科目名[英文名]
統計動力学系解析   [Statistical Dynamical System Analysis]
区分 工学部専門科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 023552
責任教員 [ローマ字表記]
花﨑 逸雄   [HANASAKI Itsuo]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
サイコロを振った時の動きはNewtonの運動方程式に従っているが,その目はランダムとみなすことが多い.初期条件からの素朴な予測に限界がある時,結果的なランダムさをどのように扱うのか,そのような場面に遭遇することは日常的でもある.本科目では,決定論的方程式からカオスが現れる力学系(dynamical system)の仕組みを扱うと共に,多様な具体例を紹介しながら対象それ自体のランダムさを伴う現象を扱う統計力学(statistical mechanics)を入門的に扱う.結果的にランダムな現象が,必ずしも外乱(ノイズ)ではなく本質的な場合があることを理解し,しなやかな機械システムを実現する上での現代的なリテラシーを培う.

Google Classroomのコード:egiygct
到達基準
カオス的運動が現れ得る力学系の基本を理解し,現象自体が持つ集団的・時間的な統計性を扱う統計力学の基本を理解し,それらの現象を扱うための基本的なデータ解析ができるようになること.
授業内容
第1回:ガイダンス
第2回:システムを力学系として見る
第3回:離散力学系を通じた分岐現象とカオスの導入
第4回:カオスの例示と歴史の断片
第5回:連続力学系の分岐を通じたリズム現象とカオスのつながり
第6回:連続力学系におけるポアンカレ写像による特徴識別
第7回:ブラウン運動と拡散の関係
第8回:ブラウン運動と平均二乗変位の時間発展
第9回:ガウス分布の理由としての中心極限定理
第10回:応用力学的ビッグデータ解析の事例紹介
第11回:クラシカルな統計力学の基礎:アンサンブル
第12回:クラシカルな統計力学の基礎:分配関数
第13回:クラシカルな統計力学の基礎:分布の変数変換
第14回:四力を横断する現代統計力学の事例紹介
第15回:応用力学としての統計力学と力学系の展望
履修条件・関連項目
データ解析の演習を通じて理解を深めてもらう場面もありますので,少なくとも本学科で2年次までに必修科目として2科目開講されているプログラミング科目の単位を取得していて,そのような素養を積極的に活かして主体的に学習して能力を培う姿勢を前提としています.
テキスト・教科書
『ブラウン運動』米沢富美子著(共立出版)ISBN:978-4-320-03236-1
参考書
『非線形ダイナミクスとカオス』Steven H. Strogatz:著,田中久陽・中尾裕也・千葉逸人:訳(丸善出版)ISBN:978-4-621-08580-6
成績評価の方法
日頃の演習問題と期末のレポートを総合して評価する予定です.
教員から一言
この科目は,「力学系」と「統計力学」という互いに直結した基礎学問の特徴である汎用性を活かして,機械システム工学を開拓することになる皆さんのリテラシーを高めるために,新カリキュラムに伴って2021年度から両コース向けに新規開講したものです.AIや機械学習をやがて自由に独習できる素養としても大切な,簡単に陳腐化しない基礎となる理論的内容を選定して扱います.なお,教科書は「とっつきやすさ」を最大限重視して,それゆえに網羅する情報量は妥協しながら選定しました.
キーワード
統計力学,力学系,非線形,カオス,ランダム,ブラウン運動,ビッグデータ
オフィスアワー
Eメールで直接質問して下さってもよいですし,口頭の方が円滑と思う場合にはEメールでアポイントメントを取りましょう.(hanasaki_cc.tuat.ac.jpの「_」を「@」に置き換えたものがEメールアドレスです.)
備考1
このシラバスでは,受講可能性のある学生全体向けな説明をしています.また,授業で扱う内容は,水準と量の両方を吟味して絞っています.それに対して,この科目の中身をどのような狙いを持って準備してきたのか,もう少し本格的な考えを知りたい人には,下記「参考ホームページ」から学生向けページを辿ってもらえれば,補足説明を用意してあります.
備考2
参照ホームページ
http://web.tuat.ac.jp/~ihlab/
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/03/24 14:56:04