科目名[英文名]
量子力学   [Quantum Mechanics]
区分 工学部専門科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 24  開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 022255
責任教員 [ローマ字表記]
鵜飼 正敏   [UKAI Masatoshi]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
本講義のGoogleClassroomにおけるクラスコードは36usrp6です。
(クラスルーム名「量子力学BME2022」)
授業の案内・指示、資料の配布、レポート等の提出もこのClassroomを通じて行いますので履修希望者は履修申告とともにこのClassroomへの登録をお願いします。

講義概要は以下のとおりです。
量子力学は、力学、電磁気学、熱統計力学と並ぶ必須の物理の基礎理論です。物理現象をミクロに観察したときに古典力学的には説明しにくい諸現象を、物質の二重性、状態の不確定性といった観点から説明しようとします。下記の「教員から一言」にも記しますが、生体医用システム工学科が目的とする医療や診断の最先端技術では細胞や生体分子などのミクロな粒子の運動の理解とミクロ粒子の状態変化の観測を前提とするため量子力学の基礎知識は必須であるとさえ言えます。本講義ではその入門のために、
基礎方程式であるシュレーディンガー方程式をいくつかの問題に適用して解きながら,ミクロ粒子の運動の特徴を理解できるようになることを目標としています。
到達基準
ディプロマポリシーで述べられている生体医用システム工学科の基礎を体系的に理解するために,量子力学について以下の基準を達成すること。
1. 量子力学の基本的概念(波動関数の意味,演算子の意味,測定など)を理解している。
2. 1次元の簡単なポテンシャルの場合について時間を含まないシュレーディンガー方程式を解き,量子力学的な状態の特徴を説明できる(非束縛状態,束縛状態の両方について)。
3. 中心力場中の三次元シュレーディンガー方程式を立てて解くことができ、表された量子状態の特徴を説明できる。本科目のディプロマ・ポリシーの観点については履修案内のカリキュラムマップを参照してください。
授業内容
1. シュレーディンガー方程式(1-2回)
・シュレーディンガー方程式
・波動関数とボルンの確率解釈
・物理量の期待値と演算子
・量子力学の古典的極限

2. 1次元の問題:束縛状態(3-6回)
・時間を含まないシュレーディンガー方程式
・井戸型ポテンシャル
・調和振動子

3. 1次元の問題:透過と反射(8-9回)
・波動の反射と透過
・ポテンシャルの山がある場合とトンネル効果

4. 量子力学の基本的枠組み(10-14回)
・固定座標系から重心座標系へ。中心力・変数分離と有効ポテンシャル。換算質量。
・球面調和関数の導出と性質。
・角運動量とスピン。
・動径波動関数の導出と性質

5. 期末試験
履修条件・関連項目
量子「力学」の名のとおり、ミクロな粒子の運動学を扱う理論です。この講義だけ受講することも可能ですが、内容を理解するうえで力学・電磁気学や波動物理の素養はきわめて有益です。ただし、それらの科目の単位を落としていても履修登録はできます。
なお、履修にあたり本学の標準時間数に準ずる予習と復習を行うことが必要ですが、可能な限り授業計画にビルト・インしてあります。
テキスト・教科書
特に指定しません。この授業で扱う量子力学の理論に関しては一般の量子力学の教科書であればほとんどが扱っています。
参考書
【0】この授業の理論面の説明の多くはB.H.Bransden & C.J.Joachain,"Physics of Atoms and Molecules" (Prentice Hall)に依っています(同一の著者による"Introduction to Quantum Mechnics"もあります)。どちらもとても丁寧に書かれています。教科書に指定したいくらいですが和訳書はありませんので参考書とします。
【1】畠山温著,「量子力学」(日本評論社)(U科の畠山先生の書いた教科書。とても丁寧です)
【2】マイケル D フェイヤー著、谷俊朗 訳「量子力学-物質科学に向けて-」(東京大学出版会)
【3】マイケル D フェイヤー著、丑田公規、吉信淳訳「絶対微小」(化学同人)(数式をほとんど使わずに量子力学を記述している。しかし、一通りの授業を聞いてからでないとかえって難しいかもしれない)
【4】猪木慶治,河合光著「基礎 量子力学」(講談社サイエンティフィク)
成績評価の方法
評価(100%分)の内訳は,期末試験50%, 毎回の宿題50%。
教員から一言
生体医用システム工学科の卒業者は物理学、電気電子工学、機械工学などの物理系素養に立って医療や診断の最先端を開発する技術者です。その最先端技術の多くはミクロ世界の物理学である量子力学を基礎としています。細胞や生体分子の挙動はミクロな粒子の運動です。イオンチャネル一つとっても、量子力学の助け無くして理解できません。また医療・診断技術はミクロ粒子の状態変化を観測し利用する実験技術ですが、粒子線治療、CT、MRIなど枚挙にいとまありません。ミクロ粒子の運動をどのように表し、またまたどのように実験的に観測するのか?古典物理学がそうであるように、量子力学も複雑怪奇に見える数学で表されます。しかしSFでも心霊現象でもありませんので、紙と鉛筆をもって向かえば、むしろ驚くほどすんなりと進んでいくと思います。量子力学の基礎知識は生体医用システム工学技術者としての活躍の場を著しく広げてくれることを保証します。ぜひやってみましょう。
キーワード
波動関数,シュレーディンガー方程式,井戸型ポテンシャル,調和振動子,トンネル効果,演算子,観測、水素原子、角運動量、スピン
オフィスアワー
質問は随時受け付けますので教員の部屋にきてください。事前に連絡をお願いします。
備考1
備考2
参照ホームページ
Moodleを利用
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/09/29 19:37:10