科目名[英文名]
力学Ⅰ   [MechanicsⅠ]
区分 工学部専門科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 14  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 021502
責任教員 [ローマ字表記]
池田 浩治   [IKEDA Koji]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
自動車や飛行機などわれわれの日常生活に深く関わりのある諸物体の運動は古典力学の法則(ニュートンの運動の法則)にしたがっていると考えられます。これに基づいて,実際の物体の運動を理解するためには、1)運動方程式を正しく作る、2)この方程式を数学的な条件式と考えて解く、3)得られた結果をもとに過去から未来に渡りどのような運動となるかを理解する、の三段階が必要です。そこで、いくつかの典型的な場合について、このプロセスの学習を行います。
このような取り扱いは、工学分野の専門科目を学ぶ上で基本的な姿勢となることから、「丸覚えでなく、しっかり理解して自分で使いこなせる」ためにも不可欠となります。
この科目の対象は大きさを意識しない「質点」が中心ですが、運動方程式を拡張するだけでなく、仕事とエネルギーの概念を導入し、運動方程式とは異なる観点から運動についての理解を深めます。また回転運動の理解を深めるために角運動量の概念を学習します。これらの概念の理解に必要な数学については、そのつど説明します。
到達基準
 力学は物理学分野の基礎、土台であり今後の機械系専門分野への理解にも重要です。
したがって、本講義では
1)数学的な数値と測定値の違いを理解して使い分けることができる
2)運動方程式を正しくつくることができる
3)抵抗力や振動、回転を含む運動の様子を理解するため、運動方程式を解くことができる
に加えて、
4)仕事、エネルギーについて理解できる
を目標とします。
なお,
「特定の概念を端的に表す用語や言葉を用いた記述」
「その概念を表した数式表示」
「最終的な結果」
の3点が理工系における説明では不可欠な情報であることを理解して,それを「答案」として実現できることも求めます。

*履修案内のカリキュラムマップを参照してください
授業内容
*以下は標準的な例です.R3年度分は初回に説明しますので,それに従ってください.
*進み方は始めはゆっくり,回を重ねるごとにだんだん早くなります.これは,新しい考え方の理解を促したり,取り扱いに慣れるためには,はじめゆっくり進め,ある程度慣れてきたらすでに習った知識を活用してもらうためです

第1回 講義概要の説明,物理量の次元,有効数字と誤差(第0章)
第2回 運動の表しかた:変位,速度,加速度の概念と関係を微積分とベクトルを用いて学習する。例として等速円運動を取り上げる。(第1章)
第3回 運動の法則:高校で学習した運動の法則を復習するとともに、いわゆる「運動の法則の再解釈」を紹介し、そのより深い意味を学ぶ。(第2章)
第4回 運動方程式を解く(その1):速度に比例する抵抗力を受ける物体の運動の運動方程式は1階線形同次微分方程式である。変数分離法によりこの微分方程式を解き解を求める.(第3章1)
第5回 運動方程式を解く(その2):重力環境において速度に比例する抵抗力を受ける物体の運動の運動方程式を解くやり方を学ぶ.(第3章2および3)
第6回 運動方程式を解く(その3):単振動の運動方程式は2階線形同次微分方程式である。この解を,エネルギー積分の方法などにより求めるやり方を学ぶ.(第4章1)
第7回 運動方程式を解く(その4):振動に減衰が係る場合の取り扱い方を学ぶ.(第4章2)
第8回 前半のまとめ:演習問題(中間試験)
第9回 運動方程式を解く(その5):振動に周期的な外力が係る場合の取り扱い方を学ぶ.(第4章3)
第10回 仕事とエネルギー:仕事の定義、重力・弾性力のする仕事、エネルギー原理、保存力とポテンシャルエネルギー
第11回 回転運動(その1):力のモーメントと角運動量(第6章1と2)
第12回 回転運動(その2):回転運動の運動方程式、中心力と角運動量保存の法則(第6章3と4)
第13回 球殻定理と万有引力(第7章1)
第14回 ポテンシャルエネルギーと惑星運動(第7章2)
第15回 後半を中心としたまとめ:演習問題(期末試験)
履修条件・関連項目
 高等学校で物理学を履修したことを前提とする。高等学校の数学、特に、ベクトル、微分積分の基本は知っているものとする。
授業時間(30時間)に加え、教科書や補助資料などを参照し、本学の標準時間数に準ずる予習と復習を行うこと。
テキスト・教科書
平山修/篠原俊二郎著、「理工系のための解く!力学 第2版(第7刷)」講談社サイエンティフィク
(第1版や,第2版(第1-6刷)からいろいろ改訂されているので,先輩から譲り受けた諸君は注意)
参考書
特になし
成績評価の方法
出席が大前提(出席点は付けない).
前半を試験範囲とした中間試験を40%,
後半を中心とした期末試験を40%、
および、
毎回実施する小テストを20%
として評価する。
ただし、
質問等積極的な受講姿勢を加点対象とし,総合点によって成績を評価する。

詳細については初回において説明する.
教員から一言
 これから諸君が学習する機械システム工学科の専門科目の基礎は物理学(特に力学)です。
そして、その内容は「日常言語である日本語や英語ではなく、数式を用いて表現すると、正確かつ簡潔となる」ことを理解してもらう必要があります。
そのため、
簡潔に必要な情報を的確に表現する癖をつけてもらうために、毎回「小テスト」を実施します。
正しく理解して、正しい用語を用いて、正しい数式を示すこと、が不可欠ですが、「小テスト」では単なる「正誤のための○×付け」とはしません。
「小テスト」では、まず自力で答案を作ってもらいますが、そのあと、解説を行いますので、「誤った理解を正すこと」「不足な情報を追加すること」を自己添削してもらい、その結果を提出してもらいます。
どこをどのように間違っているか、不足しているか、を自分自身で理解することが、より理解を深めるために必要です。
そのための作業だと理解してください。

やや難しい問題でも自力で解けるようになるところまで実力を引き上げることを目標に頑張ってください。

キーワード
運動の記述法、ニュートンの運動の法則、運動方程式を解く、仕事とエネルギー、角運動量
オフィスアワー
講義直後に対応する。(時間的都合がつかない場合は、その時に対応時間を相談する)
備考1
*受講生はmoodle経由で「力学1(池田浩治)」を登録してください.
*旧カリキュラム「物理学基礎」「物理学基礎演習」の再履修者は履修について注意事項があります。教務係において確認してください。
備考2
成績分布

2020年度はCOVID-19対応のため、全てオンラインでの実施となりました。

成績評価結果:2019年度以降はM科1年次を対象として1クラスで実施。
2020年度  S 18名、A 41名、B 26名、C 15名、D 14名(6)
2019年度  S 1名、A 10名、B 47名、C 46名、D 22名(5)
*Dのカッコ内には評価対象として認められない欠席の多い受講生数を示した

(参考)H30年度までは「物理学基礎」「物理学基礎演習」に別れていましたが、H31年度/令和元年からは両者を融合させた「力学1」として実施です。
参考のため、「物理学基礎」の成績分布(当時、池田が担当した1年次の半分)の成績分布について示します
2018年度 S16名,A13名,B 6名,C 9名,D14名(9名)
2017年度 S12名,A16名,B11名,C11名,D11名(0名)
2016年度 S13名,A14名,B12名,C14名,D 9名(2名)
*Dのカッコ内には評価対象として認められない欠席の多い受講生数を示した
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2021/02/17 10:35:01