶性小分子はそれぞれに特異的な核内受容体を介して働く。ヒトには48種類の核内受容体が存在し、老化と加齢性疾患の制御に深く関わっている。本項目では、核内受容体の構造と機能、老化やがん・各種病態における役割について概説する。

⑧ 萬谷博「試験」(試験予定 12月1日)
前週までの内容についての試験を行う。

履修条件・関連項目
基礎生物学、生化学、基礎生理学、基礎分子生物学、基礎物理化学を履修している事が望ましい。本学の標準時間数に準ずる時間で、予習・復習(授業外学習)をすること。
テキスト・教科書
必要に応じて講義毎にプリント配布。(オンライン講義の場合は本科目のクラスルームに掲載。)
参考書
・「水素分子はかなりすごい 生命科学と医療効果の最前線」深井 有著、光文社新書
・ビタミンCの事典 東京堂出版 (2011)、佐藤佐多良:健康に老いる 老化とアンチエイジングの科学 東京堂出版 (2012)
・サルコペニアー概論―がいろん 荒井秀典監修 ライフサイエンス出版
・幹細胞と再生医療 中辻憲夫著 (丸善出版)
・ヒトの分子遺伝学 第4版 (日本語)(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
成績評価の方法
出席(受講)及び最終週の講義時に行われる試験により評価する。
教員から一言
老化に伴う様々な生理的変化等について、自然科学的な側面に加え、医学的な側面、そして、社会科学的な側面からも講義します。
キーワード
老化、老化関連疾患、サルコペニア、フレイル、抗酸化、ビタミン、内分泌、幹細胞、再生医療、プロテオミクス
オフィスアワー
e-mail(manya@tmig.or.jp)で問い合わせてください。
備考1
・新型コロナウイルス感染拡大の影響によるシラバスの変更については、本科目のクラスルームから確認してください。
・講義予定日は、順序の入れ替えや変更がある場合があります。本科目のクラスルームから確認してください。

・講義予定日は、順序の入れ替えや変更がある場合があります。本科目のクラスルームから確認してください。
備考2
各講義の方法
10/6 三浦(ゆ):対面
10/13 上住 :対面
10/20 大澤 :対面
10/27 石神 :オンライン
11/10 重本 :対面
11/17 豊田 :対面
11/24 井上 :対面
12/1  萬谷 :対面(試験)
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2020/09/23 19:56:51