科目名[英文名] | |||||
生物学 [Biology] | |||||
区分 | 工学部専門科目 | 選択必修 | 単位数 | 2 | |
対象学科等 | 対象年次 | 2~4 | 開講時期 | 3学期 | |
授業形態 | 3学期 | 時間割番号 | 022260 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
横谷 明徳 [YOKOYA Akinari] | |||||
所属 | 工学府 | 研究室 | メールアドレス |
概要 |
本講義は量子科学技術研究開発機構、研究主席の横谷明徳先生が担当します。 生体医用システム工学科学生に対して、生物学基礎(1年次)に引き続いて、生物学の基礎から一般論にいたるまでの内容を、「生命とは何か」という話題を起点にして、「遺伝学」、「分子生物学」、「呼吸と光合成」のトピックに分けて1回2コマ分の集中講義7回によって概説します。最終回には、「ゲノム生物学からシステム生物学・そして量子生命科学へ」を取り上げ、今日的な生物学の動向を概観します(開講日はWeb掲示板の集中講義開講案内をご覧ください)。 |
到達基準 |
物理学、物理工学とは異なるカテゴリーの学問である生物学も、現代の工学技術者、研究者にとって必須の常識です。そして実は物理学や機械、電子工学の視点との接点や共通点が多々存在します。化学や生物学を専攻していない学生が、生物学の初歩から今日的な生物学の話題に至るまでを概観することを通じて、生物学が身近できわめて重要な科学なのだということを実感できるようになることを目標として本講義を行います。 本科目のディプロマポリシーの観点:履修案内のカリキュラムマップを参照してください。 |
授業内容 |
1)生命とは何か? (バイオサイエンスの発展を概観する) これまでの研究者たちの苦労を紹介しながら、博物学であった生物学がどのようにバイオ・ライフサイエンスとして今日に至ったか、またそもそも「生命」とはいかなるものか? その研究の歴史をお話します。 2)古典的な遺伝学について (バーチャルな世界での生命原理の探索のさきがけ) DNA・ゲノム科学を理解する上で、突然変異の研究に始まった古典的な遺伝学を理解することは大切です。遺伝子の本体がDNAであることが知られていなかった時代、研究者はどのように「遺伝」現象にとりくんだのかを学びます。 3)分子生物学の夜明け (DNAの二重らせんの意味) 近年のゲノムプロジェクトなど、分子生物学はどのように生まれ、また発展してきたのでしょうか?実はそれは量子力学の発展と無関係ではないのです。黎明期の分子生物学を支えた研究者たちの人間模様も交えながら、その基本的な概念と目指す方向を学びます。また話題のクローン技術とは何かについてもお話します。 4)呼吸と光合成 (超効率のエネルギー生産・利用) 「呼吸」とは、単に「息を吸う」ことではありません。細胞内で行われている「超」高効率のエネルギー変換機構であり、植物の光合成は実は呼吸の逆プロセスです。生物の進化が、どのように素晴らしいエネルギー変換システムを構築してきたのかを学びます。その一例として生体分子(ミトコンドリア内膜)に存在するタンパク質中の電子の流れ(電流)と直交するかたちで流れるプロトン流を取り上げます。 5)ゲノム生物学からシステム生物学・量子生命科学へ (「相互にフィードバックを掛け合う多反応系が織りなす生命現象」という新しい視点) ゲノムプロジェクトも一段落し、現在バイオ・ライフサイエンスはその行くべき新しい方向を模索しています。その中でも特に、個々の生体分子反応をネットワークとして捉え、理解するシステムバイオロジーが最近注目されています。システムバイオロジーにおいて展開されている、遺伝子発現のネットワークモデル化などを紹介します。さらにシンクロトロン放射やナノダイヤセンシングなど様々な量子技術がこの分野にどのように関わって行くのか?についても解説します。 |
履修条件・関連項目 |
1年次の「生物学基礎」を学んでおくことが望ましい。単に講義を聞くだけでなく、提示された事柄をしっかり受け止めて自ら考え、積極的に授業に参加する姿勢を歓迎します。 本学の標準時間数に準ずる予習と復習を行ってください。 |
テキスト・教科書 |
特に指定しません。 |
参考書 |
特に指定しませんが、必要に応じて、授業中に紹介します。 |
成績評価の方法 |
最終回に課題を示してレポートを作成・提出してもらい、これを期末試験として採点します。また、毎回の授業の最後にも課題を課して簡単なレポートを作成してもらいます。質問やディスカッションなどの、授業に参加する積極的な姿勢も評価の項目とします。 |
教員から一言 |
生命の本質の理解は既に終わり、近い将来、クローン技術による人工生命も可能だという風潮が見られます。しかし、生き物の不思議さ、仕組みの巧妙さ、異なる生物種同士の「共生」などを知れば知るほど、私たちを含めた「生命」に対して、畏敬や愛情の念は深まるばかりです。人間の理解は、まだまだ表層的なものに過ぎないのです。 先人たちの生命理解の方法は、量子物理学など周辺分野と密接な関わりをもってきました。しかし細分化した要素を調べても生命の本質の理解にはなりません。 要素の集合したシステムとして生命を理解する試みが最近始められ、西欧的な還元主義の科学に対して、系全体の性質を予測する新しい科学の体系になる可能性があります。日本を含めアジア人は、古来、ごく普通にシステムとしての自然を感じていたとも言われます。もしかしたら皆さん自身が、新しい生命科学のパラダイムを作っていくのかもしれませんね。 |
キーワード |
生命とは何か、遺伝、ゲノム、呼吸、光合成、分子生物学、システム生物学、量子生命科学 |
オフィスアワー |
集中講義の時間中に、適宜、質問時間を設けます。 |
備考1 |
備考2 |
参照ホームページ |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2022/01/27 15:49:19 |