科目名[英文名]
環境分子生物学   [Environmental Molecular Biology]
区分   選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 3  開講時期 4学期 
授業形態 4学期  時間割番号 01en3054
責任教員 [ローマ字表記]
髙見 英人, 佐々 英徳, 多羅尾 光徳   [SASSA Hidenori, TARAO Mitsunori]
所属 農学部 研究室   メールアドレス

概要
■佐々英徳
 好適な環境に移動できない植物は、変化する環境を感知し、様々な応答をすることで生存し続けている。応答の背後にある遺伝子発現の変化を、様々な事例を基に紹介する。

■高見英人
 地球上のあらゆる環境に棲息する微生物は、多様な生命活動を営んでおり、土壌や海洋における物質循環の重要な担い手であるばかりでなく、様々な有用物質の生産菌として深く私たちの生活に関わっている。環境微生物の実態を知る手段として分離培養が最も有効な手段の一つであるが、微生物の培養は難しく、これまで分離培養された微生物は、環境中に棲息する微生物の1〜10%にも満たないと考えられている。一方、分子生物学やゲノム科学の目覚ましい発展を遂げた現在では、培養に依存せずとも環境微生物のゲノムを丸ごと調べるメタゲノム解析によって、微生物の種類や分布のみならず環境中における微生物の機能的役割の推測も可能となってきた。本講義では、分子生物学、ゲノム科学的手法によって、環境微生物の何を、どこまで理解することができるのか、またその限界はどこにあるのかを論じ、微生物を指標とした環境影響評価、環境浄化などに必要な微生物学、分子生物学、ゲノム科学、生物情報学の基礎知識の習得を目的とする。
 本科目は、実務経験のある教員による授業科目である。本講義では、基礎的な内容だけでなく、現在進行中の環境省のプロジェクト研究の結果や最新の研究についても紹介するので、大学院生の聴講も歓迎する。
到達基準
■佐々英徳
 植物が遺伝子発現の変化を通じて環境に応答する仕組みを理解できる。

■高見英人
1. 微生物について幅広い視点から理解を深めることができる。
2. ゲノム解析の基礎が理解できる。
3. ゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームなどオミックス解析の基礎が理解できる。
4. 生物情報学の基礎が理解できる。
5. 単純な思考ではなく、複雑な思考法を身につけることができる。

ディプロマ・ポリシー上の観点については,本学HP(三つのポリシー)のカリキュラムマップを参照してください。
https://www.tuat.ac.jp/campuslife_career/campuslife/policy/
授業内容
■佐々英徳
 講義の前半は、非生物的環境への植物の応答の分子機構について解説する。後半は、生物的環境への応答の分子機構について解説する。
1. 植物はどうやって環境に対応しているか
2. エチレンと植物の環境応答
3. 非生物的環境ストレスとストレスに強い植物づくり
4. 植物が季節を感じて花を咲かせるしくみ
5. 植物と生物的環境
6. 雄しべが「自己」花粉を拒否するしくみ 〜自家不和合性〜
7. 同種の花粉管を胚珠が誘導するしくみ

■高見英人
 以下の内容を集中講義の中で講義する。
1. なぜ環境分子生物学か?
2. 微生物が棲息する環境: 穏やかな環境から極限環境まで
3. 微生物の分子系統: 遺伝子配列で調べる微生物の種類と多様性
4. 微生物のゲノム配列決定と比較ゲノム解析
5. 生物情報学という学問は何か?
6. オミックス情報から微生物の生き様を推測する
7. 培養できない微生物のゲノム解析とそれに基づく培養化戦略
8. メタゲノム解析の概念とメタゲノム解析による環境調査

本講義の受講者が10名程度かそれ以下の場合は、対面授業で行う予定。都合により自宅などから授業を受ける受講者がいる場合は、onlineと併用する。
履修条件・関連項目
■佐々英徳
・本学の標準時間数に準ずる。

■高見英人
・本講義を受講する前に、受講者の関心ある微生物とその理由、ゲノム科学に期待することと、心配に思うことについて、初回の授業で話せるように考えをまとめておくこと。受講者の関心事や疑問、心配に思うことなどに出来るだけ答えながら授業を進める。
・基礎専門教養科目の微生物学を履修していることが望ましい。
・サイエンスチャンネル 「バクテリア その不思議な世界」を視聴しておくこと。
(https://sciencechannel.jst.go.jp/A070621/)
テキスト・教科書
■佐々英徳
 事前に電子資料を配布する.

■高見英人
 事前にonlineにuploadした資料
参考書
■佐々英徳
・農学入門(養賢堂)、植物の成長(裳華房)、大学生物学の教科書(講談社ブルーバックス)

■高見英人
・微生物機能学 三共出版、森田英利 編著 (2012年)
・極限環境生物学 岩波書店、山岸明彦、長沼毅、髙見英人著 (2010年)
・いますぐ始める! メタゲノム解析 実験プロトコール 羊土社 服部正平 編 (2016年)
・Microbial Diversity in the Genomic Era, Academic Press, S. Das, H.R. Dash編 (2019年)
成績評価の方法
■佐々英徳
 毎回の授業で行う質問(50 %)、レポート(50 %)

■高見英人
 本講義を通して出題される課題に対するレポート
教員から一言
■高見英人
 目覚ましい発展を遂げた分子生物学、ゲノム科学の視点から生命を考え、様々な環境問題に対峙する思考性を身につけてほしい。既成概念にとらわれず、自分自身の考えをためらわず発信してほしい。
キーワード
分子生物学、分子進化、ゲノム・メタゲノム解析、オミックス解析、生物情報学、環境モニタリング
オフィスアワー
授業後または事前にアポイントをとってください
備考1
新型コロナウイルス感染拡大の影響によるシラバスの変更については本科目のクラスルームで確認すること.
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/02/16 13:52:26