科目名[英文名] | |||||
有機化学Ⅲ [Organic ChemistryⅢ] | |||||
区分 | 工学部専門科目 | 選択必修 | 単位数 | 2 | |
対象学科等 | 対象年次 | 2~4 | 開講時期 | 1学期 | |
授業形態 | 1学期 | 時間割番号 | 022377 | ||
責任教員 [ローマ字表記] | |||||
平野 雅文 [HIRANO Masafumi] | |||||
所属 | 工学部 | 研究室 | 1号館N514A | メールアドレス |
概要 |
(重要)2022年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いこの科目は対面で実施し、ハイブリッド講義を展開します。シラバスも一部変更しますが、教授内容は同じですGoogle Classroomのクラスコード「36e3vfk」にある有機化学III (平野)2022を見てください。 【目的】有機化学は分子を操り、分子を作り出す学問である。そのため分子を知り、分子の気持ちを理解できることが重要である。この講義では、主に「反応」に着目し、有機化学を学ぶものが最低限知っておくべき「有機金属化合物による反応」、「ラジカル反応」、「カルボニル化合物の反応」および「芳香族化合物の反応」の知識を習得することを目的とする。 【概要】「有機金属化合物」ではいずれもノーベル化学賞に輝いた反応であるクロスカップリング反応、溝呂木Heck反応、アルケンメタセシス反応にいて学習する。「ラジカル・アルカンの反応」ではラジカルの発生方法、性質、反応性とその応用を学習する。「カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応」ではカルボン酸の酸性度、アシル置換反応とカルボン酸誘導体の合成と反応について学習する。「アルデヒドとケトンの反応・カルボン酸誘導体とその他の反応・α、β不飽和カルボニル化合物の反応」では、金属化合物の反応をはじめとする求核付加反応、還元反応、Wittig反応などを学習する。「カルボニル化合物のα炭素の反応」ではα置換反応、エノラートを起点とする各種縮合反応などを学習する。「ベンゼンおよび置換ベンゼンの反応では」Friedel-Crafts反応、芳香族求電子置換反応、配向性などを学習する。「教科書」、「PowerPoint」とともに「板書」による重要事項説明を行うので、これらを活用した理解をしてほしい。また、教授範囲が広いため授業時間と同程度以上の自己学習が別途必要になります。特に予習をしていないと講義についてこれない恐れがあるため、必ず予習が必要です。予習における理解度を測定するためホームワークを毎回実施します。 |
到達基準 |
有機化合物の反応のうち、有機化学で多用される基礎的な有機金属化合物の反応性を理解し、説明できること。ラジカルの反応性に関する特徴を説明できること、カルボニル化合物の性質、ならびにこれらの化合物にみられる置換反応や縮合反応などとその反応機構が説明できること。芳香族化合物の性質と反応ならびに配向性に関する十分な理解があり、反応の予測ができること。また、これらの範囲における生成物から、その合成原料となる出発物質が予想でき、反応経路が説明できること。 本科目のカリキュラムポリシーの観点については、工学部履修案内のカリキュラムマップを参照してください。 |
授業内容 |
【第1回】「有機金属化合物」 有機典型金属化合物、クロスカップリング反応、溝呂木Heck反応、アルケンメタセシス(教科書第12章) 【第2回】「ラジカル・アルカンの反応」 アルキルハロゲン化合物、ラジカルの安定性、ラジカルの反応性、ラジカル置換とラジカル付加の立体化学、ベンジル位とアリル位水素のラジカル置換反応(教科書第13章) 【第3回】「カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応(その1)」 カルボン酸とカルボン酸誘導体の命名、構造と物理的性質、反応性と反応性の比較、求核付加-脱離の一般性(教科書第16章) 【第4回】「カルボン酸とカルボン酸の誘導体の反応 (その2)」 塩化アシルの反応、エステルの反応、エステルの加水分解とエステル交換反応、求核付加と脱離(教科書第16章) 【第5回】「カルボン酸とカルボン酸の誘導体の反応 (その3)」 カルボン酸、アミド、ニトリル、酸無水物、ジカルボン酸(教科書第16章) 【第6回】まとめ 「中間試験」 出題範囲:教科書第12章、第13章、第16章 【第7回】「アルデヒドとケトンの反応・カルボン酸誘導体とその他の反応・α,β-不飽和カルボニル化合物の反応(その1)」 アルデヒド、ケトンの命名、カルボニル化合物の反応性の比較、Grignard試薬との反応、カルボニル化合物とアセチリドとの反応、シアン化物イオンとの反応、ヒドリドイオンとの反応、還元反応(教科書第17章) 【第8回】「アルデヒドとケトンの反応・カルボン酸誘導体とその他の反応・α,β-不飽和カルボニル化合物の反応(その2)」 アミンとの反応、水との反応、アルコールとの反応、保護基、Wittig反応、a,b-不飽和カルボニル化合物の反応(教科書第17章) 【第9回】「カルボニル化合物のα炭素の反応(その1)」 α水素の酸性度、互変異性、ハロゲン化、HVZ反応(教科書第18章) 【第10回】「カルボニル化合物のα炭素の反応(その2)」 エノラート、α炭素のアルキル化、Michael反応、アルドール付加(教科書第18章) 【第11回】「カルボニル化合物のα炭素の反応(その3)」 Claisen縮合、分子内縮合、Robinson環化、マロン酸エステル合成、アセト酢酸エステル合成、生体反応(教科書第18章) 【第12回】「ベンゼンおよび置換ベンゼンの反応(その1)」 ベンゼン誘導体の命名、芳香族求電子置換反応、ハロゲン化、ニトロ化、スルホン化(教科書第19章) 【第13回】「ベンゼンおよび置換ベンゼンの反応(その2)」 Friedel-Crafts反応、クロスカップリング反応、ベンゼン環上の置換基変換反応、多置換ベンゼン(教科書第19章) 【第14回】「ベンゼンおよび置換ベンゼンの反応(その3)」 置換基効果、配向性、pKaと置換基、三置換ベンゼンの合成、ジアゾニウム塩を利用した合成、芳香族求核置換反応(教科書第19章) 【第15回】まとめ 「期末試験」 出題範囲:教科書17章〜19章 |
履修条件・関連項目 |
応用化学科における専門基礎科目に区分される有機化学科目群の1つであるため、「有機化学I」、「有機化学II」に関する十分な知識が求められる。授業時間30時間に加え、同等時間以上の予習・復習が必須である。 |
テキスト・教科書 |
ブルース有機化学(上)第7版、化学同人ISBN978-4-7598-15854-9および下巻ISBN978-4-7598-1585-6 |
参考書 |
講義で使用するファイル/ホームワークなどはMoodleシステムで利用可能 |
成績評価の方法 |
ハイブリッド・オンライン教育における成績評価方法は、すべての出席を前提とし、双方向性を利用した学習意欲、小テストおよび課題、オンラインテスト等を総合的に評価し、本学が定める標準的な学修時間に相当する学修効果が認められる場合に単位を付与します。評価の割合は以下の通りです。平常点および課題など20%、中間試験30%および期末試験50%で評価します。総合評価により以下の基準で単位を付与します。S: 90点以上、A:80点以上90点未満、B:70点以上80点未満、C:60点以上70点未満 なお、C2クラスの中野教員担当分とは連携して公平性を担保した最終評価とします。 2021年度の成績分布は以下の通りです。S: 4.4%、A: 28.9%、B: 33.3%、C: 13.3%、D: 11.1%、E: 8.9% |
教員から一言 |
有機化学は暗記科目ではありません。有機化学の理解に必要なことはわずか3つの要素に集約されます。すなわち、「1:分極は元素の電気陰性度により一義的に決まること」、「2:結合は2つの電子により形成されていること」および「3:反応には、ラジカル反応、イオン反応および協奏反応のわずか3種類のタイプしかないこと」です。これらの原則を知り、分子の気持ちを知ればたとえはじめて出くわす反応でも正しい結果を導くことが可能です。これらのパーフェクトな理解により一生の財産となります。 L'essential est invisible pour les yeux. (大切なことは目に見えない:Antoine de Saint-Exupery) |
キーワード |
有機化学に最低限必要な有機金属化学、ラジカルの性質と反応、カルボニル化合物の性質と反応、芳香族の性質と反応 |
オフィスアワー |
オフィスアワーは月曜日12時〜13時。その他、メールでの質問も可能です。 |
備考1 |
本学のホームページより、「学生生活」および「教育支援・学生相談」にある学習管理システムmoodleを選びます。usernameとpasswordを入力します。このパスワードはみなさんが学内で使用しているEメールのパスワードと同じです。コースカテゴリ、工学部の中の「有機化学III(平野雅文)」を選択する。ホームワークや課題演習への解答はこのサイトから行います. 予習のための簡単な問題がmoodleにより出題されます。予習問題に回答する前に教科書の該当する章全体を理解してから回答してください。回答時間は10分間です。当日までに予習を完了しておいてください。何度でも回答することが可能ですが、1回目の回答を参考とします。 講義で使用するPowerPointファイルは予習問題の開示期間中にダウンロード可能になります。基本的には教科書に沿った内容であるため、教科書があればダウンロードしなくてもまったく支障ありません。しかし、学習のための利便性を考えてダウンロード可能としました。なおダウンロードしたものは媒体の如何に関わらず、履修者本人が利用するものとし、本人以外への譲渡を固く禁止します。なお、改善および講義時間内に完結するため実際に講義で使用するファイルとは多少異なる事があります。 毎回きちんと講義に参加していることが前提であるので、出欠や遅刻は認められません。交通機関の乱れによる遅刻等は配慮しますが、遅延証明書の提出をしてください。また、それ以外の欠席や遅刻については病気(法定伝染病を除く)、忌引きなど理由の如何に関わらず、いずれも欠席や遅刻扱いとします。 法定伝染病などに罹患した場合、hrc@cc.tuat.ac.jpに連絡をとり、事情の説明をしてください。また、大学の教務係にも連絡をしてください。医療機関により完治が確認されたことを確認の上、教務係に連絡をしてください。この際に医療機関のレシート(医者の証明書でなくても結構です)等の写しを教務係に提出することが必要です。この場合は出席と同等と見なしますが、ホームワークは提出する必要があります。 |
備考2 |
中間試験および期末試験はともに対面の予定ですが変更の可能性もあります。 |
参照ホームページ |
http://web.tuat.ac.jp/~hirano/kohrc/ |
開講言語 |
日本語 |
語学学習科目 |
更新日付 |
2022/03/29 9:37:09 |