科目名[英文名] | |||||
産学連携科目(技術経営入門) [Industry-Academia Collaborative Class (Technology Management Basic Course)] | |||||
区分 | 教養科目 | 選択必修 | 単位数 | 1 | |
対象学科等 | 対象年次 | 2~4 | 開講時期 | 2学期 | |
授業形態 | 2学期 | 時間割番号 | 020280 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
熊坂 治, 安村 友紀 [KUMASAKA Osamu, YASUMURA Yuki] | |||||
所属 | 農学府 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
近年の製造販売事業経営においては、単に高度な技術を研究開発し製品化するだけでは持続的な発展が難しく、その技術を事業収益および利益として結実し、それを次の研究開発活動に投資するサイクルとなる技術経営の視点が不可欠である。 本講義では、企業における課題設定、解決計画策定の進め方を中心に、総合的な技術経営力の習得を目標として、初学者に向けた座学とケース学習とグループ演習を統合し、以下の内容を学ぶ。 1.技術経営の概要、構造とその重要性 2.企業の外部(マクロ・ミクロ)分析、内部分析方法 3.企業のビジョン、事業戦略、技術戦略とマーケティングの考え方、進め方 4.企業内およびベンチャーでのイノベーション実行の現実と課題 5.技術経営視点でのリスクマネジメント 6.技術開発、製品設計を合理化し設計品質を向上する方策 7.課題設定とグループディスカッションの進め方と実践 本科目は教養教育グローバル展開科目として開講される。 担当教員は企業の技術経営実務経験があり、授業では、企業や実社会における実際の事例を題材として分析、議論、演習を実行する。 第1回の講義は反転学習として、用意された動画を事前に視聴して、教室での90分間をすべて議論に充てる。 さらに、初日と二日目はゲスト講師を招聘して議論に参加いただき、主担当講師とは違った視点での知見を獲得する。 |
到達基準 |
1)企業における課題設定、現状分析、解決策策定の進め方を理解し、実践できるようになる 2)グループ内で主体的、自律的に考え、発言し、議論することで、有効な結論を導き出せるようになる 主な目標:自主性/自律性〇、リーダーシップ/調整能力◎、コミュニケーション〇、文章表現〇、プレゼンテーション〇、課題探求、問題解決◎ |
授業内容 |
1日目: #1「ガイダンスと技術経営の概要」 講義の全体構成と進め方を説明し、企業における技術経営の位置づけと重要性を示す。米国に始まった技術経営教育と企業内での普及、国内での技術経営教育事情を時系列で示す。また技術経営の構成要素を分解し、それぞれの要素を概説する。本講義については反転学習として、事前に用意しクラスルームに掲載した約90分の講義動画を履修者が視聴した上で、教室での講義時間はすべて講師と履修者の討議に充てるものとする。 #2「企業分析のフレームワークと技術戦略の策定」 企業分析に用いられるPPM、3C、SWOT、VRIO、アンゾフ、5F、日本経営品質などのフレームワークを解説した後、それらの情報から技術戦略を策定する考え方と手順を示す。 #3「技術経営観点でのリスク管理」 近年製造業において、品質不正問題が多発しており、それらを未然防止するリスクマネジメントが重要視されている。本講義ではゲスト講師としてリスク管理の専門家を招聘し、経営・品質・安全に関するリスクマネジメントについて概説してもらう。 2日目: #4「研究開発管理と技術者のマーケティング」 策定した技術戦略に基づく研究開発テーマの選定と管理、それらの実行組織や運用の留意点、さらに技術者にとってのマーケティングの位置づけと概要、保有しておくべき知識を示す。 #5「設計品質の重要性と向上施策」 製造段階や市場で生じる問題の大半は、不適切な設計に起因する。設計品質の考え方と全体像に加えて、顧客要求に応える仕様を設定するための手法である品質機能展開(QFD)と、技術的アイデアの発想法であるTRIZ、設計パラメータ最適化の方法である品質工学を解説する。 #6「ベンチャーとイノベーション」 ゼロから立ち上げるスタートアップ型ベンチャーと企業内ベンチャーは資金、人材、組織などで大きな相違がある。またいずれにおいても、研究開発を含むすべてのステージでイノベーションを起こす方策が求められている。本講義では、自ら創業経験もあるゲスト講師が、医療分野を例として解説する。 3日目: #7「グループ発表1 電気自動車とモバイル通信端末」 巨大市場創出で注目されている電気自動車と、急激な技術進化で注目されているモバイル通信端末市場を5人程度のグループで調査し、具体的企業の立場で技術・事業戦略を発表する。 #8「グループ発表2 再生医療と家庭用化学製品」 いよいよ実用化されつつある再生医療と、洗剤など家庭用化学製品の市場を5人程度のグループごとに調査し、具体的企業の立場で技術戦略を発表する。 |
履修条件・関連項目 |
第1時間目は反転授業であるため、講義開始前に用意された約90分の動画を視聴して講義に臨むこと。 グループ演習にあたっては、グループごとに役割分担を互選で決めたのち、市場動向、規模、有望な新規技術、関連する企業とその戦略などを調査した上で、特定企業(実在または仮想)に関して参入あるいは成長の戦略を策定するため、前半調査と後半作業で10時間、準備とグループ内討議で5時間程度の授業外学習時間が必要となる。 授業時間16時間と上記の動画視聴、授業外学習時間に加え、授業で配布する資料や後述の参考書を使って本学の標準時間数に準ずる予習・復習を行うこと。 |
テキスト・教科書 |
決まったテキストは設定せず、毎回講師が作成した教材を配布する。 |
参考書 |
丹波清,「技術経営論」,東京大学出版会,2006 延岡健太郎, 「MOT“技術経営”入門」,日本経済新聞社,2006 田口伸,「タグチメソッド入門」,日本規格協会,2016 |
成績評価の方法 |
授業参加度(40%) 毎授業日毎に提出する小レポートの充実度(30%) グループ演習における貢献度と発表内容(30%) |
教員から一言 |
学生諸君は大学で主に「技術」や「工学」を学んでいる。本講座では、その「技術」を事業として「効果的に」収穫するための、考え方と方法論を、30年の企業経験、10年の研究成果を基に伝える。企業内技術者として活躍する、あるいは自分で事業を立ち上げる、いずれにしても大いに役立つ知識と経験になるだろう。 |
キーワード |
技術経営、企業分析、フレームワーク、技術戦略、マーケティング、ベンチャー、イノベーション、スタートアップ、設計品質、リスクマネジメント、ケーススタディ |
オフィスアワー |
質問、相談があれば、集中講義期間中にo.kumasaka@gmail.comに質問すれば、メール、ビデオ会議で可能な限り対応する。 |
備考1 |
希望者は毎日の講義終了後1時間程度、ゲスト講師を交えて質問回答、意見交換できる場を設定する。 |
備考2 |
参照ホームページ |
参考となるホームページ:ものづくりドットコム(https://www.monodukuri.com) |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2022/03/06 18:45:50 |