科目名[英文名]
物理有機化学特論   [Advanced Physical-Organic Chemistry]
区分 後期課程科目  選択必修   単位数 2 
対象学科等   対象年次   開講時期 1学期 
授業形態 1学期  時間割番号 1080201
責任教員 [ローマ字表記]
山崎 孝, 齊藤 亜紀夫   [YAMAZAKI Takashi, SAITO Akio]
所属 工学部 研究室   メールアドレス

概要
本講義では、有機合成化学の分野において最も重要事項の一つである立体選択的反応に焦点を当て、実際にこうした反応を行うには、どのように制御すればよいのか、どのような基質を用いてどのような反応を行えばいいのか、どのようにして生成物の立体化学は予測できるのか、といった項目に対する指針となるような知識を学ぶことを目標とする。本専修には、他にもいくつか有機化学関連の講義が開講されているが、これらと併せて聴講することにより、有機化学の広い範囲をカバーする知識を得ることができるものと思われる。
クラスコード:6ktyrsg
到達基準
下記の授業内容に関する様々な課題が理解できるようになることが求められる。
授業内容
本講議では、有機化学に含まれる重要項目をピックアップし、それぞれに対して、歴史的に重要な発見やごく最近に発表された報告例などを適宜例示しながら、基礎的理論や考え方、更には一般有機合成反応への応用について、詳細に解説していく。主題には下記のものを取り上げ、有機系の研究室に所属している学生にとって、比較的使用頻度の高い反応や理論、考え方を中心に解説する予定である。

第1回   フッ素化学(1):近年、フッ素化合物は様々な分野で利用されていることから、当研究室のみならず、有機化学を
               学ぶ学生達が学ぶべき内容であるので、含フッ素化合物の基本的な性質や利用方などについて
               学ぶ。
第2回   フッ素化学(2):近年、フッ素化合物は様々な分野で利用されていることから、当研究室のみならず、有機化学を
               学ぶ学生達が学ぶべき内容であるので、含フッ素化合物の基本的な性質や利用方などについて
               学ぶ。
第3回   Curtin-Hammett則:原系、生成系、遷移状態のエネルギー状態から、実際に起こる化学反応を論理的に説明し、
                 速度論支配条件と熱力学支配条件の違いを学ぶ。
第4回   Felkin-Anhモデル:有機合成化学における非常に重要な反応の一つに、カルボニル化合物への求核反応があるが、
                カルボニル化合物のα位が不斉であると、この反応でジアステレオマーが生成する。ここでは、
                どのような立体異性体が主として生成するか予測するための規則である、Felkin-Anhモデルを
説明すると共に、他のモデルとの比較を行う。
第5回   立体選択的アルキル化(1): 不斉中心を含む基質に対するジアステレオ選択的反応の例を示し、
                     その選択性発現因子について詳細に述べる。
第6回   立体選択的アルキル化(2): 不斉中心を含む基質に対するジアステレオ選択的反応の例を示し、
                     その選択性発現因子について詳細に述べる。
第7回   立体選択的アルドール反応(1):立体選択的なアルドール反応を行うに際して、エノラートもしくはケテン
                      シリルアセタールの立体化学を制御する重要性を解説し、エノラート側または
                      アルデヒド側に不斉がある場合のジアステレオ選択性、また両方に不斉が
                      組み込まれている場合の重複不斉合成も解説する。
第8回   立体選択的アルドール反応(2):立体選択的なアルドール反応を行うに際して、エノラートもしくはケテン
                      シリルアセタールの立体化学を制御する重要性を解説し、エノラート側または
                      アルデヒド側に不斉がある場合のジアステレオ選択性、また両方に不斉が
                      組み込まれている場合の重複不斉合成も解説する。
第9回   前半のまとめと中間試験   
第10回  Claisen転位:アリルビニルエーテル類に特徴的な[3,3]-ならびに[2,3]-シグマトロピー反応転位に
             関して概説する。
第11回  Michael付加反応(1):エノラートや有機銅試薬などの求核剤による、α,β-不飽和カルボニル化合物への
                  共役付加反応であるマイケル付加反応について、立体選択性発現の機構を説明する。
第12回  Michael付加反応(2):エノラートや有機銅試薬などの求核剤による、α,β-不飽和カルボニル化合物への
                  共役付加反応であるマイケル付加反応について、立体選択性発現の機構を説明する。
第13回  Diels-Alder反応:ジエンと求ジエン化合物の協奏的環化付加である本反応の、理論ならびに実例などについて
               述べていく。
第14回  エポキシドの化学:アルケンを適当な過酸で処理することで生成するエポキシドの立体選択的合成方法について
               説明する。
第15回  まとめと期末試験  
履修条件・関連項目
学部レベルの有機化学(例えば、本学科で言うと有機化学I-III、生体有機化学、有機反応論、先端有機工業化学)を既に履修していることが望ましい。
テキスト・教科書
授業はパワーポイントを用いて行うが、そこで使用する資料は事前に回覧するので、各自必要な人はプリントして持参すること。
参考書
大学院レベルの有機化学関連教科書が最適である。代表的なものとしては、大学院講義有機化学(東京化学同人)や大学院有機化学(講談社)などが挙げられる。
成績評価の方法
オンライン教育における成績評価方法は、すべての出席を前提とし、双方向性を利用した学習意欲、小テストおよび課題、オンラインテスト等を総合的に評価し、本学が定める標準的な学修時間に相当する学修効果が認められる場合に単位を付与する。学習の達成度は中間試験(35%)と期末試験(35%)、小テスト(30%)の結果を総合して判定し、90点以上をS、80点台をA、70点台をB、60点台をC、60点未満をDとする。
教員から一言
学部の”広く浅く”という学び方から、より狭い分野を深く掘り下げて事実を学んでいく方式でやっていくので、普段有機化学に接していない学生にとっては、講義に追随していくのはかなりな努力を要するものと思われる。
キーワード
立体選択性、軌道相互作用、計算化学
オフィスアワー
本講義は平成20年度に開講する。オフィスアワーは、金曜日の午後3時から4時までとし、場所は1号館S210号室とする。
備考1
備考2
参照ホームページ
http://www.tuat.ac.jp/~yamazaki/home.html
開講言語
日本語
語学学習科目
更新日付
2022/04/01 15:10:02