科目名[英文名]
工業標準化戦略論   [Strategy and Management of Standardization]
区分 専門職学位課程科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 1060815
責任教員 [ローマ字表記]
小山 師真, 山田 浩史   [YAMADA Hiroshi]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
 カーボンニュートラルの実現や、SDGsに代表される社会課題の解決に向けて、皆さんが日ごろ取り組まれている研究成果はどのように貢献するでしょうか。
経済産業省の調査では「ビジネスを通じて社会課題を解決する」とした企業は7割に上りますが、大学等研究機関や企業が生み出す「価値」が社会課題の解決に真に貢献するためには、「価値」の素晴らしさだけではなく、その「価値」が社会に受け入れられ普及することが必要です。
本講座では昨年度に続き、ルール形成を用いて「価値」が社会に受け入れられ広く普及する仕掛けづくりを行い、新しい市場をつくる、ということに焦点を当てます。
標準化ツールやルール形成、日欧の政策、ルール形成を用いた社会課題のビジネス化について一緒に考えながら、一線で活躍する方々も可能な限り講師としてお招きして議論していく予定です。
これから社会でさらに活躍されるために、ルールをうまく使いこなすこと、は必須のことですが、一方で我が国の多くの企業が苦手としています。なるべく分かりやすくお伝えしながら、気づきとなれば幸いです。

クラスコード:ewa2iba
到達基準
1.標準化を活用したルール形成について基本的な理解ができる
2.ルール形成を用いた社会課題のビジネス化(市場化)を理解する
3.市場形成を実行していくうえでの企業や人材の課題を認識する
4.受講生の専門分野をベースとしてルール形成を用いた市場形成ついて一定の主張ができる
授業内容
 授業は基本的にオンライン実施を予定しています。
 各回において講師が皆さんの理解度を確認しながら講義を進めていきたいと考えております。そのため、講義中の質疑応答などによるコミュニケーションについて工夫していきます。
講座の前半はツールや政策等の知識面の充実を、後半ではルール形成を用いて「価値」を社会に広く普及する仕掛けづくりについて考えていきます。それらのまとめとして課題を作成してもらいます。能動的に講義に参加できるよう工夫していきます。
講義は全15回(毎週金曜日6時限を予定していますが、一部変更の可能性があります)で構成され、おおむね次のような内容を含みます。

1)10月7日 講義オリエンテーション〜講師紹介、講義概要説明、学生からの質疑要望〜
2)10月14日 なぜルール形成が必要か。ルールとは何か。
3)10月21日 ルールを担う標準化ツールについて(基礎)〜JIS、ISO、IEC等のデジュール規格、フォーラム規格、認証〜
4)10月28日 ★ゲストセッション★ (経済産業省) 〜日本の標準化政策〜 
5)11月4日 日ごろ取り組まれていること(大学院での研究テーマ等)と社会課題等との関係①
6)11月11日 欧州連合の政策と標準 〜欧州連合の政策における標準の関わり〜
7)11月18日 ブリュッセルでの企業活動(ルール形成への働きかけ)〜欧州の首都、ブリュッセルのロビーイング〜
8)11月25日 ルール形成を用いた社会課題のビジネス化① 〜市場形成力とは何か。プロジェクトを対象とした市場形成力〜
9)12月2日 ルール形成を用いた社会課題のビジネス化② 〜社会課題解決でビジネスを創る経営〜
10)12月9日 ルール形成を用いた市場形成・市場創出を実践するための課題
11)12月16日 ★ゲストセッション★
12)12月23日 ★ゲストセッション★
13)1月6日 日ごろ取り組まれていることと社会課題等との関係②
14)1月20日 ★ゲストセッション★
15)1月27日 まとめ

講義内容については、その進捗状況、質疑の反映などにより、変更することがありますのでご了解ください。特にゲストセッションのコマはゲストとのスケジュール調整上流動的ですので、変更時は都度連絡します。またゲストはルール形成に様々な立場で携わっておられる方々(官庁等公的機関、民間企業)にお願いをしていますので、詳細は決定次第随時、お知らせします。
履修条件・関連項目
 関心のある方はどなたでも安心して受講してください。
テキスト・教科書
 資料は講義で提供していきます。また以下で紹介する参考書や参照ホームページに示した情報も、基本的な理解を助けるものや、有益な事例が紹介されているものがありますので、可能な範囲で目を通していただくことをお勧めします。
参考書
「世界市場で勝つルールメイキング戦略 技術で勝る日本企業がなぜ負けるのか- 2016/11/18」
「未来を実装する――テクノロジーで社会を変革する4つの原則- 2021/1/24」
成績評価の方法
 講義に出席された皆さんの質疑応答など講義への貢献度や提出物等を総合して評価いたします。

本年度成績評価基準は次の通りです。(全学共通)
S(90-100):到達基準を超えた成果を上げている
A(80-89):到達基準を十分達成している
B(70-79):到達基準を達成している
C(60-69):到達基準をほぼ達成している
D(0-59):到達基準に達していない
教員から一言
講師は5年間のベルギー・ブリュッセル駐在時に現地でのロビー活動を経験し、その後も産官学連携による国際ルール形成活動の実務を行ってきました。民間企業に所属しながら、経済産業省にて非常勤職員として基準認証分野の政策企画を担当するなど、外部での活動にも従事しています。
(略歴)
1997年4月 株式会社堀場エステック入社(開発設計本部配属)
2005年7月 株式会社堀場製作所 ベルギー・ブラッセル駐在 〜2010年9月まで
(在欧日系ビジネス協議会(JBCE)環境規制担当事務局)
2010年10月 株式会社堀場製作所 東京支社駐在 ジョブリーダー
2012年4月 株式会社堀場製作所 品質保証統括センター 信頼性保証部 環境安全チームリーダー
2014年12月 ダイキン工業株式会社 CSR・地球環境センター 主事
2017年4月 経済産業省 産業技術環境局 基準認証政策課(基準認証政策企画専門職)〜2022年3月まで
2019年4月 ダイキン工業株式会社 CSR・地球環境センター 担当課長(兼) 東京支社渉外室
2021年10月 国立大学法人 東京農工大学大学院工学府 非常勤講師 就任
2022年5月 経済産業省 大臣官房臨時専門アドバイザー(基準認証政策)就任
2022年9月 ダイキン工業株式会社 東京支社渉外室 担当部長(兼)CSR・地球環境センター

キーワード
産業標準化、非市場戦略、市場形成、ルール形成、ロビー、アドボカシー
オフィスアワー
講義のある毎週金曜日の18時から20時ごろを基本としていますが、希望があれば、相談等の時間をつくりますので気軽に申し出てください。講義後のご質問や電子メールでのご相談も歓迎します。
備考1
オリエンテーション(初回)時に、参加者の背景や、標準についての知識、講義への希望を伺います。今後の講義に反映していきますのでよろしくお願いします。
備考2
<主な直近活動歴>
ASEANエアコン省エネルギー基準調和プロジェクト(ASEAN SHINE)
国連環境計画(UNEP) United for Efficiency(U4E), Air Conditioner Expert Taskforce Member
国際エネルギー機関(IEA) The Future of Cooling(2018), Energy Technology Perspectives(2020) レビュアー
国際協力機構(JICA) 民間連携事業(SDGsビジネス支援事業) プロジェクトマネジメント(メキシコ・ブラジル)

<直近講演歴>
経済産業省 国際ルール形成戦略研修(省内及び関係省庁向け)(2018年度以降、毎年)
東京工業大学InfoSyEnergy研究/教育コンソーシアムワークショップ(2021年5月)
学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学 JICA×月刊事業構想 イノベーションセミナー(2021年12月)
日本計画研究所(JPI)主催 ルール形成、ビジネスを通じた社会課題解決・カーボンニュートラルへの挑戦(2022年4月)
PHP総研「人新世の国際政治研究会」(2022年4月)
兵庫県立大学 国際商経学部 専門応用科目 ものづくり経営学(2022年5月)
一般社団法人日本パブリックアフェアーズ協会主催セミナー「成長戦略としてのGX」(2022年9月)
Green Innovator Project主催 第二期Green Innovator Academy(2022年9月)
参照ホームページ
経済産業省「市場形成力指標」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/katsuyo/shijyokeisei/index.html 経済産業省「企業の市場を形成する力と、その意識調査結果について」(2022年3月) https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220322008/20220322008.html ルール形成型 市場創出の実践に向けて「市場形成ガイダンス」 https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220322008/20220322008-4.pdf
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/09/20 19:27:09