科目名[英文名]
生命産業知財戦略論   [Intellectual Property in Bioindustry]
区分 専門職学位課程科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 3学期 
授業形態 3学期  時間割番号 1060816
責任教員 [ローマ字表記]
宗林 孝明   [SORIN Takaaki]
所属 工学府 研究室   メールアドレス

概要
【2021年度は後期に開講します】
日本の生命産業関連分野は、特許出願件数で見たとき、一部の技術を除いて欧米に大きく離されている。医療機器では、画像診断装置などの診断機器に比べ、治療機器に関しては欧米に大きく劣る。先端分析機器も、海外からの輸入品が市場に占める割合が高い。iPS細胞においても特許出願件数ではもはや米国に抜かれており、論文発表件数では大きく差をつけられている。電機・半導体などの日本が得意とする産業と比較し、生命関連産業の特徴を理解する。
特に生命産業の特徴の一つである規制について、大きな改正が行われた再生医療、医療機器などの規制と、遺伝子組換え作物などの実用かのルートについて理解する。
知的財産の活用に関して、他者の研究開発戦略を解析する方法や、自らが戦略を構築するための基礎的な技術を学ぶ。特許情報だけでなく、企業情報や政策、市場動向など周辺動向にアクセスする方法と、こうした情報を組み合わせることで、より正確な全体像を把握できることを理解する。
知財戦略が非常に重要であると考えられるバイオベンチャーについて、各社の戦略の解析手法を理解し、課題として取り上げる。その他、日本が世界に誇る技術事例としてiPS細胞と先端医療分野で遺伝子治療を取り上げ、技術開発の状況、それぞれの知財戦略を知る。本科目は実務家教員による科目である。
到達基準
他者の知財戦略、研究開発戦略を解析するために必要な種々の情報へのアクセス方法を理解する。またそのスキルを活用して具体的にバイオベンチャーの知財戦略の解析ができること。
最終的には、調査・解析の対象を明確にする技術俯瞰図の概念を理解し、自らの専門技術について研究・ビジネスに資する技術俯瞰図を作成し、欲しい情報と解析軸の関係を組み立てることができること。
授業内容
第1回 講義ガイダンス、製薬企業における特許の状況
第2回 製薬企業における知財マネジメント(講師:アステラス製薬)
第3回 知財マネジメントと知財経営の効果と限界
第4回 先端生命産業における知財マネジメント①(講師:未定)
第5回 医療制度と規制 再生医療実現化における現状と課題
第6回 バイオベンチャーの知財戦略解析 その1【レポート課題①】
第7回 特許情報の検索と特許解析の手法-1
第8回 特許情報の検索と特許解析の手法-2
第9回 バイオベンチャーの知財戦略解析 その2 課題①発表
第10回 先端生命産業における知財マネジメント②(講師:未定)
第11回 特許情報の活用 特許マップと技術俯瞰図【レポート課題②】
第12回 再生医療における規制の影響
第13回 先端生命産業における知財マネジメント③(講師:未定)
第14回 生命産業分野におけるリサーチツール特許と知財係争事例
第15回 特許情報の活用 課題②発表

<用語説明>
技術俯瞰図:自分が考えている研究(ビジネス)の対象範囲と、それを構成する基礎学問と技術、それを取り巻く関連技術、応用産業の広がり等を整理し、さらにその技術や応用分野を進化させる上で必要な技術等の情報を1枚の図で俯瞰し、自分の研究(ビジネス)の位置づけを明確にしたもの。
研究開発戦略、知財戦略、経営戦略の基礎として利用する。
履修条件・関連項目
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)を利用した特許検索などweb情報を利用するため、webに接続できる環境であることが望ましい。
レポート課題②に対しては、生命分野である必要はないが、なんらかの技術的専門性を有することが望ましい。
テキスト・教科書
毎回パワーポイント資料を用意し、事前にmoodleにアップする。
参考書
岸宣仁著「ゲノム敗北-知財立国日本が危ない」ダイヤモンド社、ジェイムズ・シュリーヴ著「ザ・ゲノム・ビジネス」角川書店、ゲイリー・P・ピサノ著「サイエンス・ビジネスの挑戦」日経BP社、ケヴィン・デイヴィーズ著「1000ドルゲノム」、フランシス・コリンズ著「遺伝子医療革命」、隅藏康一・竹田英樹編著「幹細胞の特許戦略」発明協会、特許庁資料(特許出願技術動向調査、重点8分野の特許出願状況-ライフサイエンス分野-、ライフイノベーション分野の特許出願状況調査、技術分野別特許マップ、特許流通支援チャート)
成績評価の方法
成績評価は、5点法により行う。5(S):極めて優れている。4(A):優れている。3(B):普通である。2(C):やや劣っている。1(D):単位不可。70%以上の出席をした学生にのみ成績判定を行い、出席率が70%以下の学生の成績は付けない。

モジュール別に学習の達成度をレポートで評価し、60%以上の理解度を示していると判定した場合に、当該モジュールの成績を可とする。
レポートは評価基準と配点を事前に示し、基準にしたがって採点した合計点で評価する。
成績の総合評価は、各モジュールの成績の可の数と課題の成績をもとに5点法で決定する。

オンライン教育を行う場合は、すべての出席を前提とし、双方向性を利用した学習意欲、小テストおよび課題、オンラインテスト等を総合的に評価し、本学が定める標準的な学修時間に相当する学修効果が認められる場合に単位を付与する。評価の割合は以下の通りです。平常点 20%、小テスト、課題、オンラインテスト 80%で評価する。
教員から一言
知財担当者だけでなく、研究開発担当者にも動向調査を理解し、研究課題の解析・評価方法のひとつとして、効率的研究開発に役立ててほしい。
求める情報を抽出する解析の視点を各自に見つけてもらいたい。
キーワード
知財担当者だけでなく、研究開発担当者にも動向調査を理解し、研究課題の解析・評価方法のひとつとして、効率的研究開発に役立ててほしい。
オフィスアワー
土曜日11時〜18時。質問等随時対応する。Mailでの質問も可
備考1
レポートは2回課し、いずれも講義中に発表会を開く。2回とも提出は必須である。
1)第6回講義に関連して、バイオベンチャーの知財戦略の解析
2)第11回講義に関連して、技術俯瞰図の作成および解析軸の考案
また、ゲスト講師の講義については講義の感想を提出すること
備考2
参照ホームページ
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/01/29 17:10:30