科目名[英文名]
流体力学Ⅱ   [Fluid Dynamics]
区分 工学部専門科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次 34  開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 023555
責任教員 [ローマ字表記]
亀田 正治   [KAMEDA Masaharu]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
Google classroom code: xcs65vc

a. 概要
 本科目では,非圧縮流れの性質を,流体物理学の理論に基づき明らかにしていきます.水や空気の流れは,密度が圧力によって変化しない「非圧縮流れ」とみなすことができます.
 科目の前半では,非圧縮流れの性質を支配する「粘性」の役割に着目します.流体力学の基礎方程式(Navier-Stokes方程式)をもとに,「粘性流れ」の特徴を良く表す単純な流れ場の数理モデルを示します.また,粘性流れの支配パラメータであるレイノルズ数を用いて,流れのパターンをクラス分けします.
 科目の後半では,物体周りの流れに着目します.特に,流れによって発生する「揚力」「抗力」について,前半と同様に,流体力学の基礎方程式を出発点に,それらを記述する数理モデルを導きます.
到達基準
 流れ現象を,物理学の手法を用いて記述できるようになることを目指します.特に,本科目では,「非圧縮流れ」を対象として,
(1)いくつかの解析解を用いて,実際の流れの複雑な変化を定性的に説明する手法を習得しているか?
(2)応用数学(微分方程式,ベクトル解析)を少しでも使いこなせるようになったか?
をテストを通じて判定します.
授業内容
第1回 オリエンテーション
第2回 第1章 流体力学の基礎方程式
第3回 第2章 Navier-Stokes方程式
第4回 第3章 層流と乱流(1)
第5回 第3章 層流と乱流(2)
第6回 第4章 NS方程式の厳密解(1)
第7回 第4章 NS方程式の厳密解(2)
第8回 まとめ(1)第2回から第7回までの内容に関する中間試験
第9回 中間試験答案返却,境界層(1)
第10回 境界層(2)
第11回 第6章 理想流体の流れ
第12回 第7章 物体周りのポテンシャル流れと揚力(1)
第13回 第7章 物体周りのポテンシャル流れと揚力(2)
第14回 第8章 流れのはく離と抗力
第15回 まとめ(2)第9回から第14回までを中心に,全内容に関する期末試験

<用語の説明>
○ 粘性・・・流体のせん断変形に対する抵抗力.多くの流体では,粘性力はひずみ速度(速度勾配)に比例する(「ニュートンの粘性法則」)
○ 滑りなし壁,滑りあり壁・・・流体が別の物質と接する場合の「速度境界条件」,粘性流れでは滑りなし壁,非粘性流れでは滑りあり壁
○ レイノルズ数・・・流れに働く粘性力と慣性力の大きさの割合を表す無次元数
○ 層流と乱流・・・Re数の違いによって生じる流れの2形態
○ 境界層・・・Re数の大きな粘性流の物体近傍に現れる,壁の影響によって流速が急激に減少する領域.これに対して,壁の影響を受けない領域を「主流」という
○ 理想流体・・・非圧縮非粘性流体.流れはEulerの運動方程式で表される
○ 渦なし流れ・・・「渦度」がゼロの流れ,Eulerの運動方程式の解の一つ.速度ベクトルはスカラー量「速度ポテンシャル」の勾配で表される
○ 揚力・・・物体が受ける「流体力」のうち,流れの向きと垂直な成分
○ クッタ・ジューコフスキーの定理・・・揚力の大きさが「循環」に比例すること
○ 抗力・・・「流体力」のうち,流れの向きと平行かつ同じ向きを持つ成分.摩擦抗力と圧力抗力に分けられる
○ 流れのはく離・・・主流が物体表面に沿わない状態.鈍頭物体,高迎角翼,拡大管などで見られる.圧力抗力の増大につながる
○ 境界層制御・・・流れのはく離を防ぐための工夫
履修条件・関連項目
履修条件は特にない.ただし,流体力学Ⅰおよび微分方程式Ⅰ・Ⅱが履修済みであることを前提に講義を行う.
そのほかの関連科目は,熱流体演習,伝熱学Ⅰ,Ⅱ,航空宇宙流体力学など.
テキスト・教科書
自作テキスト(生協にて販売,¥1000(組合員価格,税込み))を用いる.
参考書
自習用の演習書には,JSMEテキストシリーズ 流体力学 (日本機械学会) を薦める.すべての問題について,比較的詳しい解答が示されている.
本科目の内容をさらに深めるには,
藤川重雄他「工学の基礎 流体力学」(培風館); 巽友正 流体力学 (培風館);大橋秀雄 流体力学 (1) (コロナ社);白倉昌明・大橋秀雄 流体力学(2) (コロナ社);Alexandrou, Principles of Fluid Mechanics (Prentice-Hall)
に当たると良い.和文の教科書は,すべて,現在でも刊行中である.
成績評価の方法
a. 以下の合計点×0.5が60点以上のものを合格とする.
(1) 講義内の小テスト(各3点×12回=計36点)
(2) 宿題(各2点×4回(予定)=計8点)
(3) 中間試験(78点満点)
(4) 期末試験(78点満点)

b. 出席は取らないが,毎回の小テストは,規定の授業時間+15分(金曜16:30)に提出締め切りを設定し,提出遅れは減点する.遅れないよう注意.
教員から一言
本科目の隠れた最終目標は「物理的知識に立脚した『直観』力を養う」ことです.知識をおろそかにすることなかれ.基盤となる知識がしっかりしていないと,絶対に「直観」は働きません.
キーワード
非圧縮流れ,ナヴィエ・ストークス方程式,レイノルズ数,境界層,揚力と抗力
オフィスアワー
オフィスアワー:平日の昼休み(11時45分から13時まで)
備考1
備考2
参照ホームページ
Google classroom: https://classroom.google.com/c/NDc4NDkyNzAwNjk4
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/03/27 10:08:39